大噴火の迫力を感じる漆黒の岩礁「城ヶ崎海岸」 冬でも快適にトレッキングを満喫できるおすすめコース
◆東京近郊ハイキング・レポ◆(0003)
東伊豆の全長約9kmの海岸線トレッキングコース。荒々しい溶岩の名残がある岩礁と「門脇吊橋」「橋立吊橋」の2つの吊橋が名所です。
<趣意>
東京とその近郊のハイキングで個人的なお気に入りのコースをピックアップして紹介いたします。
<こんな方にオススメ>
(1)冬場の登山は遠慮したいがトレッキングはしたい
(2)海岸線トレッキングに興味がある
(3)柱状節理などの特徴的な地質が好き
<概 要>
城ヶ崎海岸 (じょうがさきかいがん)
所在地: 静岡県伊東市
伊豆半島の大室山の噴火(約4000年前)により流出した溶岩が相模湾になだれ込み形成された。
長さ約48mの「門脇吊橋」や長さ約60mの「橋立吊橋」が有名。
「ジオパーク」(ユネスコ認定)のひとつ。
<ハイキングコース>
伊豆急行「城ヶ崎海岸」駅を起点に海岸線に出てシーサイドの道を歩き、同じく伊豆急行「伊豆高原」駅に向かうルートです。
城ヶ崎海岸駅からスタートです。駅舎の外観はログハウスのようでちょっとかわいらしい。駅前の舗装道路をまっすぐ進みます。そのまま進むと桜並木があり春には名所となっています。今回は途中で桜並木道を横切る県道109号線を左に入ります。しばらくは舗装道路を歩き、Y字路を右手の分岐に進むともうすぐ海岸線です。突き当たった道をまた右手へ曲がると「城ヶ崎ピクニカルコース」の道標がありますので、海岸林の中へ入ります。
ピクニカルコースに入り右手に進むと”ぼら納屋“があります。こちらはかつての漁師小屋を活かしてお食事処として再利用されています。新鮮な海鮮料理をいただくことができます。心引かれますが、この日はまだまだスタートしたばかりで昼食には早かったので道を先に進みます。
やがて左手に海岸がよく見える開けたスポットに出ます。水平線の向こうに伊豆大島がよく見えます。すぐそばには門脇吊橋が出てきます。吊橋の先に灯台も見えています。灯台は無料開放されており展望台となっています。上まで登ればぐるりと周囲の景色をぐるりと眺めることができます。高い位置から遠くまで見通す太平洋はまさに大海原といった趣です。
山好きでマリンスポーツはほとんどやりませんが、たまには潮風を身体に浴びて歩くのも普段と異なる雰囲気で楽しいです。東京はすこし北に行けば山があり、ちょっと南に行けば海があり、様々なロケーションのアウトドアに恵まれた便利な土地だなーとあらためて思い直しました。
灯台を下りてピクニカルコースをふたたび進みます。海岸線の疎林のなかを進みしばらくするとフラワーガーデンに到着です。ピクニカルコースはここで終了です。フラワーガーデンの外には売店があり軽食のほかにソフトクリームなどの各種スイーツが販売されているので一休みにはもってこいです。ここでこの先に続く城ヶ崎自然研究路へのハイキングに備えます。
一息ついて城ヶ崎自然研究路に入り、海岸線沿いの照葉樹林のなかを歩いて行きます。ところどころ岬の突端まで出て崖の上で潮風に吹かれたり、岩礁で波が砕けるダイナミックな様子を間近に見ることができるスポットがいくつかあります。城ヶ崎海岸は大室山の噴火で流れ出た溶岩が海になだれ込み急速に冷やされて固まってできた柱状節理とその見た目で黒々とした荒々しい岩礁が見所です。この岩壁を活かしてところどころでクライミングを楽しまれている方もいらっしゃいます。
とにかく黒くてゴツゴツとした荒々しい岩礁と断崖の存在感が圧倒的です。三浦海岸も地形や地勢的に似たところがありますが、城ヶ崎の大地の成り立ちを知ると、大室山の大噴火当時の溶岩が流出していく光景を想起できてとても面白いと感じます。
自然研究路も終盤にさしかかってくると右手に海へ流れ込む対馬川を現れます。その先に左手へ海岸線に下る道があります。崖を切り出した石の階段はたいへん滑りやすいですの気をつけてください。下りきると大淀小淀と呼ばれるタイドプールになります。個人的にはここが城ヶ崎海岸で一番のお気に入りポイントです。凸凹の岩礁を歩いて波打ち際ギリギリまで寄り切ってちょっとしたスリル感を味わったりすることができますし、潮だまりの中に取り残された小さな海の生き物を観察するのもまた面白いです。
ふたたび崖の上の自然研究路に戻り先を進むと橋立吊橋があります。吊橋を渡って迂回路で橋を巻いて対馬川にまた戻り、そこから川を遡って伊豆高原駅へ向かいます。突き当たった線路を渡って右へ進めば伊豆高原駅です。今回はここがゴールです。
伊豆は東京近郊とはいえさすがに都心からですとちょっと遠い…。片道で電車でも3時間程度かかります。日帰り旅行としては往復の移動時間がもったいない。とくに陽の短い冬に行動時間が削られるのはイタい。ここは思い切って小旅行と考えて、新幹線や特急を利用してみてもいいかもしれません。とくに鉄道好きの方ならば贅沢気分を堪能できる特急「サフィール踊り子」という選択肢はいかがでしょうか?
