仕事に「気合と根性」が必要な2つの理由
「気合と根性」フレーズが使いづらくなった現代
「気合と根性」と聞くと、体育会系のノリのように感じられ、時代遅れではないか? 草食系の若者が増えている昨今、その考え方に傾倒しないほうがよいのではないか? という声が聞こえてきそうです。
確かに「気合と根性」だけで結果を出す、というのはどこかアナクロニズム(時代錯誤)を感じさせる表現ではあります。強い気持ちが前へ行き過ぎ、問題を起こす指導者がクローズアップされる昨今、ビジネスの現場でも、ますますこの言葉は使いづらくなった印象があります。
それでも結果を出すには「気合と根性」は必要!
気合や根性を入れる、ということは、精神を集中して物事に取り組む。勢いをもって打ち込む、という意味になります。したがって、大声を出すかのごとく一生懸命に精神を集中させて行動することで、おのずと結果がもたらされる、という発想は論理的に正しいとは言えないでしょう。
ただ、ここで気をつけるべきポイントがあります。それは、「気合と根性だけでは結果が出ない」のであって、「気合と根性があっても結果が出ない」ということではない、ということ。つまり「気合と根性」は前提条件であるのです。
仕事に「気合と根性」が必要な【1つ目の理由】
仕事で結果を出すためには、マネジメントサイクルをまわすことがとても大事です。結果を出すための仮説を立てても、期待通りに結果が出ることは稀です。ですから、計画を立てても実行している最中に定期的なモニタリングが必要です。
いわゆるPDCAサイクルをまわす、ということです。PDCAとは、PLAN(計画)→ DO(実行)→ CHECK(評価)→ ACT(改善)のこと。ところが現場に入って、このマネジメントサイクルをまわそうとしたときに、一番引っかかるのが「DO(実行)」の部分です。
誰もが現状は現状のまま維持したいという心理欲求「現状維持バイアス」が働いています。私もそうですし、この記事を読んでいるあなたもそういうときがあるのではないでしょうか。新しいことを「DO」することは、できれば避けたい。やりたくない。理屈ではありません。多くの人は何らかの理由を探し、やらない言い訳を探してしまうものなのです。
ですからまず、ここで「気合」が必要です。
「頭ではわかってはいるけれど、なかなか体が動かない」ということは誰にでもあります。そのときに、「なぜ自分は動けないのだろう?」「モチベーションが足りないからなのか?」「やっても意味がないことだから動けないのか?」などと自問自答せず、この状態のときは気合を入れてやってしまいましょう。頭では「やったほうがいい」とわかっているのですから。無理やりに「やらない理由」ばかりを探していると、行動力のない悪癖が身についてしまいます。
仕事に「気合と根性」が必要な【2つ目の理由】
2つ目の理由は、「やり切る」ときです。前述したとおり、頭ではわかっていてもなかなかスタートさせることができないものです。気合と根性で、行動をスタートさえできれば脳が「作業興奮」を味わい、やる気スイッチが入ります。しかし最初は勢いがあっても、なかなかそれを持続できず、フェードアウトさせてしまう人もいます。
前出のPDCAサイクルを正しくまわすためには、決めた行動をやり切る必要があります。やり切らないのに、モニタリングしても正しい評価ができません。行動計画はやり切ってこそ意味があり、そして次のアクションへと繋がる検証ができるのです。しかしひとたび行動をスタートさせると、想定外のことが多く発生するものです。行動をやり切れない理由が次から次へと襲来してきます。
そこでまた出番となるのが「気合と根性」です。
ちょっとした想定外のことがあっても、気合で乗り越えましょう。どうしたらいいのか自分で考えるのです。それでも妙案が思いつかない場合は誰か(上司など)に相談するのです。自分で考えるのも億劫ですし、誰かに相談することも面倒でしょう。
ですから面倒くさいことをやるために「気合」を入れるのです。気合と根性を入れて、自分で決めた行動をやり切ってしまいます。
多かれ少なかれ、仕事には「気合と根性」が必要
このように、仕事には最低限の気合と根性が不可欠です。これまで体に染み付いたやり方だけで結果を残せるのならいいですが、多くの場合、新しいことをチャレンジしていかないと果たせないことばかりではないでしょうか。ポイントは「気合と根性」だけではダメ、ということです。「気合と根性」だけで成果は出ませんが、最低限必要なものであるということを認識しておくべきだと私は考えています。
(※参考コラム:成功する人ほど「モチベーション」を口にしない理由)