70年代のレトロゲームが遊べるゲームセンターがオープン 有名店「ゲーセンミカド」の新たな挑戦とは
新型コロナウイルスが流行する以前から多くのゲームファンが訪れ、対戦大会やユニークなイベントのネット配信を精力的に実施し、今や海外でも有名なゲームセンター「ゲーセンミカド」。その第3号店にあたる「ミカド×ナツゲーミュージアムin白鳥会館」が、今月29日に東京・高田馬場にオープンする。
すでに公式サイトでも発表されているが、同店に設置されるゲームは、30代以上の世代にとっては懐かしいレトロゲームが中心になるとのこと。開店に先駆けて、23日からプレオープンするとの情報を得た筆者は、早速現地へと足を運んだ。
はたして、新店舗ではいったいどんなゲームが遊べて、どのようなサービスを展開するのか? そして、コロナ禍の真っ最中であるこのタイミングで、「ゲーセンミカド」のスタッフはなぜ新店舗をオープンさせたのだろうか?
70年代に登場したゲームも設置、物販・イベントを実施してファミリー客にも訴求
実は同店がある場所は、元々「ゲームin白鳥プラザ」という別のゲームセンターが長らく営業を続けていたが、今年1月に「ゲーセンミカド」を経営する株式会社INHが営業権を取得。すぐ近くにある「ゲーセンミカド」の別館として、5月にリニューアルオープンすべく準備を進めていた。しかし、準備中にコロナ禍による臨時休業を余儀なくされ、経営状況が厳しくなったことで計画がいったんストップしてしまう。
そこでINHは、ほかの事業計画と合わせたクラウドファンディングを4月に実施したところ、熱心なファンから多くの支援が集まり、開始わずか2日目に目標金額の2千万円に到達。リニューアルオープンに必要な費用を無事に確保することができた。
同店のスタッフでINHの運営本部長、深町泰志氏によると「クラウドファンディングで皆さんからいただいたお金の大半は、看板の設置のほか内装や床、天井の修繕や、ゲーム機の搬入などに使わせていただきました」とのことだ。
新店舗のセールスポイントは、古いものでは何と70年代に登場した、エレメカやパチスロ機なども含めたレトロゲームが遊べることで、新作タイトルはまったく置かれていない。筆者はまだオープンしていないフロアもすべて見せていただいたが、今では滅多にお目に掛かれない、懐かしのガンシューティングやピンボールなども搬入されていたので本当に驚かされた。
深町氏によれば、同店で稼働させるレトロゲームの大半は、昨年9月に閉店した東京・秋葉原のゲームセンター「ナツゲーミュージアム」の元オーナーから借り受けたものだそうだ。
「社長の池田(稔氏)が、『ナツゲーミュージアム』の元オーナーさんとは古くからの知り合いで、新店舗を計画する前から『ミカドさんでも、うちで持っているゲームを使ってみませんか?』と、お話をいただいていました」(深町氏)という縁があったことから、新たな形で店舗のリニューアルが実現した。つまり、同店の名前はここに由来しているのだ。
「当初は3号店も、『ゲーセンミカド』と池袋の2号店と同様の営業をする予定でした。ですが、『ナツゲーミュージアム』さんでお持ちのゲーム機を見に行ったところ、これだけ多くの貴重なレトロゲームを眠らせておくのはもったいないと思いました。そこで池田に相談をしたら、じゃあ『ナツゲーミュージアム』にしちゃおうという方針になりましたので、ご協力をお願いすることにしました」(深町氏)
さらに驚かされたのは、同店はファミリー客の取り込みも狙っていることだ。正式オープンとなる29日からは、駄菓子やポップコーン、ジュース類の販売も予定され、独自イベントの実況配信も計画中とのこと。「昔懐かしいゲームを、ぜひお子様とご一緒に遊んでいただきたいですね」(深町氏)
都心の駅前店舗、あるいはデパート内のゲームコーナーでも、レトロゲームでファミリー客に訴求を図る店をオープンさせるケースは極めて珍しい。しかも、毎年ゲームセンターの店舗数が減り続け、コロナ禍も重なって非常に厳しい状況にあるタイミングでのオープンなのだから、これはたいへん大きな挑戦だ。
国内外で高い知名度を誇る、「ゲーセンミカド」本店との相乗効果を出しつつ、新製品をあえて使わない運営コンセプトのもと、はたしてスタッフの狙いどおりに客が集まり、きちんと利益を得られる店舗となるのか? 同店の動向には今後も注目したい。
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