【専門家解説】よく寝る赤ちゃんになってもらうために親が意識したい8つのこと
赤ちゃんが生まれて幸せなのも束の間、襲ってくるのが睡眠不足の悩みですよね。
赤ちゃんがなかなか寝てくれない
夜中に何度も起きる
なんとか寝かせてもちょっとの刺激で起きてしまう…など悩みは尽きません。
そんな悩みを少しでも早く解決するべく、乳幼児睡眠コンサルタントねんねママがよく寝るねんね上手な赤ちゃんになってもらうために心がけたいことを8つご紹介していきます。
①月齢ごとのおおよそのスケジュールを理解する
誰もが一度は赤ちゃんだった経験があるものですが、その頃自分がどんな生活をしていて、どのくらいの時間が経つと眠くなっていたかなんて、記憶している方はなかなかいないでしょう。
赤ちゃんは大人と違って長い時間起き続けることができないので、お昼寝をとる必要があります。ですが、特にはじめての育児だと「どのくらい起きていたら眠くなるのだろう?」「この泣いているのは眠いのだろうか?それともつまらなかったり、どこか痛かったりかゆかったりするのだろうか?」とわからないことも多いですよね。
そこで大切なのが、月齢ごとのおおよそのスケジュールを理解しておくことです。
以下は月齢ごとの寝かしつけまでの時間の目安を示した表です。
非常に誤解が多いのが「疲れさせれば寝る」という考え。もちろん、疲れていなければ寝ることができないのですが、驚くことに赤ちゃんは「疲れすぎ」「眠すぎ」になると反対に寝られなくなってしまうのです。
上記の表はあくまで目安で個人差はあるものですが、一つの参考にして疲れすぎてしまわないように寝かしつけを意識してみてください。
②寝やすい環境を整える
寝やすい環境とは大きく分けて3つの要素で構成されます。安全性と光環境と温度です。
1)安全性
「寝やすさに安全って関係あるの?」と思われるかもしれませんが、赤ちゃんからしても「落下するかもしれない…こわい…」という場所では眠りづらいですよね。
何より大人側が不安に感じてしまうので、ついつい手を出しやすくなってしまいます。
自分で寝られるようになるためには、いかに手を出さずに寝る練習をするかが大事です。そのため、手を出さなくても安全な環境を整えてあげることは重要です。
<安全のためのポイント例>
・できればベビーベッドを使用すること
もっとも安全な寝床はベビーベッドです。赤ちゃん専用に作られた場所で、柵もあるので転落の心配もありませんし、親との接触で刺激したり起こしてしまったりの心配もありません。
お布団の場合は大人の布団がかかったり、布団と布団の隙間に顔が埋まらないように少し隙間をあけるなど注意してあげましょう。
・ソファや大人のベッドには寝かせない
転落や窒息の危険があるためです。一時的に置く場合は目を離さないように注意しましょう。
・やわらかいものは寝床にいれないこと
お人形や枕など、かわいくて入れてしまいがちですが、寝るための場所はシンプルにしましょう。窒息の原因になりかねないやわらかいものや、寝ようとしたときに気になるおもちゃなどおかないようにしましょう。
この写真のように、ベッドの中にはマットレスのみで他になにもないのが理想的です。
2)光環境
光は睡眠と深い関係があります。人は明るい時に起きて、暗い時に眠るように体ができているので、光を浴びると眠りづらくなります。
そのため、大事なのは寝るときは遮光をすることです。
朝、光を浴びて目覚めるのはとても良いことですが、一方で特に夏は日が昇るのが早く、まだ起きてほしくない時間に起きてしまうことが増えます。
これを防ぐには遮光がとても大事です。
遮光カーテンを使用し、隙間からの光漏れに反応する場合はマジックテープやタオルなどを活用して隙間も埋めましょう。
3)温度
エアコンやヒーターなどを使って室温を適温に保つのが大切です。
赤ちゃんは体温調節が下手なので、特に暑さは危険に繋がります。20~22度を目安に、冬はもう少し低めに、夏はもう少し高めに、服装にあわせて調節しましょう。
夏に26度程度の場合は肌着だけでもOKです。冬も18度程度の場合は肌着に長袖パジャマにフリースなどあたたかめのスリーパー程度でOKです。特に4ヶ月以降は大人が少し涼しすぎると感じるくらいでちょうど良いので、着せすぎや暑すぎには注意してみましょう。
③ルーティーンをつくる
赤ちゃんは「いつも同じ」であることに安心感を覚えるので、就寝前のルーティーンを統一することを心がけましょう。
「お風呂からあがる→スキンケア→授乳→絵本→電気を消す」などの流れで構いません。特別なことをする必要はなく、無理なく続けやすいルーティーンをいつも同じ流れで行うようにしましょう。そうすることによって赤ちゃん自身が「この後はねんねだな」と次の行動を予測することができ、安心して眠りへの準備をすることができます。
普段ママが寝かしつけをしていて、急にパパが寝かしつけ担当になると泣いてしまうこともあるかと思いますが、このルーティーンをママと同じようにするだけでも安心して落ち着かせられる効果があるので、試してみてください。
