BCリーグトークショー・伊藤智仁(富山)×村田修一(栃木)×佐野慈紀(石川)
4月5日、ルートインBCリーグは株式会社イープラスとオフィシャルパートナー契約を締結した。また併せて読売ジャイアンツ3軍との交流戦のネーミングライツスポンサー契約を結んだことも発表した。この交流戦は「イープラス presents 2018 ルートインBCL×読売巨人軍三軍交流戦」として開催される。( 関連記事⇒BCL×イープラス オフィシャルパートナー契約締結)
記者会見では、スペシャルゲストを招いてトークショーも行った。富山GRNサンダーバーズの伊藤智仁監督と栃木ゴールデンブレーブスの村田修一選手、そこに石川ミリオンスターズの佐野慈紀取締役も加わった。
■富山GRNサンダーバーズの新監督は元ヤクルトの伊藤智仁氏
これまで現役11年、コーチとして14年間を東京ヤクルトスワローズで過ごしてきた伊藤監督にとって“監督業”は初めてだ。
「今まで自軍の攻撃中もピッチャーのことを考えてりゃよかったけど、今はそういうわけにいかない(笑)。でも作戦や守備陣形を考えたり、楽しいよ」と笑い、「選手も思いきって攻めていけば失敗することもある。積極的な失敗、前に出ての失敗なら次に繋がる」と積極性をモットーにしていると話す。
今年の冬は寒さが特に厳しく、北陸の降雪量はとんでもなかった。「雪がすごすぎて、やっていけるかなと思った」と心配になったという伊藤監督が、富山で最初にしたことは長靴の購入だったという。人生で初めて買ったそうだ。
雪のため、思うように屋外練習はできなかったが、「地域のみなさんに手伝ってもらってグラウンド整備して。選手も愚痴もこぼさず一生懸命、雪かきも一緒にやってね」と、逆に結束が固まった。
自チームについては「ウチは長打はない。いかに繋いで繋いで1点を取るか、になる。投手を中心に少ない点数を守る野球かな」と分析し、乾真大投手(日本ハム―巨人)や外国人のヒース投手(ホワイトソックス―広島ほか)に期待する。
また栃木に入団した村田選手には「ウチに来てほしかったよ」と笑わせ、対戦数は少ないながらも「高いレベルを間近で見れる。選手にとっては自分のレベルを上げるチャンス」と歓迎している。
伊藤監督は語る。「BCリーグの監督を引き受けたときから考えていた。チームから何を期待されているのか、と。プロのレベルを伝えてあげることだと思っている。プロ入りを目指して頑張ってる選手に、プロがどういうことをしているのか伝えながら、選手が成長してくれたら」。
そして「BCからNPBに入れただけで喜んでいるんじゃダメで、NPBで活躍できないと。入ってからすぐ技術練習ができるように、トレーニングに耐えられるようにして送り出したい」とも意気込んでいる。
「選手が可愛いんだよ〜」と愛情たっぷりの新監督だ。
■独立リーグからNPB復帰を目指す村田修一選手は栃木ゴールデンブレーブスに入団
村田選手は「野球できる準備が整った。どこの開幕戦でも野球をすることに変わりない。いいスタートが切れるように調整してきた」と、開幕を迎える心境を語っていた。
横浜(現 横浜DeNA)ベイスターズ、読売ジャイアンツとNPB2球団で4番を張った男だ。しかも昨年も118試合に出場し、打率は.262、本塁打は2ケタの14本を記録している。
「まだ野球を続けたい。元気な姿を家族に見せたい」。そんな思いでBCリーグに来た。栃木を選んだのは奥さんの出身地だからだという。
チームに合流し、改めて初心に帰れたと明かす。「NPBだったら常に新しいボールが用意されて、グラウンドもキーパーさんが整備してくれる。そういうのもすべて自分たちでやらなきゃいけない。プロに入る前は自分もそうだったなと、今、新鮮な気持ちでやっている」。若手選手に混じって何でもやる。
その若手選手たちの貪欲さに刺激も受けている。「今までほとんどファームを経験しなかったので、そんなに若手と接することがなかった。だからNPBでは若手から聞いてくることはあまりなかったけど、栃木ではガンガン聞いてくる(笑)」。そして聞かれた村田選手も、どんな質問にも真摯に答えているという。
「試合中も気づいたことがあれば言う。『あそこはどうやって投げたんだ?』とか訊いて、アドバイスしたり。バッティングでも気づいたことは言うようにしている」。これはチームにとってはもちろんだが、BCリーグにとっても大きな財産になる。
現在、単身赴任中で身の回りのこともひとりでこなす日々だ。「米といで、ご飯炊いてる間に洗濯して…」と、なかなか手際もよさそう。「ひとり暮らしははじめて。考える時間がたくさんあるので、これからやってみたいこととか、色々考えている」。じっくり自分と向き合っている。
注目されるのは読売ジャイアンツ3軍との交流戦だが、「全試合の中の3試合。どこのチームが相手でもボクの野球をするだけ。位置づけはどこのチームも同じ。栃木のために頑張る」と、特に意識はしない。それよりも栃木の一員として勝利に貢献する働きをすることのほうが大事だと言いきる。
「ジャイアンツの3軍選手がボクを抑えることで自信をつけて2軍、1軍と上がっていってくれたら、それはそれでうれしい」と懐の深いところを見せる。
ただ、もちろん黙って抑えられるつもりはない。NPB復帰を望む村田選手にとっても、そこは自身のアピールの場でもあるのだ。全力でその力を見せつけるつもりだ。
■石川ミリオンスターズの取締役・佐野慈紀氏
こうした二人の加入を、佐野氏は歓迎する。「村田選手なんてまだまだ現役バリバリの選手。そんな選手が来てくれて、見せてくれるだけでBCの選手はNPBのレベルを知れる。バッティングだけじゃないから。守備もいいからこそ、ここまでやってこれた。その守備も間近で見られる。ファンも嬉しいけど、選手にとってこんな生きたお手本はないから。対戦相手は村田選手に全力でぶつかって、自分の力を知ってほしい」と力を込める。
「伊藤監督には教わることがたくさんある。投球術はもちろんのこと、故障もいろいろしてきた。じゃあ、故障しないためにはどうしたらいいかということも教われる。ただし、あのスライダーは教わっても投げられるものじゃないけど(笑)」。
石川にとっては脅威になるが、BCリーグ全体にとっては好影響であることに声を弾ませた。
12年目を迎えてますます注目度が上がってきたルートインBCリーグ。
伊藤監督の采配、村田選手の一流の技、そしてこれからNPBに進むであろう若き独立リーガーたちの成長…BCリーグの楽しみ方はさまざまだ。
まずは球場に足を運んで、生のプレーを堪能したい。
(写真提供はすべてルートインBCリーグ)
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