城ヶ崎海岸は、冬に「雪山登山はしない」「低山でも寒い冬山はちょっと気が引ける」という方でも「トレッキングはしたいなー」という場合にはうってつけの行き先ではないかなと思われます。
[行程表]
※標準的タイムによる目安(休憩のぞく)
「城ヶ崎海岸」駅⇒ 城ヶ崎海岸ピクニカルコース入口(25分)⇒ ぼら納屋(10分)⇒ 門脇吊橋・門脇灯台(20分)⇒ フラワーガーデン(30分)⇒ 蓮着寺(5分)⇒ 大淀小淀(90分)⇒ 橋立吊橋(5分)⇒ 「伊豆高原」駅(15分)
コースタイム/ 3時間20分程度
[アクセス]
●往路
伊豆急行「城ヶ崎海岸」駅から徒歩
●帰路
伊豆急行「伊豆高原」駅まで徒歩
[ハイキングコースの補足]
多少の起伏はありますが、登山というほどの高低差はありません。
海岸線のコースのため強風が吹くことがあり、防風対策用のアウターがあった方が安心です。
ピクニカルコースと自然研究路は連続していますのでつなげて歩くことができますが、時間的余裕がなければどちらか一方だけを歩いても楽しめると思います。2つのコースの全長は合わせて9km程度になります。
フラワーガーデンにはバス停があるので、そこから伊豆高原駅または伊東駅行きのバスがあります。
●水場やトイレなど
ルート上に水場はありません。途中に自動販売機があります。
トイレは要所にあります。
[難易度・危険箇所など]
とくに大きな難所や危険箇所などはほとんどありません。岬の突端まで行ける場所がいくつかあります。手すりや柵などはないので足元に注意が必要です。
満潮・干潮により時間帯によっては海岸線に下りることが難しい場合や危険な場合がありますのでご注意ください。
<城ヶ崎海岸の魅力>
(1)柱状節理がよくわかる海岸線の景観
相模湾になだれ込み急速冷却された溶岩によりできあがったのが城ヶ崎海岸の柱状節理です。ゴツゴツとした黒い岩礁は当時の噴火で流れ出した溶岩の迫力が感じられます。
(2)冬でも温暖な気候で快適なトレッキング
四季を通じてトレッキングを楽しめます。伊豆半島の海岸線のため、冬でも積雪は少なくそのため比較的快適にトレッキングを楽しむことができます。
<補足情報>
[売店等]
「伊豆高原」駅の駅ビル「伊豆高原やまもプラザ」内に複数のお土産屋さんが入っています。
「伊豆高原」駅ちかくの国道135号線沿いにコンビニエンスストア、ドラッグストアやスーパーマーケットがあります。
[日帰り温泉など]
「伊豆高原のゆ」(伊豆高原駅)
「DHC赤沢温泉ホテル」 伊豆高原駅から送迎バス利用
[お食事処]
「ぼら納屋」 海鮮料理など
「伊豆の回転寿司 花まる銀彩」 (伊豆高原駅)
「本家鮪家」 海鮮料理など (伊豆高原駅)
日帰り温泉施設「伊豆高原のゆ」には食堂が併設されています。
「伊豆高原やまもプラザ」内には飲食店が複数入っています。
[名産品]
金目鯛
ぐり茶
サマーオレンジ(柑橘類)
伊豆高原ビール
わさび
[付近の山]
大室山
天城山(万二郎岳・万三郎岳)
幕山
真鶴半島
沼津アルプス
[そのほかの補足]
城ヶ崎海岸はユネスコ認定の「ジオパーク」のひとつとなります。
●ジオテラス伊東
伊豆半島の地理・自然環境の紹介施設、伊豆高原駅やまもプラザ内。
<今回お食事をいただいたお店>
「海鮮料理 おかりば」
特製の”おかりば丼”をいただきました。多種多様な海鮮のやや大ぶりな切り身が乗った海鮮丼に金目鯛の煮付けがセットになっています。金目鯛は半身ですがなかなかのサイズ感です。茶碗蒸しが付いているのもちょっと嬉しい。伊豆高原駅の駅ビル・やまもプラザ内にある海鮮料理店です。”石焼きトロ金目鯛”もお店のオススメだそうです。
<備考>
Webサイト「伊豆・伊東観光ガイド」(伊東観光協会)
(2024/02/09 上町嵩広)