④寝る前はとにかくリラックス
寝る前はリラックスした雰囲気づくりを心がけるのも大切です。
テレビやスマホの明かりはもちろん、蛍光灯や白色のLED電球などの灯りは覚醒効果があって体を眠りから遠ざけてしまいます。
就寝1〜2時間前からはできるだけ明るい光は避け、オレンジ色など暖色系のリラックスできる照明のもので過ごすようにしてみてください。
赤ちゃんの就寝前の時間に帰宅されるパパも多いことかと思います。ついつい、唯一のふれあいタイムにテンションをあげた遊び(例:高い高い)をしてあげたくなってしまいますが、寝る前の気持ちづくりはスムーズな眠りのためにとっても大切。心も身体もリラックスできる触れ合いをしてあげてくださいね。
⑤寝床を認識させる
赤ちゃんは本来どこで寝るべきか、というのを教えていくのは、ねんね上手になってもらうためには欠かせません。できれば、まだ右も左もわかっておらず、癖もついていないうちに、どこが自分の寝る場所かをしっかり教えてあげるのがおすすめです。
しかし、もうとっくに添い寝がクセになってしまった!という場合も大丈夫です。
ベビーベッドに置くと泣いてしまう子も、まずは寝床を認識させるのがとても大事なクセとりのスタートになります。根気よく「あなたの寝る場所はここよ」と教えてあげましょう。ルールを徹底するのが成功のコツです。
しかし、クセがついてからの練習は多少なりとも骨が折れるので、もし可能なら早いうちから「ここが自分の寝る場所」としてベビーベッドやママやパパと離れた場所のお布団などを認識させておけると、将来の親の安眠のためにはおすすめです。
⑥自分で寝つく練習をさせる
まずは「置いてみる」ことが大事です。それを繰り返して、はじめに置かれることに抵抗が少なくなってきたら、今度は「手を出さずに見守ってみる」という作戦に徐々に移行してみてください。
サポートの手厚さの段階としては、【授乳→抱っこ→トントン→声かけ→見守り】という順に薄くなっていくように考えていただければと思います。
まずは抱っこから下ろし、その際はトントンでも覆い被さるような寝かしつけでも構わないので、とにかく布団におりて寝ることをまずは身につけさせましょう。そして、それができるようになったら、少しずつ体の接触を減らして距離をとり、徐々に触れずに寝られるようになったら、セルフねんねの第一歩!ということになります。
⑦すぐに反応しない/手を出し過ぎない
赤ちゃんが泣いてしまうとついついすぐに「どうしたの?大丈夫?」と反応したくなりますが、ここをぐっと我慢することが大事です。
泣いたときに大人がすぐに反応してくれると、うまく眠れない時や浅く目が覚めて起きてしまった時も大人が対応してくれるのを待つようになってしまいます。
すると、自分の力で寝つく練習をする機会がなくなり、いつも大人のサポートがないと寝られなくなってしまいかねません。
結果的にこれが夜泣きや夜間覚醒、早朝起きなどのねんねトラブルにつながっていくので、自分で寝る練習をする機会を作ってあげるために、手を出さない時間を作ることも大切です。
赤ちゃんを泣かせっぱなしにするなんてかわいそう!と言うご意見もあるかもしれません。
しかし、ほんの2-3分だけなら待ってみても良いのではないでしょうか?この2-3分待つだけでも、赤ちゃんのねんね力を高める練習をするための時間としては効果があります。
新しい力をつけるために練習するのに泣いてしまうのは、自転車の練習で転んで膝をすりむいて泣くことと同じことだと思っています。
その力を身に付けて明るい未来を手に入れるために、練習が必要なのであればそれはかわいそうなことでは無いのではないでしょうか。
また、リモートワークをしているパパにとって、夜の会議時間帯に後ろで泣き声が聞こえるのは迷惑になってしまうかもしれませんね。でもこのように数分泣かせることに意味があったりもするので、このあたりはママとよく相談をして部屋割りなど対策を決めていくようにしてください。
⑧過度な期待はしないこと
さいごにお伝えしたいのは、当たり前のようで忘れがちな、とても大切なことです。
お子さんは皆、自分で寝る潜在能力を持っています。それを信じて、引き出してあげるのが大切だ、というのをここまでに何度もお伝えしてきました。
ただ!過度な期待はNGです。
月齢で横一列で比較して「◯◯さんちの△△ちゃんは4ヶ月でセルフねんねができたらしい」などと過度な期待をするのはやめましょう。
お子さんそれぞれのペースもあります。成長度合いもそれぞれです。
過度な期待をするのではなく、昨日より一歩前に進む…というのを意識して、一歩ずつ取り組んでみてください。睡眠時間は三歩進んで二歩下がる…という一歩ずつの歩みですが、やれば変わってきます。無理をせず、家族で協力して取り組んでみてくださいね。
ちょっとでもねんね上手にしていきたい!という方はぜひ新生児から取り組める方法も試してみてくださいね。