出来る女子アナほど会社を辞める理由
先日、NHKの看板アナウンサーとして活躍した有働由美子さんが27年間勤めたNHKを退社して話題となりました。今回、本人のインタビューが掲載され、退社の理由として「管理職になって現場を離れることになったことがきっかけだった」と述べています。
【参考リンク】管理職、楽しめたと思うけど…有働さん、NHK辞めたきっかけは「あさイチ」交代
実は、同様の事情で会社を離れるビジネスパーソンは決して少なくありません。その背景にあるものとは何でしょうか。
出来る人ほど早期に現場を離れるという矛盾
ほとんどの日本企業では年功序列により処遇が決められるのが一般的ですが、その場合、ある段階で管理職に昇格し、プレイヤーからマネージャーに変わることを求められます。変な話、プレイヤーとして活躍している人ほど、早期にマネージャーに転じて現場から身を引くという矛盾した状況になるわけです。
むろん断ることも可能ですが、その場合は給料もそこで頭打ちとなってしまいます。エンジニアやデザイナーといった専門職の中には、そうした状況を嫌がって非年功序列型の企業に転職したり、独立する人も少なくありません。有名女子アナの独立ニュースは定期的に話題となりますが、背景には同じ事情があるのでしょう。
こういった専門職の離職を防ぐには、出世という単線型キャリアパスしかない人事制度を改め、専門職のまま高額の報酬を支払える複線型キャリアパスの導入が不可欠です。
さて、この単線型キャリアパスですが、専門職の離職に加え、実はもう一つ大きな問題をはらんでいる可能性があります。
2016年に鴻海に買収されその傘下に入ったシャープは、鴻海出身のトップのもと、債務超過状態からたった2年で最終黒字化というV字回復ぶりを見せました(2018年3月期)。
同社の不振は、旧経営陣に大きな責任があったと言わざるを得ないでしょう。単線型キャリアパスは専門職を処遇しきれないだけでなく、経営トップの育成という点でも大きな問題を抱えている可能性があるのです。