JRAの馬主になる、という選択肢
馬主はコロナ禍でも競馬場へ入場できる
JRAは新型コロナウイルス感染拡大防止のため、2月29日以降の中央競馬について無観客での開催を続けている。そして8月下旬、9月12日から10月4日までの開催についても、引き続き無観客競馬で実施することを発表した。
しかし現在、ごく少数ではあるがJRAの競馬を観戦できている人々がいる。それは、中央競馬で馬主免許を持つ本人である。
JRAは8月7日より、原則としてその日のレースに出走させている馬主の場合は馬主本人と同伴者2名まで、出走させていない場合は馬主本人のみが開催競馬場への入場を許されている。
滞在できるエリアは馬主エリアのみ。"口取り"と呼ばれる1着馬の馬主だけが許される記念撮影や表彰式は実施されていない。それでも、実際に行われているレースを直接観ることができるのは、さすが馬主ならではの特権である。
馬産地に近い札幌競馬場では、多数の馬主が競馬の観戦を楽しんでいる、という情報も伝わっている。本当にうらやましい限りだ。
■2017年有馬記念 優勝馬キタサンブラック 馬主は北島三郎氏(名義は有限会社大野商事)
JRAの馬主になるには?
JRAの馬主というとかなりステータスが高く、実際になるには相当ハードルが高い印象がある。馬主は免許制で、申請したあとに資格審査がある。
では、具体的にはどのような条件が必要なのだろうか?
JRAのホームページより個人馬主の登録要件を引用してみよう。
かなりハードルが高い印象だが、これでもかつての基準より数値は下がっている。
中央競馬の預託料は1頭あたりおよそ毎月60万円の維持費がかかるとされている。さらに馬代金、仔馬を競走馬になるように教育する育成費など、中央競馬に馬を入れる前段階にもかなりの費用が必要だ。したがって、このような高い基準が設けられるのは当然といえば当然だ。
ただし、馬主は馬を1頭ひとりで持ち続けなければならない、というわけではない。いきなり1頭をひとりで持つのではなく、はじめはリスクも希望もシェアしながら馬主生活を始めてみるのもいいだろう。
知り合った複数の馬主と一緒に1頭の競走馬をシェアするのは珍しいことではない。馬主免許を持つ知人と共同で馬を持つ人もいる。馬主免許を持った人しか参加できないオーナーズクラブもあり、1頭の馬にかかる費用を数十から数万に分割してファンドとして出資する会員制クラブとは一線を画している。
資格要件を満たす競馬ファンなら、踏み出すのも一手
今後もJRAは新型コロナウイルスの感染拡大状況を鑑みながら、観客を入れての競馬の実施や、馬主の口取りなど、段階を踏みながら従来のスタイルに戻っていくのだろう、とは思う。しかし、それにスピード感は期待薄で、極めて慎重に慎重を重ねながら遂行していくように推察する。
新型コロナウイルスが与える人間の社会生活への影響は、まだまだ出口が見えない。今後の感染拡大状況によっては再び馬主が競馬場への入場制限をかけられる可能性もあるだろうが、それでも一般のファンよりははるかに入場しやすいのではないだろうか。もちろん、通常の開催に戻ったあとも馬主席で競馬を観ることができる(注:馬主会への入会が必要)。
資格要件を満たす競馬ファンの方は、このタイミングでこそ、馬主になる、という選択肢へ踏み出すのも一手ではないか。