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「本田のFK」から11年。欧州組は増えたけれど、今季はCL決勝T出場者ゼロ。日本人選手の悲しい現実

杉山茂樹スポーツライター
(写真:ロイター/アフロ)

 決勝トーナメント1回戦。チャンピオンズリーグ(CL)はここからが本番だ。競技力が恒常的に改善、改良されているサッカーにおいて、CLはW杯以上に見逃すことができない、まさに世界最高峰の戦いになる。サッカーについて語ろうとすれば、あるいは自らの立ち位置を知ろうとすれば、国内で間もなく開幕するJリーグ、あるいは日本代表戦を見ておけば、それで十分というわけにはいかないのだ。

 だが今回、決勝トーナメントを戦う16チームの中に、残念ながら日本人選手の名前は見当たらない。昨季、リバプールの一員としてただ1人決勝トーナメント1回戦に臨んだ南野拓実も、ご承知のように、CL再開を前に、出場機会を求めサウサンプトン(現在プレミアリーグ13位)へ、レンタル移籍した。

 グループリーグで出場機会を得た選手の数も、その南野を含め、酒井宏樹(マルセイユ)、奥川雅也(ザルツブルク→ビーレフェルト)、中島翔哉(ポルト→アルアイン)の4人のみ。世界最高峰の戦いに、日本は人材を満足に送り込むことができていない。

 増加の一途を辿る欧州組に対し、隔世の感だと目を細める年嵩の元選手や解説者をテレビ等でよく目にするが、実は、単に欧州に移籍しやすくなっただけの話。10年前、20年前と大差ない状況だ。欧州組の現状について、CLはそう厳しく語っている。

 サッカー界はCLを軸に回っている。価値基準も同様。CLに通算何試合出場したかは、代表試合出場数より重みのあるデータになる。この欄でもこれまで幾度か述べてきたが、うっかりしていると忘れがちな視点だ。

 日本人の最高は、香川真司で33試合。以下、内田篤人29試合、長友佑都23試合、中村俊輔17試合、本田圭佑11試合と続くが、日本人トップの香川でさえ全体では700位台だ。本田に至ると3300位台になる。

 サッカーの世界の奥深さがよく分かるデータだ。香川、本田と言えば、日本国内ではここ10年強の間に出現した選手の中では、1,2を占めるスター選手になる。香川はマンチェスター・ユナイテッド、本田もミランという日本人にもお馴染みの強豪に所属したことがあるが、世の中には、その程度の選手は山ほどいる。彼らの名前が世界に浸透しているかと言えば、けっしてそんなことはない。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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