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初戦を迎える、なでしこジャパン。相手は成長著しいスペイン代表(2)

松原渓スポーツジャーナリスト
大会に向け、全員での集合写真撮影も行われた(C)松原渓

3月1日から行われるアルガルベカップに向け、28日の午後には今大会に出場する各チームの監督が出席し、記者会見が行われた。

初戦を迎える、なでしこジャパン。相手は成長著しいスペイン代表(1)

以下、大会及び初戦のスペイン戦に向けた監督・選手の意気込み。

【監督・選手コメント】

高倉麻子監督(大会前日記者会見)

ーー今大会は、日本にとってどのような位置付けになりますか?

強豪国が揃う、伝統ある大会に参加できて嬉しく思います。私たちのチームは若い選手も多く入って来て、新しいチームなので、世界の中で今の日本の立ち位置がどの辺りなのかを試す、良い機会だと考えています。国際大会が初めての選手も多いので、初戦はリラックスした状態でゲームに入ることを心がけています。いい時間帯、悪い時間帯も含めてゲームをコントロールできるように話し合いたいですね。

ーー初戦、スペイン戦に向けた意気込みをお願いします。

スペイン戦はコンディションの良い選手を起用します。その中で、新しいポジションへの抜擢も含めて、全員がある程度の時間帯をプレーできるように考えながらも、勝つことにこだわっていきます。そのバランスは難しいと思いますが、私自身のチャレンジでもあります。(この会見場で)全チームの監督に会ってみて、負けたくないという気持ちが強くなりました。

立派なトロフィーを持って帰りたいですね。その思いを選手たちにも伝えて、良い準備をしたいと思います。

中島依美
中島依美

MF 中島依美(26日練習後)

ーー新体制になって、初の国際大会です。チームの雰囲気はいかがですか?

(歳が)上の方たちもとても良い雰囲気を作ってくれているので、ベテランから若手までやるところはやって、オフはオフでリラックスして、メリハリをつけられていると思います。

ーートレーニングの中では、チームとしてパススピードを上げることに取り組んでいますが、手応えはいかがですか?

日本で通用するスピードは海外の選手と対戦する中では通用しないので、判断の中でパススピードに強弱をつけることが大切です。グラウンドがちょっとボコボコしているところもありますし、日本とは違って(練習場の)芝が深くボールが止まりやすいので、そういったことも意識しています。ボールも違うので、早く慣れることが大切ですね。

ーー初戦で対戦するスペインには、どのようなイメージがありますか?

スペインとは試合をしたことがないですし分からないのですが、ボールを繋いでくるイメージがあります。これから映像を見て、しっかり良い準備をしたいと思います。

ーー大会を通しての目標を教えていただけますか?

新体制のなでしこジャパンになってから初めての大会なので、タイトルを獲りたいですし、個人としては得点を貪欲に狙っていきたいです。

佐々木繭
佐々木繭

MF 佐々木繭(ささき・まゆ/27日練習後)

ーーなでしこジャパンのアメリカ遠征(2016年6月)、スウェーデン遠征(2016年7月)を経て、今回のアルガルベカップに挑みますが、A代表の雰囲気には慣れてきましたか?

雰囲気には慣れましたが、毎回レベルの高い練習ができる中で、自分の実力の低さを感じながら取り組んでいます。

ーー初戦を控えて、ご自身の状態はいかがですか?

コンディションは上げてきていますし、チームの調子も良い感じです。自分の良さをしっかり出さないと次(の選出)はないと思っているので、積極的にプレーしたいですね。自分の良さは、状況に応じて周りの選手に合わせることができることだと思うので、選手の組み合わせが違っても、どのポジションでも、フィットできるようにしたいです。

ーー複数のポジションでプレーする際に、どのようなことを大切にしていますか?

どのポジションでも周りの選手との連携が大切なので、ポジショニングは大切にしています。

山下杏也加
山下杏也加

GK 山下杏也加(やました・あやか/27日練習後)

ーーアルガルベカップは初出場ですが、どのようなことをテーマにしていますか?

これから(日本の)シーズンが始まる中で、最初の一番、大事な大会だと思っています。まだ、なでしこジャパンとして勝てていない中で、自分自身も結果を残せていないですし、海外の選手と対戦できる機会を楽しみつつ、結果も追求したいです。

ーー現在、トレーニングの中で意識して取り組んでいることはどのようなことですか?

