なぜレアルは“連戦連勝”を飾っているのか?ベンゼマ、ヴィニシウス…若手選手の台頭とベテランの後釜。
シーズン開幕から、好調を維持している。
リーガエスパニョーラが幕を開け、レアル・マドリーは4戦4勝で勝ち点12を積み上げ、首位に立っている。昨季、ドブレテ(2冠)を達成したカルロ・アンチェロッティ監督のマドリーだが、その強さは健在だ。
■当初のプラン
マドリーは、今季開幕前にキリアン・エムバペ(パリ・サンジェルマン)を引き入れるつもりだった。この夏、フリーになる予定だったエムバペを確保して、豪華攻撃陣を形成するプランを準備していた。
だがエムバペはパリに残る決断を下した。2025年夏までの契約延長でパリSGと合意し、彼自身が「夢」と語っていたマドリー移籍は幻に終わった。
ガブリエウ・ジェズス、エディン・ジェコ、クリストファー・エンクンク、ラウール・デ・トーマス…。複数の名前が補強候補に挙げられたが、実際にマドリーが獲得に動くことはなかった。
急いては事を仕損じる。ゆえに、マドリーは移籍市場の終盤にストライカー獲得を目指さなかった。次のマーケット、冬の移籍市場まで待ち、必要なら補強をするという判断があった。
■若いタレントの発掘
一方で、近年、マドリーは若いタレントの発掘に注力してきた。その筆頭はヴィニシウス・ジュニオールとロドリゴ・ゴエスだ。
ヴィニシウスは2018年夏に移籍金4500万ユーロ(約63億円)でフラメンゴからマドリーに移籍。16歳の若さで、フラメンゴでトップデビューを飾り、「ペレの後継者」「新たなネイマール」と称されていた選手にマドリーがいち早く目を付け、確保した。
しかしながら、ジュレン・ロペテギ元監督やジネディーヌ・ジダン前監督はヴィニシウスを重宝しなかった。テクニックに優れ、突破力のあるドリブラーとして鳴らしていたヴィニシウスだが、決定力が欠けていた。
そのヴィニシウスが萌芽の時を迎えたのは、2021−22シーズンである。大きかったのは、アンチェロッティ監督との出会いだ。就任早々、ヴィニシウスについて「ゴールするために4回も5回もボールタッチする必要はない」と一刀両断していたイタリアン人指揮官が、ヴィニシウスを覚醒させた。
シンプルなランニングが増え、ヴィニシウスのゴール数は増加した。21−22シーズン、ヴィニシウスは公式戦52試合22得点20アシストを記録。カリム・ベンゼマとの連携も改善され、マドリーの2冠達成に大きく貢献してステップアップを果たした。
また、ロドリゴは21−22シーズンに決定的な場面で仕事をした。
2019年夏にサントスから移籍金4500万ユーロ(約63億円)でマドリーに移籍したロドリゴは、昨季、チャンピオンズリーグ11試合で5得点2アシストの活躍を見せた。チェルシー戦、マンチェスター・シティ戦では起死回生のゴールを決め、チームを救った。
「ロドリゴは、私にとって、スペシャルなFWだ。(CFとWGの)すべてのポジションでプレーできる。スピードがあり、オフ・ザ・ボールで賢いムーブができる。1対1においても効果的だ」とはアンチェロッティ監督の弁である。
「ロドリゴの学びの時間は終わった。あらゆる意味で、彼はレアル・マドリーの選手になった」
この夏には、オウリエン・チュアメニが加わった。モナコに移籍金8000万ユーロ(約112億円)を支払い、マドリーはチュアメニを獲得。その後、カゼミロを移籍金7000万ユーロ(約98億円)でマンチェスター・ユナイテッドに売却し、「回収」しているのはマドリーらしいところだ。
加えて、マドリーは、イケル・ブラーボ、アルバロ・レイバ、ノエル・ロペスと新たなタレントをこの夏にカンテラに入団させている。
ベンゼマ(34歳)やルカ・モドリッチ(36歳)らはベテランの域に達している。だが、その後釜について、すでに考えを巡らせている。用意周到なマドリーが、強さを維持して、再びタイトルを奪うために前進する。