パチンコも読書もする人減少中…種類別・趣味娯楽をする人の変化(2024年公開版)
人は衣食住を充足すればそれで日々の暮らしにすべて満足するわけではなく、自分の趣味にあわせて多様な娯楽を楽しむ時間を過ごすことで、はじめて生活の充実を確認することができる。人々はどのような趣味・娯楽をたしなんでいるのか、総務省統計局の「令和3年社会生活基本調査」(※)の結果から、その実情を確認していく。
今件項目は回答時から過去1年間において、自分の趣味・娯楽としてその行動をしたか否かを聞いた結果をまとめたもの。調査では広範囲にわたる趣味・娯楽が対象となっているが、今回はパチンコ、スマホ・ゲーム機などによるゲーム、カラオケ、園芸・庭いじり、趣味としての読書、写真の撮影・プリント(機種の限定はないため、デジカメやスマートフォンによる撮影も含む)に限定した。頻度は問わず、1年以内に一度でも手にした・実行すれば該当する。
そのうち4項目に限定して直近年分を年齢階層別に見たのが次のグラフ。調査対象母集団全体ではパチンコ6.3%、スマホ・ゲーム機などによるゲーム42.9%、カラオケ13.5%、写真撮影やプリント21.9%との結果となった。
パチンコは20代前半がやや低めだが、おおよそ20歳以降ほぼ一定率で遊んでいる人がいる。最多行動者率は30台前半の9.8%。それ以上の年齢階層では大体少しずつ値を減らしている。しかし75歳以上でも2.6%の人が遊んでいる。
一方スマホ・ゲーム機などによるゲームは10代前半がピーク。それ以上の年齢階層では行動者率は減っていくが、50代前半以上は減少率がやや大きなものとなる。他のデジタル系ツールに関する調査でも大体この年齢階層で断崖的な差異が生じており、デジタルギャップがこの年齢階層で発生しているものと思われる。あるいは老眼によるものだろうか。
一時は大流行して、あちこちにカラオケボックスが点在することになったカラオケも、今では全体で1割強。若年層の利用率は高めで、20歳前半では4割強の行動者率を見せている。またパチンコ同様、高齢層でも一定率の利用者がいるのも特徴的な動き(75歳以上でも5.4%が利用経験ありとしている)。
写真撮影・プリントもまた、高齢者でもそれなりに高い利用率を示している。もっともこちらは30代後半がピーク。多分に世帯を持ち、子供の写真を撮る必然性が生じてのものだろう。
これら4項目に、いくつかの趣味・娯楽として例に挙げられることが多い項目を加え、前世紀末からの行動者率の動きを見たのが次のグラフ。
スマホ・ゲーム機などによるゲームは増加の一途をたどっている。今回取り上げた中では唯一、前世紀末から継続して上昇を見せている項目。他の娯楽は読書や写真撮影、日曜大工のように一時上げる気配を見せたものの、おおよそ減少傾向にある。特にカラオケは、2016年から2021年にかけて、17.2%ポイントもの減少が確認できる。もちろんこれは新型コロナウイルスの流行という特殊要因も大きな影響を与えていることは言うまでもない。
「趣味・娯楽の多様化」との指摘はよく耳にする。しかし実際には既存の娯楽から疎遠になる人が増え、特定の趣味の中で細分化している感は否めない。社会生活基本調査の「趣味・娯楽」の項目には無いが、例えばソーシャルメディアでのやり取り、テレビ視聴、ウェブサーフィンのように、他の趣味・娯楽を包括しうるものに取り込まれている気がしてならない。
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※令和3年社会生活基本調査
国勢調査の調査区のうち、総務大臣の指定する約7600調査区に対して行われたもので、指定調査区から選定した約9万1000世帯に居住する10歳以上の世帯員約19万人を対象としている。ただし外国の外交団やその家族、外国の軍人やその関係者、自衛隊の営舎内や艦船内の居住者、刑務所などに収容されている人、社会福祉施設や病院、療養所に入所・入院している人は対象外。2021年10月20日現在の実情について回答してもらっているが、生活時間については2021年10月16日から10月24日までの9日間のうち、調査区ごとに指定した連続する2日間についての調査となる。調査方法は調査員による調査世帯への調査票配布と、調査員への提出あるいはインターネットでの回答による回収方式。
調査は5年おきに実施されており、過去の調査もほぼ同様の様式で行われている。
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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。
(注)「(大)震災」は特記や詳細表記のない限り、東日本大震災を意味します。
(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。