西武、楽天の注目選手
800人以上いるプロ野球選手、その中にはまだまだ注目されていない逸材もたくさんいるはず。西武・山川、楽天の福山、西宮に注目してみた。
おかわり君の後継者
得点力不足に苦しんでいた今季の西武だが、2軍では大砲・山川が存在感を放っている。フレッシュオールスターでも4番に座ると勝ち越しのツーランを放つなど遠くへ飛ばす力はピカイチ。ファームトップの17本塁打を放ち長打率は.688。
長打力を示す指標として一般的に浸透しているこの長打率は1打数当たりに獲得した塁打を表したもの。間違えられやすいが長打を打つ確率ではない。長打率は、全打席安打なら1.000、全打席本塁打なら4.000となる。例えば
打者A:安打、安打、安打、安打
打者B:本塁打、三振、三振、三振
はどちらも長打率は1.000で同じになる。しかし、打者AとBの長打力が同じとは言えない。そこで、純粋な長打力を示した指標にIsoP(Isolated Power)というものがある。計算方法は長打率−打率と非常にシンプル。安打が全て単打ならIsoPは0となる。イメージとしては獲得した塁打から単打を引いたもの。目安としては.200を超えれば十分長距離打者と言えるだろう。
山川は打率.344、長打率.688だからIsoPは.344。1軍で33本塁打を放っている広島・エルドレッドでIsoPは0.341。山川が飛ばし屋であることが数字からハッキリもわかる。
西武で右の大砲と言えば思い浮かぶのはおかわり君こと中村。交流戦で本塁打を連発しブレイクした2005年の2軍成績は25試合、打率.413で長打率.761、IsoPは.348だった。山川の成績はさすがに及ばないが期待するには十分な数字。大阪桐蔭からドラフト1位で入団した森も2軍で猛打を振るっており、このルーキーコンビが近い将来レオ打線の顔となるのは間違いないだろう。
ゴロコンビが勝利の方程式を担う
各球団から投手起用に関する制限が相次ぎ、全パの指揮を執る伊東監督を大いに悩ませた今季のオールスター。そんな中、2試合で計4イニングを投げ陰のMVPになったのが楽天の福山だった。DeNAで投手失格の烙印を押され2012年オフに戦力外通告を受けるも翌月に楽天と契約。今季はチーム最多の42試合に登板し2勝2敗11H、防御率1.65の成績を残している。
福山の特徴はゴロアウトが52.9%と非常に多いこと。失点を減らすにはフライよりもゴロを打たせろ、という記事でも紹介したがセイバーメトリクスではゴロを打たせた方が失点を減らせると考えている。そしてもう1人、西宮も40.6%とゴロアウトが多くルーキーながら36試合に登板し3勝0敗、防御率2.65とチームに貢献している。
まだまだ知名度はそんなに高くない2人だが非常にセイバーメトリクス好みの選手だ。推定年俸は2人合わせても1900万と格安。登板数はチーム1位と2位でチーム投球回の10%以上を2人でまかなっている。この2人に共通することは打者の左右の違いは苦にしていないが、なぜかホームよりもビジターの方が失点が少ない。
福山
ホーム WHIP0.90 防御率2.31
ビジター WHIP1.28 防御率0.89
西宮
ホーム WHIP1.71 防御率4.19
ビジター WHIP1.15 防御率0.52
(WHIPは1イニング当たりに出したランナーの数で、小さいほど優秀)
最下位に沈むチームはビジターで作った借金は4だけだが、ホームでは12の借金を背負う。この2人の成績だけが原因ではないだろうが、コボスタ宮城での勝率は.375と苦しんでいる。昨季の日本一から最下位転落の可能性もある楽天だが、悲劇回避には2人のホームでの奮投が欠かせない。