キーパー練習でも、ポゼッションの練習が多く、(キーパーも足元から)パスをつなげる力が重視されていると思います。日本人は高さで勝てない分、パスの質を上げることが大切ですね。スペインもパスをつなぐイメージが強いのですが、その相手にどれだけ通用するかが楽しみです。

個人的には、ポジショニングの精度を上げることも心がけています。大橋(GK)コーチが、下を向かないように(前向きな)言葉をかけてくださるので、リラックスしながらも、3人(のGK)で競争し合えるような雰囲気を作ってくれていると感じます。リラックスした中で、コミュニケーションを取りやすい環境ですが、大橋さんからはよくイジられますね(笑)。

ーー今大会の具体的な目標を教えてください。

まずは、代表に定着することと、スタメンで試合に出続けることです。もし試合に出られたら、優勝を目指すことはもちろんですが、何かしら、この大会で残したいです。

北川ひかる
北川ひかる

DF 北川ひかる(28日練習後)

ーーA代表デビューを控えて、今の心境はいかがですか?

A代表に選ばれたのは2回目なのですが、まだ、ボールを触るごとに緊張しています(笑)。でも、試合が楽しみですし、ピッチに入れば大丈夫だと思います。(歳)上の方たちが、自信を持ってやればいいよ、と言ってくれますし、アカデミーの先輩とか、以前から知っている人も多いのは心強いですね。

ーースペインとは昨年末のU-20女子ワールドカップで対戦していますが、A代表のイメージはいかがですか?

映像を見たのですが、前からプレッシャーにくるところや、裏にスペースが空くところは(U-)20で対戦した時と似ています。その中で、(自分は)積極的に攻撃参加して、守備では1対1で絶対に負けないところを強く意識してプレーしたいと思っています。

ーーチームの課題として、パススピードを上げることに取り組んでいますが、A代表の中で、U-20の時との違いは感じますか?

(ボールに対する)アプローチのスピードがU-20よりも早くて、さらにパススピードを上げないと、次のプレーをする選手に迷惑をかけてしまうので、その点は違いを感じています。海外の選手に対しては緩いパスは取られてしまうので、インサイドではなくて、(強く蹴るために)インステップで蹴ることも多くなると思いますし、一つひとつのプレーを丁寧にしていきたいです。

ーー大会を通して、どのようなことを得たいですか?

自信を持てる選手になって日本に帰りたいですね。あとは、チームの中のコンセプトをしっかりと頭の中に入れて、(所属の)レッズ(レディース)でプレーしながらも、また選んでもらえるような選手になりたいです。

横山久美
横山久美

FW 横山久美(28日練習後)

ーーアルガルベカップは横山選手にとって、どのような大会ですか?

自分自身が初めてなでしこジャパンに選出されて(2015年3月)代表合宿に参加し、出場した国際大会なので、思い入れはあります。ただ、前回(2015年)大会は、最後の試合は体調を崩して出られなかったですし、あまりいい思い出がないですね。今回は、U-20女子ワールドカップが終わって新しい選手たちが入ってきて、また新たな代表でのスタートという感じがしています。

ーー昨年のアメリカ戦(2016年6月2日△3-3)の劇的な同点ゴールが印象に残っています。海外勢と対戦する時には、どのようなことを意識していますか?

あのゴールは(増矢理花選手の)パスが良かったですし、自分の立ち位置も良かったので、決めることができました。今、なでしこジャパンで要求されていることも、チーム(AC長野パルセイロ・レディース)で言われていることと同じで、「前を向く」ということなので、分かりやすいですね。

ーー初戦で対戦するスペインのイメージはいかがですか?

スペインといえば、2010年のU-17女子ワールドカップの初戦でボロボロ(●1-4)に負けたイメージしかないですね。その時に対戦した選手が上の代に上がって、アンダー(育成年代)から育てられてきた選手たちがA代表に入ってきているイメージがあります。

ーー日本と似たスタイルですが、差をつけるとすればどのようなところでしょう?

日本の選手は性格的にも丁寧な人が多いので、一つひとつのプレーの丁寧さや、パスの質が違うと思います。普段の生活がプレーに出るということを、長野で本田(美登里)監督からいつも言われています。日常生活で几帳面な人はパスも丁寧に出せる、というイメージです。

ーーその点は、横山選手はどうですか?

チームでは、意外に几帳面だね、と言われますね。なでしこ(ジャパン)に選ばれるようになってからは、私生活も意識するようになりました。

ーー今大会で具体的な目標はありますか?

得点数などは決めていないのですが、試合に出た時のために、常に良い準備をすることの大切さを先輩に教わったので、どんな状況でも最高の準備をしておきたいと思っています。

スポーツジャーナリスト

女子サッカーの最前線で取材し、国内のWEリーグはもちろん、なでしこジャパンが出場するワールドカップやオリンピック、海外遠征などにも精力的に足を運ぶ。自身も小学校からサッカー選手としてプレーした経験を活かして執筆活動を行い、様々な媒体に寄稿している。お仕事のご依頼やお問い合わせはkeichannnel0825@gmail.comまでお願いします。

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