ヤクルト、広島の注目選手
800人以上いるプロ野球選手、その中にはまだまだ注目されていない逸材もたくさんいるはず。ヤクルト・雄平、広島・一岡に注目してみた。
バレンティンの相棒に ヤクルト・雄平
阪神の黄金ルーキー・藤浪から1発を放ち、プロの洗礼を浴びせた男。
高校時代、150km/hを越える速球派左腕として騒がれる一方、打撃でも高校通算37本塁打と非凡な才能を発揮していた。野手転向4年目の昨季はレギュラーをつかみかけるが、右膝前十字靭帯断裂という大ケガにより出場はわずか13試合に終わる。打率も37打数11安打の.297と特筆すべき数字ではなかったため大きく注目されることは無かった。
ただし、放った11本の安打の内訳は単打4本、2塁打4本、3塁打1本、本塁打2本と7本が長打。こうなってくると話は変わってくる。出塁率+長打率で計算されるOPSはリーグMVP級を示す1.017。これは巨人・阿部の.991を上回りセリーグ3位となる数字。その打棒は怪力助っ人DeNA・ブランコに匹敵する。
雄平
長打率.622
OPS1.017
ブランコ
長打率.634
OPS1.049
ケガ無くシーズンを通してこの成績を残していたら、ヤクルトの3番4番がオールスターでもそのままセリーグの3番4番となっていたかもしれない。
チームは雄平以外にもケガ人が続出し、ベストオーダーが組めない中での戦いを強いられ攻撃面はバレンティン1人におんぶに抱っこ状態だった。ケガをする前と変わらぬパフォーマンスを発揮することが大前提ではあるが、今季のヤクルトに破壊力抜群のコンビが誕生するかもしれない。
投手王国再建へ 広島・一岡
将来的には大竹の穴を埋める、を超える活躍が期待される男。
大竹の人的補償で巨人から広島に移籍した一岡は、150km/hのストレートと鋭いフォークが武器。ファームでは抑えを務め35試合で15セーブ、防御率1.10という成績を残していた。その結果も見事ながら“内容”も突出した数字が目を引く。
DIPS 1.96
K/BB 4.20
DIPSは奪三振、与四球、被本塁打のみに注目し、守備力に影響されない投手の真の実力を示した数値。3.5を切れば優秀、3.0を切ればかなり優秀というのがその目安。
昨季、DIPSの数値が12球団の中で断トツトップだったのが楽天・田中の2.26。一岡はさらに上を行く1.96だから1軍と2軍、先発と抑えという大きな違いはあるがその凄さが浮かび上がる。
K/BBは四球1つ当たりいくつの三振を奪ったかを示し、数値が高いほど完成度の高い投手とされている。一岡の4.20という数字は、仮に先発したとすれば7回8奪三振2四球が期待出来るほど優れた数字。
この指標からは広島投手陣の充実ぶりがうかがえる。
前田健 3.95
野村 2.78
バリントン 2.85
の3人がセリーグベスト10入り。
更に広島がドラフト1位で獲得した大瀬良も大学のリーグ戦通算K/BBは3.75(379奪三振101与四球)と抜群の成績を残す。38勝8敗という成績も見事だがその投球内容も圧巻だった。
大竹が移籍し近い将来マエケンもメジャー挑戦が濃厚だが、一岡、大瀬良が新たな4本柱を形成するかもしれない。