トルコ占領下のシリア北部で国民軍(TFSA)どうしの武力衝突が頻発
「ユーフラテスの盾」地域で東部自由人連合と住民が組織する民兵が衝突
英国で活動する反体制系NGOのシリア人権監視団によると、トルコが占領するラッカ県北部のいわゆる「平和の泉」地域内のハマーム・トゥルクマーン村で26日、トルコの支援を受ける国民軍(Turkey-backed Free Syrian Army、TFSA)に所属する武装集団どうしが衝突、交戦した。
交戦したのは、ダイル・ザウル県出身者を中心に構成され、イスラーム国の元メンバーも参加している東部自由人連合と、ハマーム・トゥルクマーン村出身のトルコマン系住民が組織する民兵。
村の女性が東部自由人連合から再三にわたって嫌がらせを受けてきたことがきっかけで戦闘となり、東部自由人連合のメンバー3人が負傷した。
「平和の泉」地域は、2019年10月の侵攻作戦(「平和の泉」作戦)でトルコが占領した地域の通称で、ラッカ県タッル・アブヤド市一帯、ハサカ県ラアス・アイン市一帯の国境地帯を指す。
「オリーブの枝」地域でもシャーム戦線と第51旅団が交戦
また、アレッポ県でも、シリア人権監視団やクルド民族主義組織の民主統一党(PYD)に近いANHAによると、トルコが占領するアレッポ県北西部のいわゆる「オリーブの枝」地域の中心都市であるアフリーン市で27日、国民軍に所属するシャーム戦線と第51旅団の戦闘員が交戦し、第51旅団の戦闘員1人が死亡、双方合わせて4人が負傷した。
衝突の原因は不明だが、当初軽火器を打ち合っていた両者は、迫撃砲などを使用し激しく交戦したという。
「オリーブの枝」地域は、2019年1~3月の侵攻作戦(「オリーブの枝」)作戦でトルコが占領した地域の総称で、アフリーン市一帯を指す。
国民軍の戦闘員がタッル・アブヤド市で座り込みデモ
一方、ANHAによると、「平和の泉」地域の拠点都市の一つタッル・アブヤド市では27日、国民軍の戦闘員が、別の部隊との交代や2ヶ月以上延滞されている給与の支払いをトルコに求めて座り込みデモを行った。
これに対して、国民軍に所属する憲兵隊が参加した戦闘員50人以上を逮捕し、市内の緊張状態が増した。
(「シリア・アラブの春顛末記:最新シリア情勢」をもとに作成)