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アイスホッケー ワールドカップはカナダが2連覇! でもMVPのクロスビーは喜んでいられない!?

加藤じろうフリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家
世界選手権優勝(写真)に続いてワールドカップも制したシドニー・クロスビー(写真:ロイター/アフロ)

今月17日(現地時間)から、カナダのトロントを舞台に繰り広げられていた「アイスホッケー ワールドカップ」は、昨夜、決勝の第2戦が行われました。

第1戦で敗れ、あとのないチーム・ヨーロッパは、第1ピリオドに先制すると、リベンジへの強い思いを抱いて決勝に臨んだ GK ヤロスラフ・ハラク が、好セーブを連発!

ハラクの好調ぶりに、「ヨーロッパが逆王手を掛けて、ワールドカップの行方は第3戦へ!」と思われましたが、試合終了3分前に、カナダがパワープレー(=相手の反則退場によってプレーヤーの数が多い状況)のチャンスを活かして同点。

さらにカナダは、ペナルティを犯して人数が少ない状況(=ペナルティキリング)にもかかわらず、準決勝で2得点したブラッド・マーシャンド(ボストン ブルーインズ)が、ゴール正面からシュート !!

オーバータイム突入まで「あと44秒」というところで飛び出したショートハンドゴール(=人数の少ないチームの得点)が、カナダにワールドカップをもたらせる、文字どおりの ”Vゴール” となりました。

▼シドニー・クロスビーがMVP!

12年ぶりに開かれた3度目のワールドカップで MVP に輝いたのは、カナダのFWシドニー・クロスビー(ピッツバーグ ペンギンズ)でした!

最も期待度が高いトップライン(=通常は各チームにFW3人で組むラインが4つあり、その中で主力選手が揃うライン)のCFとして起用され、アメリカ戦こそポイントなしに終わったものの、その他の5試合で10ポイント(3ゴール7アシスト)をマーク。

キャプテンとしての存在も加味されて、MVPに選出されました。

ところでクロスビーは、国際アイスホッケー連盟が制定したトリプルゴールド クラブ入りを、既に果たしています。

トリプルゴールドクラブについて紹介すると、

「オリンピック」「世界選手権」「NHL」

という3つのビッグタイトルを、全て制した者だけに授けられる栄誉で、これまでにクロスビーをはじめとする 27選手と、ヘッドコーチとして3つのタイトルを手にした一人が、メンバーに名を連ねています。

ワールドカップを制したカナダの中には、クロスビーや、マイク ・バブコック ヘッドコーチ(トロント メイプルリーフス)ら、5人のメンバーがいるとあって、トリプルゴールドクラブをしのぐ「新たな栄誉」を求める声が、カナダのメディアから出てくるかもしれません。

▼喜んでいられないクロスビー !?

先日の記事で紹介したとおり、今大会はカナダにとって「威信を懸けた戦い」と位置付けられていただけに、、、

「アイスホッケーの国」であることを、結果で証明したカナダの選手たちは、リンク上で最高の笑顔を見せていました。

ところが、クロスビーは、、、

MVPのトロフィーを手にしても、ほとんど表情を崩しませんでした。

一体、どうしてなのでしょう?

ひょっとするとクロスビーは、、、

ワールドカップのMVPは、その後のキャリアで一度も優勝できずに引退した

ことを知っていたのかも・・・。

振り返ってみると、1996年の「第1回ワールドカップ」でMVPに選出されたのは、アメリカの GKマイク・リクター(当時30歳)でした。

リクターが在籍していたニューヨーク レンジャーズには、3季前にスタンレ―カップ(=NHLの優勝トロフィー)を勝ち取った優勝経験者に加え、ウェイン・グレツキーマーク・メシエブライアン・リーチなど、いずれも殿堂入りを果たした “レジェンド“ がズラリ。

このようにトップクラスの戦力を誇りながらも、再び頂点に立つことができず、36歳で引退しました。

続く「第2回・ワールドカップ」(2004年開催)でMVPを受賞したのは、カナダのFWビンセント・ルカバリエ(当時24歳)。

看板プレーヤーとして、タンパベイ ライトニングをNHL初優勝に導く原動力となったのに続き、その年の秋には、カナダ代表のFWとしても、ワールドカップ初優勝の原動力に。

しかしルカバリエは、その後もチームを移りながら、昨季までプレーを続けましたが、もう一度スタンレーカップを手にする夢は、かなわないまま、36歳になって迎えた今年の6月に、引退を発表しました。

今になって振り返ってみると、ひょっとしたら、

ワールドカップのMVPに選ばれて、勝ち運を全て使い果たしてしまった

のかもしれません???

それだけに、ワールドカップでカナダが2連覇を達成しても、MVPのクロスビーは喜んでいられない気持ちなのでしょうか !?

クロスビーが、今後のキャリアで、さらに栄冠を勝ち取って「三度目の・・・」、もとい「三人目の正直」を達成するのか?

それとも、もう二度と美酒を味わうことができずに引退し、「二度あることは三度ある」となってしまうのか?

29歳のスタープレーヤーのこれからが気になります。

フリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家

アイスホッケーをメインに、野球、バスケットボールなど、国内外のスポーツ20競技以上の実況を、20年以上にわたって務めるフリーランスアナウンサー。なかでもアイスホッケーやパラアイスホッケー(アイススレッジホッケー)では、公式大会のオフィシャルアナウンサーも担当。また、NHL全チームのホームゲームに足を運んで、取材をした経歴を誇る。ライターとしても、1998年から日本リーグ、アジアリーグの公式プログラムに寄稿するなど、アイスホッケーの魅力を伝え続ける。人呼んで、氷上の格闘技の「語りべ」 

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