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停戦合意を受けシリアのイドリブ県での爆撃は停止したが、トルコ占領下のラッカ県でトルコ軍兵士3人が爆殺

青山弘之東京外国語大学 教授

ロシアはM4高速道路再開に向けた非公式の地図をトルコに示す

『シャルク・アウサト』のイブラーヒーム・ハミーディー記者はフェイスブックのアカウントで、5日にモスクワで行われたロシアのヴラジミール・プーチン大統領とトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領の首脳会談でロシア側が示したとされるイドリブ県の非公式の地図を公開した。

地図では、ラタキア市とアレッポ市を結ぶM4高速道路の通行を再開するために、沿線に幅12キロの人道回廊が設置され、その南側は武装集団が排除される地域となっている。その一方、イドリブ県のカフル・ナースィフ村にトルコ軍の新たな監視所が設けられている。

Facebook、2020年3月6日
Facebook、2020年3月6日

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イドリブ県でのシリア軍、ロシア軍、トルコ軍の爆撃止む

英国を拠点に活動する反体制系NGOのシリア人権監視団は、ロシア・トルコ首脳会談で合意された停戦が5日深夜に発効したのを受けて、6日にはシリア・ロシア軍、トルコ軍による爆撃は確認されなかったと発表した。

しかし、無人航空機(ドローン)がシリア駐留ロシア軍司令部が設置されているラタキア県フマイミーム航空基地に飛来、防空部隊(所属は明示せず)がこれを撃墜した。

また、シリア軍が「決戦」作戦司令室の支配下にあるアレッポ県のタカード村、イドリブ県のファッティーラ村、ハマー県北西部一帯を砲撃した。

「決戦」作戦司令室は、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構、トルコの庇護受ける国民解放戦線(国民軍)などからなる武装連合体。

さらに、フライフィル村一帯では、シリア軍と「決戦」作戦司令室が交戦したが、戦闘は数分で収まったという。

シリア軍は新疆ウィグル自治区出身者を主体とするトルキスタン・イスラーム党と交戦

一方、イドリブ県のザーウィヤ山では、シリア軍と中国新疆ウィグル自治区出身者を主体とするトルキスタン・イスラーム党が交戦、シリア軍兵士6人とトルキスタン・イスラーム党メンバー9人が死亡した。

ラッカ県のトルコ占領地で爆弾が仕掛けられていた車が爆発し、トルコ軍兵士3人死亡

ラッカ県では、反体制系のEldorarがトルコの庇護を受ける国民軍の司令官の話として伝えたところによると、トルコ占領下のタッル・アブヤド市近郊に位置するダーミシーヤ村の検問所で車に仕掛けられていた爆弾が爆発し、トルコ軍兵士3人が死亡した。

トルコ占領地(「平和の泉」地域)でトルコ軍兵士が爆殺されるのはこれが初めて。

(「シリア・アラブの春顛末記:最新シリア情勢」をもとに作成)

東京外国語大学 教授

1968年東京生まれ。東京外国語大学教授。東京外国語大学卒。一橋大学大学院にて博士号取得。シリアの友ネットワーク@Japan(シリとも、旧サダーカ・イニシアチブ https://sites.google.com/view/sadaqainitiative70)代表。シリアのダマスカス・フランス・アラブ研究所共同研究員、JETROアジア経済研究所研究員を経て現職。専門は現代東アラブ地域の政治、思想、歴史。著書に『混迷するシリア』、『シリア情勢』、『膠着するシリア』、『ロシアとシリア』など。ウェブサイト「シリア・アラブの春顛末記」(http://syriaarabspring.info/)を運営。

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