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北京ーミラノ間乗客の半数が新型コロナウィルス陽性。「中国の皆さんようこそ」と器が大きいフランス

プラド夏樹パリ在住ライター
ゼロコロナ対策が終了した中国からの観光客が欧州に戻ってきている(写真:ロイター/アフロ)

北京ーミラノ便の乗客半数が陽性 パリ・ヘルシンキ経由の人も

ゼロコロナ政策が終了した中国で新型コロナウィルス感染者数が増加していることは周知のことだが、26日に北京からイタリアのミラノ空港に到着した便の乗客のうち、約50%が陽性だったことが欧州各国で報道されている。

そのため、イタリアは28日、中国からの乗客に新型コロナウィルス検査テストを義務化した。おまけに、陽性だからといって強制的に隔離されるシステムがすぐにできるわけもなく、あくまで「自主隔離」に過ぎない。2020年の2月、欧州での新型コロナウィルス第一波はイタリアから始まり、最も多くの犠牲者が出した国でもある。国民にとってまたか!という思いは免れ得ない。

イタリア政府は、今のところ空港検査で見つかったのはオミクロン株のみ、新株は発見されていないと発表している。

フランスへようこそ!と太っ腹なフランス大使館

ところでフランスは世界で観光収入が最も多い国の一つで、中国人観光客を必要としている。同日、在中国フランス大使館は、「中国人の皆さん、フランスへようこそ!」とツイートし、中国人から「フランスは器が大きい」「太っ腹」と称賛とも皮肉とも言えない声も上がっているそうだ。

病院が対応できないほど感染者が増え、このところ政府が感染者数を発表していない中国からの旅行者を、何の検査もなしに受け入れて本当に大丈夫なのか?筆者には不思議でたまらない。中国での感染者数は、現在1日3700万人ほどという推定をル ・モンド紙電子版29日版は報道した。

中国からの旅行者に検査を義務化するのは不当?

ところが、欧州疾病予防管理センター(EUの伝染病予防強化を専門とする機関)は、29日、「中国からの旅行者に検査を義務化するのは不当」という判断を下した。

その理由というのは、EU27か国ではワクチン接種が進んでいるためということだが、我々住人は落ち着かないというのが本当のところだ。ミラノ空港で陽性が発見された旅行客のうち数人は、パリ、ヘルシンキを経由してきており、このニュース以来、私が暮らすパリのメトロ内でマスクをしている人の数が増えたように感じた。右派フィガロ紙は『中国での感染者増加、世界は心配、ヨーロッパは気にせず』とタイトルしたが、いや、本当に、EUって太っ腹。

(注)今日、30日の夜、水際対策としてフランスとスペインも陰性証明書の提示を義務づけることを発表したが、EU全体では、今のところ何ら措置をとっていない状態だ。

パリ在住ライター

慶応大学文学部卒業後、渡仏。在仏30年。共同通信デジタルEYE、駐日欧州連合代表部公式マガジンEUMAGなどに寄稿。単著に「フランス人の性 なぜ#MeTooへの反対が起きたのか」(光文社新書)、共著に「コロナ対策 各国リーダーたちの通信簿」(光文社新書)、「夫婦別姓 家族と多様性の各国事情」(ちくま新書)など。仕事依頼はnatsuki.prado@gmail.comへお願いします。

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