性と生殖の健康と権利が今、なぜ世界に求められるのか オスロで国際会議
日本を含む10カ国以上から170人を超える国会議員が集う中、ノルウェーのオスロで第8回ICPD行動計画実施に関する国際議員会議(IPCI)が開催された。
この会議は、すべての個人の「性と生殖に関する健康と権利」(セクシャル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ、SRHR)の向上にどのように貢献できるかに焦点を当てた重要な世界会議だ。
ノルウェーは長年にわたり女性と女子のエンパワーメントに注力してきました。この取り組みが評価され、今回の会議がオスロで開催される運びとなった。
「今こそジェンダーに基づく暴力を終わらせるべき時です。明日ではなく、今日です」
国連の性と生殖に関する保健機関である「国連人口基金」(UNFPA)の事務局長であるナタリア・カネム博士は、女性が自身のSRHRと身体の自立性を主張できるように支援することが、いかに重要かを取材で指摘した。
SRHRへの投資の必要性
- 毎日約808人の女性が、妊娠・出産に関連した予防可能な原因で命を落としている。安全でない中絶が引き起こす死亡を防ぐためには、SRHRへの投資が急務
- 女性が自分の身体と生殖に関する選択を自由に行えるようになることで、教育や経済参加の機会が増え、社会全体の発展につながる
- 生殖権は基本的人権の一部。性的同意能力や家族計画へのアクセスを確保することは、個人の尊厳を守るために不可欠
- 紛争や災害が発生した際、特に女性と少女が性暴力のリスクにさらされる。SRHRを通じて提供される保護とサービスは、人道的危機から彼女たちを守るのに役立つ
「ジェンダー関係は女性だけの問題ではありません。社会のすべての問題です」と話すカネム博士。
「160を超える国々が家庭内暴力を禁止する法律を制定しており、LGBTI QAセクシュアリティを禁止する法律が改善されつつあるという意味では、ある程度の進展が見られます。私たちは160か国以上とともに、大きな進歩はとげているけれど、問題はまだ存在しているということです」
UNFPAの推定では、毎年29万人の妊産婦が死亡している。「そのうちの90%は、ノルウェーや先進国では起こりえない」と、カネム博士は25億人の女性が近代的な避妊法を利用できていないこと、世界の妊娠の半数近くが意図しない妊娠であることに懸念を示した。
SRHRを巡る懸念と課題
一方で、アメリカにおける中絶および避妊へのアクセス制限が、他国にも影響を及ぼしていることをカネム博士は心配していた。
心配事は、ほかにもある。
SRHRに関する社会的なタブー、性差別、性教育への抵抗などが、特定の地域や国でSRHRの進展を妨げていること。
紛争や自然災害が分発する国ではSRHRサービスへのアクセスがさらに困難になること。
性的少数者への差別が依然として存在していること。
このような障壁は今の日本でも実感できる現実だ。
各国で、そして国際的に協力してこれらの課題に取り組むことが、SRHRの全般的な改善と、すべての人々にとっての平等な健康アクセスの確保につながる重要なステップとなることが博士の言葉からは伝わってきた。