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夏の名残の3つの雲の塊と北日本の冬型気圧配置

饒村曜気象予報士
日本の南の3つの雲の塊(令和元年(2019年)11月17日9時00分)

日本の南海上

 日本の南の熱帯域には3つの雲の塊があります。

 台風25号の雲の塊と台風26号の雲の塊、熱帯低気圧まで発達していない雲の塊の3つです(タイトル画像参照)。

 台風25号と台風26号は当然のことながら地上天気図にありますが、熱帯低気圧まで発達していない雲の塊は、まだ地上天気図では表現されていません。

 これから、周囲より気圧が低くなり、そこから熱帯低気圧が発生するかもしれません(図1)。

図1 地上天気図(11月17日3時)
図1 地上天気図(11月17日3時)

 日本の南海上は、台風が発達する目安の温度とされている27度以上の高い海面水温です。

 台風25号、台風26号ともに海面水温が27度以上の海域です。

 このため、2つの台風はともに急速には衰弱しません。

 台風25号は南鳥島近海を東よりに進む見込みで、18日(月)には熱帯低気圧になる見込みです。

 一方、台風26号はフィリピンの東海上を西よりに進み、18日(月)にはバシー海峡に達し、21日(木)には南シナ海で熱帯低気圧に変わる見込みです(図2)。

図2 台風の進路予報(11月17日3時の予報)
図2 台風の進路予報(11月17日3時の予報)

 台風情報は最新のものをお使いください

 台風26号が台風25号より長寿なのは、海面水温が高い海域を移動しているからです。

 日本の南の熱帯域は、まだ夏の名残が残っています。

緩む冬型の気圧配置

 図1でも分かるように、北海道に暴風雪をもたらしている西高東低の冬型の気圧配置は、17日(日)3時の時点で北日本だけです。

 今後、西日本に移動性高気圧が進んでくることで、冬型の気圧配置はさらに弱まります。

 このため、北海道は17日の午前中を中心として雪でふぶく所があるものの、全国的には一日を通しておだやかに晴れるところが多くなる見込みです。

 ただ、この晴天は長続きしません。

 週明けには、日本海北部を発達した低気圧が通過し、全国的に大荒れの天気となります(図3)。

図3 予想天気図(11月19日21時)
図3 予想天気図(11月19日21時)

 そして、冬型の気圧配置となって寒気が再び南下してきます(図4)。

図4 雨と風の分布予報(11月19日21時)
図4 雨と風の分布予報(11月19日21時)

再びの寒気の南下

 11月19~20日に南下してくる寒気は、15~16日に南下した寒気とほぼ同程度で、ともに、強い寒気は北海道どまりです。

 札幌では、週半ばには再び寒くなるものの長続きせず、週後半は少し暖かくなる見込みです(図5)。

図5 札幌の最高気温と最低気温(11月17~23日は気象庁、11月24日~12月3日はウェザーマップの予想)
図5 札幌の最高気温と最低気温(11月17~23日は気象庁、11月24日~12月3日はウェザーマップの予想)

 とはいえ、10度をやっと超えるような最高気温、氷点下が増えてくる最低気温の予報で、季節は着実に冬に向かっています。

 一方、東京はというと、札幌のような気温の急降下ではありませんが、札幌同様に季節が進んでいます。

 東京の16日先までの天気予報を見ると、最高気温が20度をなかなか超えなくなり、最低気温は連日10度以下になるという予報となっています(図6)。

図6 東京の16日先までの天気予報
図6 東京の16日先までの天気予報

 降水の有無の信頼度は、5段階表示されており、その一番低いE、その次に低いDがついていますが、東京では「晴れて寒い師走入り」となりそうです。

タイトル画像、図2、図4、図6の出典:ウェザーマップ提供。

図1、図3の出典:気象庁ホームページ。

図5の出典:気象庁資料とウェザーマップ資料から著者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2024年9月新刊『防災気象情報等で使われる100の用語』(近代消防社)という本を出版しました。

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