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【フランス】耐え忍ぶ1月 新型コロナ続報

鈴木春恵パリ在住ジャーナリスト
首相会見生中継テレビ画面から(France2)

1月7日夕方の記者会見で、フランスではまた新たに新型コロナへの対策が発表になりました。

カステックス首相は、ヨーロッパの隣国と比べてフランスは現時点ではよく持ちこたえているほうとしながらも、あと数ヶ月はコロナとの共存が続くとして、新しい方針を発表しました。

おもなポイントは次の3つです。

●夜間外出禁止令の継続と強化

●飲食店、文化施設、スポーツ施設の閉鎖継続

●ワクチン接種をスピードアップ

記者会見放送でのグラフ。近隣6カ国、人口100万人あたりの新規感染者数推移を示したもの。右の国名は上から、英国、スイス、イタリア、フランス、スペイン、ドイツ。横軸は日にちで、10月30日から今月6日
記者会見放送でのグラフ。近隣6カ国、人口100万人あたりの新規感染者数推移を示したもの。右の国名は上から、英国、スイス、イタリア、フランス、スペイン、ドイツ。横軸は日にちで、10月30日から今月6日

少なくとも1月20日までは夜間外出禁止

昨年12月から、フランスでは全土にわたって夜間外出禁止(20時以降)が続いています。さらに、感染がより拡大している15の県については、先週土曜から開始時間を18時に繰り上げて、引き締めを強化しました。

今回の発表では、この夜間外出禁止を少なくとも1月20日まで継続すること。さらに現在の15県に加えて新しく10県でも、18時の繰り上げを検討中とのことです。

このところ、1日平均の新規感染者数はおよそ15,000人強と、制限解除の目処としている5,000人には程遠いのが現状です。年末年始は他県への移動制限などは行われず、少人数ながらも家族、親族が集まることができたフランスですが、それによる感染拡大の影響は来週なかばくらいに数字に表れる見込みとしています。

1月8日付『ル・フィガロ』掲載の地図。現在フランスでは首都圏などよりも、東側の地域が感染拡大が顕著。赤枠の県が現時点で18時から夜間外出禁止とされている県
1月8日付『ル・フィガロ』掲載の地図。現在フランスでは首都圏などよりも、東側の地域が感染拡大が顕著。赤枠の県が現時点で18時から夜間外出禁止とされている県

飲食店、文化施設、スポーツ施設の閉鎖継続

12月なかばの時点では、博物館、映画館、劇場、スポーツ施設などは、1月7日からの再開が期待されていましたが、これは叶わず、少なくとも今月いっぱいは閉鎖となりました。

感染対策でもっとも打撃を被っている飲食店(カフェ、レストラン等)は、状況が許せば1月20日からの再開とされていたのですが、これも叶わず、少なくとも2月中旬までは閉鎖。政府発表が出るたびに、再開目標がどんどん先延ばしにされる形です。

また、フランスにはスキーリゾートがたくさんありますが、現状、リフトの稼働は禁止されています。そのため潤沢な雪に恵まれているにもかかわらず、例年のような営業ができない状態。ホテルをはじめ季節労働者には大打撃ですが、リフトがかどうできるかどうかの判断は、1月20日まで持ち越しとなりました。

なお、隣国では、学校閉鎖に踏み切ったところが少なくありませんが、フランスは、現時点ではその予定はないようです。

右のグラフは新型コロナ感染による入院患者数の推移。昨年3月から12月までのもの
右のグラフは新型コロナ感染による入院患者数の推移。昨年3月から12月までのもの

75歳以上は1月からワクチン接種可能に

フランスでは、12月27日からワクチンの接種が始まりました。

ところが、隣国と比べると、これまでの接種数が極端に少ないことが批判されていたため、今回の会見では、接種キャンペーンを前倒しにすることが発表されました。

接種の優先順位は、要介護高齢者施設の入居者、医療従事者(50歳以上と、基礎疾患のある人など)からで、これは現在進行中ですが、当初は2月からとされていた、75歳以上の一般の人への接種が1月18日から始まることになりました。

方法としては、専用の電話番号、もしくはサイトを通して最寄りの接種センターでの予約をとり、センターで簡単な問診表に回答したうえで接種。その場で15分待機して経過をみてから帰宅という流れで、14日から予約開始の予定です。

現在接種されているワクチンは、「ファイザー」のもので、これまでの実績によると、10万人に1人という割合でアレルギー症状が出たのみだそうで、副作用の心配は非常に少ないとワクチンの安全性をヴェラン連帯・保健大臣は強調しました。

ちなみに、「ファイザー」のワクチンは、21日の間隔を開けて2回の接種が必要とされていましたが、その間隔は3週間から6週間と余裕をもってよいとのこと。さらに、2種目として、冷却保存温度が「ファイザー」ワクチンほど極端に低くなくてもよい「モデルナ」のワクチンも1月から導入されることが発表になりました。

接種センターは全国600か所に拡充される予定で、それによって、1月末までに少なくとも100万人が接種可能となり、近隣諸国と同じレベルに達すると見込まれているようです。

記者会見放送で示されたワクチン購入予定表。左側縦に並んでいるのがワクチンの製造元名。上の横軸は12月からの各月。12月「ファイザー」の50万回分に始まり、購入数が並ぶ。今年の購入総数は2億2500万回分の予定
記者会見放送で示されたワクチン購入予定表。左側縦に並んでいるのがワクチンの製造元名。上の横軸は12月からの各月。12月「ファイザー」の50万回分に始まり、購入数が並ぶ。今年の購入総数は2億2500万回分の予定

さて、年が明けてからパリでも連日寒い日が続いていて、街角のカフェがずっと閉ざされている光景がより寒々しく感じます。いっぽうで、規制をかいくぐり店頭販売で温かい飲み物を商う人たちもいます。街を歩く人の紙コップから立ち上る湯気がこれほど貴重に思えたことはない…。

自由の国ここフランスでも、いまだれもしもが特別な時代を生きています。

休業中のパリのカフェ。窓際に並んでいるのは昼のテイクアクトメニュー用の紙袋(以下、写真は筆者撮影)
休業中のパリのカフェ。窓際に並んでいるのは昼のテイクアクトメニュー用の紙袋(以下、写真は筆者撮影)

飲み物や軽食の店頭販売をするカフェ
飲み物や軽食の店頭販売をするカフェ

シナモンの香りのホットワインを買い求めるパリジェンヌたち
シナモンの香りのホットワインを買い求めるパリジェンヌたち

パリ在住ジャーナリスト

出版社できもの雑誌の編集にたずさわったのち、1998年渡仏。パリを基点に、フランスをはじめヨーロッパの風土、文化、暮らしをテーマに取材し、雑誌、インターネットメディアのほか、Youtubeチャンネル ( Paris Promenade)でも紹介している。

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