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スマホがトップでパソコン超え、60代前半では82.9%が利用…高齢者のインターネットアクセス機器動向

不破雷蔵グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  
高齢者も気軽にインターネットライフ。その実情は(写真:アフロ)

団塊世代が定年退職を迎え、人口構成比率上でもさらに高齢層の割合が増加し、高齢社会化が進む中で、高齢層のインターネット利用状況に注目が集まりつつある。就業時と比べてプライベートの時間を多く取れるメリットがある一方、新しい技術には腰が引ける傾向がしばしば見受けられること、さらには身体的な老化に伴い操作に難儀する事例もあることなど、年齢階層間のギャップの原因となる点も指摘されている。今回は総務省が2024年6月に発表した「通信利用動向調査」(※)の公開値を基に、高齢者がどのような機器を使ってインターネットを利用しているかを確認する。

今調査ではパソコンでインターネットを利用している人は47.4%、携帯電話(従来型携帯電話とPHS、スマートフォン)でインターネットへのアクセスをしている人は77.0%に達している。

↑ インターネット機器としての個人の機器利用率(全体比、パソコンと携帯電話、年齢階層別)(2023年)
↑ インターネット機器としての個人の機器利用率(全体比、パソコンと携帯電話、年齢階層別)(2023年)

高齢層においては中年層までと比べて従来型携帯電話によるインターネットの利用が多く、インターネットの利用をけん引している一面がある。そこで60歳以上に限定して年齢区分を細分化し、「携帯電話」を「従来型携帯電話(フィーチャーフォン)とPHS」と「スマートフォン」に分割し、上記のグラフを再構築したのが次の図。「6歳以上全体」とは調査対象母集団全体のこと。このグラフでは60歳以上の年齢階層がメインとなっており、単に「全体」とすると60歳以上全体と誤解する可能性があることから、あえてこの表記にしている。

↑ インターネット機器利用率(年齢階層別(一部))(2023年)
↑ インターネット機器利用率(年齢階層別(一部))(2023年)

すべての年齢階層でスマートフォンの利用がトップ。パソコンの利用率が高めなのは、現役世代の時に使っていた端末を利用し続けている、技術が流用できるのに加え、大きな画面で操作できるため視力が落ちても安心して使えるからだと考えられる。入力時に小さなタッチパネルを使わなくても済むのもメリットに違いない。それでもスマートフォンの利用率には届かない。

6歳以上全体ではスマートフォンによるインターネット利用者は72.9%だが、70~74歳では55.9%と全体よりも下、そして75~79歳では40.7%と4割強になる。また従来型携帯電話の利用率はそれなりに高く、65~79歳では全体値の9.0%よりも高い値を示している。これは「今まで使っていた従来型携帯電話をそのまま利用し続けている」「スマートフォンへ買い替えをすることにより、多くの新しい操作を覚えるのは面倒」「メールや簡単なソーシャルメディアへのアクセスができれば十分」など、高齢者の利用実情が理由であると考えられる。

もっとも昨今ではいわゆる「格安スマホ」の展開により、料金面でのスマートフォンのハードルは以前よりも低くなりつつある。ただしその分、利用時のハードルが高く、その点で高齢層は、単純なスマートフォンよりも「格安スマホ」の方が難儀するかもしれない。

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※通信利用動向調査

2023年分は2023年8月末に、「世帯向けは都道府県および都市規模を層化基準とした層化二段無作為抽出法で選ばれた、満20歳以上の世帯主がいる世帯・構成員に」「企業向けは公務を除く産業に属する常用雇用者規模100人以上の企業に」対し、郵送あるいはオンラインによる調査票の配布および回収の形式によって行われている。有効回答数はそれぞれ1万4059世帯(3万4196人)、2640企業。各種値には国勢調査や、全国企業の産業や規模の分布に従ったウェイトバックが行われている。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項のない限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項のない限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロではないプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記のない限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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