【NHL】ピッツバーグ2連勝スタート! ルーキーの大活躍と鬼門に泣いた年俸7億8000万円の守護神
今季のNHLのチャンピオンを決める「スタンレーカップファイナル」は、イースタンカンファレンスを制したピッツバーグ ペンギンズと、ウエスタンを勝ち上がってきたナッシュビル プレデータズの顔合わせで幕明け!
レギュラーシーズンのポイント(勝点)で上回るピッツバーグのPPGペインツアリーナで行われた第1戦が 5-3。続く第2戦は 4-1 のスコアで、ともにホームのピッツバーグが勝利して、2連勝スタートとなりました。
▼立役者はドラフト77番目指名のルーキー
ピッツバーグの勝因は、何と言ってもルーキーの大活躍。
キャプテンのシドニー・クロスビーや、エフゲニ・モルキンというコンスマイストロフィー(プレーオフMVP)を受賞したキャリアを誇るFWが揃う中で、最も光っていたのは、 FWのジェイク ・グェンツェル(22歳=タイトル写真)
グェンツェルは、第1戦、第2戦ともに決勝点となる勝越しゴールをゲット。
ルーキーでは実に78年ぶりとなる「スタンレーカップファイルの2試合連続決勝ゴール」を決めて、文字どおり2連勝スタートの立役者に!
ミネソタで生まれたグェンツェルは、長年にわたってカレッジホッケーのコーチを務めている父親の影響を受け、アイスホッケーを始めました。
とはいえ、ドラフト1巡目で指名されるトッププロスペクト選手のように、U20(20歳以下)代表に選ばれた経歴を誇るエリートではなく、ドラフト指名も3巡目(2013年全体77番目)。
しかも身長178cm体重76キロと、決してサイズに恵まれた選手ではありません。
▼ルーキーの得点記録まで「あと2ゴール」
しかしながら、マイナーリーグ(AHL)で活躍し、11月に初めてNHLに昇格すると、いきなりデビュー戦で2ゴールと大暴れ。
その後、一旦AHLへ降格しましたが、年明けの1月16日に再昇格を果たしたあとは、ケガ人が多かったチーム事情も幸いして、レギュラーの座をつかみ、プレーオフを迎えました。
初めてとなるスタンレーカップを争う戦いにもかかわらず、グレンツェルはファーストラウンドでハットトリックを達成!
クロスビーやモルキンを上回る「12ゴール」をマークしています。
「12ゴール」という数字は、コロラドアバランチ在籍時にコンスマイストロフィー(プレーオフMVP)に輝き、アジアリーグでもプレーしたクロード・ルミューや、昨秋のワールドカップの金メダルメンバー のブラッド・マーシャント(ボストンブルーインズ)らを抜いて、ルーキーのプレーオフ(シングルシーズン)得点数で史上2位に!
あと「2ゴール」でアイスホッケー殿堂入りを果したディノ・シサレリが持つルーキーのプレーオフ最多得点記録に、肩を並べるほどの活躍で、早くも「コンスマイストロフィーの最有力候補」と目されています。
▼もう一人のMVP有力候補はKO
一方、2連敗スタートとなったナッシュビルは、劣勢が続いているとあって、昨夜の試合では、このようなシーンも。
どの選手もフランストレーションを貯めてしまっている様子ですが、なかでも心配されるのは、守護神ペカ・リネの不調・・・。
カンファレンスファイナルまで抜群の安定感を誇ってきたことから、スタンレーカップファイナル前のプレビュー記事では、リネが「コンスマイストロフィーの最有力候補」に挙げられていることを紹介しました。
しかしながら、ここまでの2試合は冴えがなく、第1戦、第2戦とも4失点(第1戦は加えてエンプティネットで失点1)。特に第2戦では、第3ピリオド開始直後に、グェンツェルのゴールに始まって、3連続失点を喫し途中交代。ノックアウトを喫してしまいました。
▼リネのリズムを狂わせた珍記録
ここまで本来の力を発揮できずにいるリネですが、実は第1戦でリネのリズムを狂わせた珍記録を、ピッツバーグが作りました。
その記録とは、
37分間 シュート「0」
アイスホッケーの試合で公式に記録されるシュート数は、GKがセーブしていなければ得点になる「ショット・オン・ゴール(SonG)」と呼ばれる数字。
実は第1戦のピッツバーグは、第2ピリオドの SonGが「0」
NHLがSonGをカウントするようになって以来、59季目にして「プレーオフの試合中に、SonGが記録されなかったピリオド(アディショナルタイムを含まない20分)」は史上初めての珍記録。
しかも、第1ピリオド終盤から第2ピリオドを挟み、第3ピリオド途中まで、リネは37分間にわたって1本もシュートを浴びなかったのです。
▼GKは忙しいほうがいい
NHLに限らず、かつての日本リーグや、現在のアジアリーグでプレーするGKに聞くと、異口同音に「ほとんどシュートが来ないよりも、シュートを受けてセーブし続けていくほうが乗っていける」と話します。
逆に、ほとんどシュートが来ないほうが、「体が冷えてしまうし、試合に集中しづらくなる」との声を耳にします。
これはリネにも当てはまってしまったようで、第1戦は被シュート11本→4失点(ピッツバーグのGKは26本→3失点 )
昨夜の第2戦は25本→4失点でKO。(ピッツバーグのGKは38本1失点)と、実力を垣間見せることさえできず、2連敗を喫してしまったのです。
▼ピッツバーグは鬼門 !?
今季のスタンレーカップファイナルでの2連敗も含めて、リネのピッツバーグでの試合(レギュラーシーズンも含む)の通算成績は「0勝5敗」。
1試合(3つのピリオドをフルにプレーした際)の平均失点率は「4.85」(NHL全試合の通算成績は2.38)
シュートセーブ率に至っては、「8割3分3厘」(同9割1分7厘)というように、全チームのGKの中で3番目の高額年俸となる700万USドル(およそ7億8000万円=サラリーキャップ相当額)の評価を受けているリネですが、ピッツバーグは鬼門の様子。
しかし、土曜日に行われる第3戦と翌々日の第4戦は、ナッシュビルに舞台を移して行われるだけに、リネとナッシュビルが巻き返して、頂上決戦にふさわしい接戦が見られるのを、期待したいところです。