Yahoo!ニュース

シャビ・バルサを振り返る。グアルディオラの「壁」に、勝率と不都合なデータ。

森田泰史スポーツライター
選手に指示を送るシャビ監督(写真:ムツ・カワモリ/アフロ)

変化が必要な時期に差し掛かった。

バルセロナは今季限りでシャビ・エルナンデス監督が退任する。2025年夏まで契約を残していたシャビ監督だが、先日、2023―24シーズン終了時にクラブを去ることを明言している。

退任が決まったシャビ監督
退任が決まったシャビ監督写真:ムツ・カワモリ/アフロ

「私は正しいことをしたと思う。共通認識があった上で、行動した。負の連鎖があり、その説明がつかなかった」

「もちろん、全員が団結していると知っていた。しかし、(退任宣言後)多くの人が私に電話やメッセージをくれた。驚いたよ。そういった人間性を私は大切にしている。すごく心が揺さぶられた」

これはシャビ監督の言葉だ。

■シャビの退任の理由

バルセロナは1月のスペイン・スーペルコパ決勝でレアル・マドリーに1−4と敗れた。コパ・デル・レイでは準々決勝でアトレティック・クルブに敗れ、ベスト8敗退が決定した。

わずか数週間で、2つのタイトルの可能性が潰えた。それがシャビ監督の退任の引き金になったのは間違いないだろう。

ラ・リーガ連覇は厳しい状況
ラ・リーガ連覇は厳しい状況写真:ロイター/アフロ

「バルセロナで監督を務めるというのは、他クラブで監督をして感じるプレッシャーとは比べ物にならない」とはジョゼップ・グアルディオラ監督だ。

事実、グアルディオラ監督(2008―2012)以降、多くの指揮官がバルセロナを率いてきた。

ティト・ビラノバ監督(2012−2013)、ヘラルド・マルティーノ監督(2013―2014)、ルイス・エンリケ監督(2014−2017)、エルネスト・バルベルデ監督(2017−2020)、キケ・セティエン監督(2020)、ロナルド・クーマン監督(2020―2021)、シャビ監督(2021−2024)…。実に、12年間で7人の監督がチームを率いてきた。

■長期政権の意味

スペインで、長期政権は難しい。

アトレティコ・マドリー(ディエゴ・シメオネ監督)が10年超の政権を築いているが、ほか、それに追随するクラブはない。だが一方で、コロコロと監督を代えるのも良くないのは明らかだ。近年、このペースで監督を交代させているのはシンガポール人オーナーのピーター・リムがいるバレンシアくらいしか思い浮かばない。

監督が変われば、戦術が、チームが変わる。求められる選手が変わり、当然、補強方針にも変更が加えられる。

ネイマール亡き後、バルセロナがウスマン・デンベレ、フィリップ・コウチーニョ、アントワーヌ・グリーズマンと後釜探しに奔走したのは偶然ではない。そして、彼らはいずれもすでにチームに残ってさえいないのだ。

■結果と勝率

実際、シャビ・バルサは苦しんでいた。

グアルディオラ政権以降で、シャビ監督の勝率(61.79%)の勝率はワースト2位である。クーマン監督(58.21%)と大差ないという、クレには不都合な真実がある。

この記事は有料です。
誰かに話したくなるサッカー戦術分析のバックナンバーをお申し込みください。

スポーツライター

執筆業、通訳、解説。東京生まれ。スペイン在住歴10年。2007年に21歳で単身で渡西して、バルセロナを拠点に現地のフットボールを堪能。2011年から執筆業を開始すると同時に活動場所をスペイン北部に移す。2018年に完全帰国。日本有数のラ・リーガ分析と解説に定評。過去・現在の投稿媒体/出演メディアは『DAZN』『U-NEXT』『WOWOW』『J SPORTS』『エルゴラッソ』『Goal.com』『WSK』『サッカーキング』『サッカー批評』『フットボリスタ』『J-WAVE』『Foot! MARTES』等。2020年ラ・リーガのセミナー司会。

森田泰史の最近の記事