都知事選 「主要3候補以外の放送時間は3%」 6人の候補者がBPOに申立て
【GoHooトピックス】7月31日投開票の東京都知事選で民放各局の報道番組が「主要3候補」ばかり取り上げているのは「政治的に公平であること」と定めた放送法4条1項に違反する可能性があるとして、立候補した6人が26日、放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理検証委員会に審議を求める要望書を連名で送付した。同日、この6人の候補者は日本テレビ、テレビ朝日、フジテレビ、TBSの4社にも、3候補の動向に偏向した報道姿勢を改め、政治的に公平な報道を実施するよう求める書面を送付した。
BPOへの要望書や民放への要求書に名を連ねたのは、立花孝志氏、マック赤坂氏、中川暢三氏、山口敏夫氏、上杉隆氏、七海ひろこ氏(幸福実現党公認)の計6人(届け出順)。27日、記者会見で発表する。
今回の都知事選には計21人が立候補しているが、新聞各紙や民放各局は7月14日の告示日から、「主要3候補」(鳥越俊太郎氏、増田寛也氏、小池百合子氏)に焦点を当てて報道している。しかし、他の候補者は名前などが簡単に紹介されるだけで、政策や発言が伝えられることはほとんどない。
たとえば、フジテレビは14日放送のBS「プライムニュース」と19日放送の「バイキング」で、日本テレビも24日放送の「バンキシャ」で、「主要3候補」のみ出演させた。一方、NHKは、14日放送の「ニュースウォッチ9」で中川氏、山口氏、上杉氏を含む6人の候補者の演説や記者会見の映像を放送。ウェブサイトにも「主要6候補」の第一声全文を掲載し、選挙期間中の関連ニュースでは「主要6候補」の映像をほぼ同じ時間を割いて報道している。
6人の候補によるBPOへの要望書では、日本テレビ「NEWS ZERO」、テレビ朝日「報道ステーション」、TBSテレビ「NEWS 23」、フジテレビ「ユアタイム」の4番組について、7月18日から22日までの期間に「主要3候補」を取り上げた時間とその他の候補者を取り上げた時間を比べた結果、その差が30倍~40倍もあることがわかったと指摘。この調査は幸福実現党が行い、23日に発表していた(幸福実現党ウェブサイト)。候補者を映した放送時間を秒単位で計測したところ、4番組とも「主要3候補」が全体の97〜98%を占め、他の18候補は2〜3%との調査結果が出たという。NHKのニュースウォッチ9では「主要3候補」が全体の54%だったことと比べると、民放の「主要3候補」への偏りぶりは顕著だったことがわかる。
公職選挙法は、テレビの選挙報道について「放送法の規定に従い放送番組を編集する自由を妨げるものではない。ただし、虚偽の事項を放送し又は事実をゆがめて放送する等表現の自由を濫用して選挙の公正を害してはならない」(151条の3)と定めている。放送法4条1項には、放送事業者が従うべき番組編集準則として、「政治的に公平であること」(2号)、「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」(4号)との定めがある。
BPO・放送倫理検証委員会は昨年、放送法4条1項について「政府が放送内容について干渉する根拠となる法規範ではなく、あくまで放送事業者が自律的に番組内容を編集する際のあるべき基準、すなわち『倫理規範』」であるとの見解を示している。今回の要望書を受け、BPOが都知事選の報道について放送法4条1項に照らして審議を行い、見解をまとめるのかどうかが注目される。
- 日本テレビの24日放送「バンキシャ」でも「主要3候補」のみ生出演させていたため、追記しました。(20167/27 15:30)