子どもを「甘えさせる」「甘やかす」ことが発達に及ぼす意外な影響
子どもは「抱っこして〜」「食べさせて〜」「履かせて〜」とさまざまな要求をしてきますよね。
そんなとき、親としてどう対応してあげるのがこの子のためになるのか、迷ってしまうこともあるかもしれません。
「毎度きちんと応えてあげたほうがいいのかな?」
「あまりやってあげすぎると、言うことを聞かない子にならないかな?」
「わがまま、甘えん坊に育ってしまわないかな?」
と思われることもあるかもしれません。
もしそんなふうに悩まれたことがあるなら、そうして少しでも良い対応をしよう!と考えたことそのものがまず素晴らしいと思います。仮に今どんな対応をしていても子どもの心のこと、成長のことをとても大事に考えていらっしゃる素敵な親御さんです。
それは大前提に、今回の記事では子どもが甘えてきたときにどこまでやってあげると良いのか?を乳幼児育児アドバイザーでありモンテッソーリ教師のねんねママが解説します。
結論は甘えさせてOK!
先に結論を伝えるなら、好きなだけ甘えさせてあげてOKです!
(※ただし注意点もあるのでチェックしてくださいね。)
「抱っこ〜」と言われれば抱っこしてあげる方がいいし
「ママやって〜」と言われるなら、やってあげて良いのです。
それでは自分から何も進んでやらない子になってしまうのでは?と思うかもしれませんが、そんなことはありません。むしろ反対です。「自分でやりなさい」と突き放す方がもっと甘えるようになってしまうんです。
甘えるのは愛情を確認する行為です。ママ・パパ、ぼくのこと大好きだよね?大事だよね?ママやパパといる時間は安心できる時間だよね?と確認しているのです。
だからそこで、自分でやりなさい!と突き放したらどうなるでしょうか?
「じゃあこうしたら受け入れてもらえるかな?」
「もっともっと話しかけたら相手にしてもらえるかな?」
となり、「ママ!聞いて!見て!ねぇ!マママママママ…!」となってしまうことも、想像がつきますよね。
「甘え」と「甘やかし」の違い
しかし、「じゃあ、たくさん甘えさせよう!」というのは少々待っていただきたい考えです。
「いつまでも口に食べ物を運んで食べさせていてもいいんですよね?」
「靴や靴下を履かせてあげてもいいってことですよね?」
というのには誤解があります。
もしもお子さんが「食べさせて」「履かせて」と親の助けを求めてきたなら、それは「いいよ」と受け止めて甘えさせてあげると良いのですが、そうではないケースには注意が必要です。
それは「頼まれていないのに早くしてほしいから」などの理由で「はい!口開けて!あーん!」などとこちらが動いてしまっている場合です。求められていないのに親が先行して動いているケースは成長の妨げになってしまいます。
ここが「甘え」と「甘やかし」の違いです。
「甘えさせる」というのは、子どもの気持ちに応えてあげること。「抱っこして」「食べさせて」という気持ちを受け止めて応えてあげることです。これはたっぷり、受け止めてあげてください。
「甘やかし」を避けるには
「甘やかす」というのは簡単に言うと、「子どもが自分でやらなくてはいけないことを親がやってしまうこと」です。自分でやりたがっている時は、手を出さないでやらせてあげることが大事です。
自分で食べようとしているのに、じれったいから!と横からスプーンでぽいぽい口に入れてしまったり、靴を履こうとしているのに「まだ無理だから」と履かせてしまったり…それは子どもが自立して成長するチャンスを奪ってしまうことになるんです。
「じゃあ上手くいかないことや危険があることを黙って見ているしかないの?」というとそうではありません。こういうときに必要なのは最低限のサポートです。
自分でできた!という達成感を得られるように、お皿を少し支えてあげるとか、靴の持つ場所を教えてあげるとか、そういったサポートをしてあげるのが子どもが一番伸びやすくなる対応です。アシスト幽霊になったようなつもりで、やってみてください。サポートされていると気づかないようなレベルで、そっとさぽーとしてあげるのです。
また、他の子が使っているものを使いたい!と騒いだり、病院の中なのにお菓子が食べたい!などと訴えられても我慢しなくてはいけないシーンはありますよね。そういう時は「順番待っていようね」「あとで食べようね」などの声かけが必要なこともあります。
親は子どもの「安全基地」
親は子どもの安全基地です。子どもたちは外で大きな犬を見て「怖い!」と思う体験をしても、幼稚園や保育園でお友達とおもちゃの取り合いになって嫌な思いをしたとしても、親という基地に帰ってきて安心感を取り戻しているものです。
だから、この安全基地をしっかり持っていてあげることはとても大事です。基地があるからこそ、子どもは新しい世界を見たり、チャレンジができるのです。
この基地が不安定だったり、「そんなんじゃダメでしょ!」と跳ね返されてしまうような状態だと、子どもも不安になってしまっていつまでも親の愛を確認しようと「みて!」「ママ!」「抱っこ!」と繰り返してしまいがちです。
逆にたっぷり応えてあげて満足すれば、しばらく言わなくなったりするものです。
「抱っこ!」と訴えてきたから抱っこしてあげたのに、さっさとおりてどっかに遊びに行っちゃった…なんて経験したことはありませんか?それは安全基地を求めて騒いだけれども、確認ができたのでまた未知の世界へ巣立っていった…そんなような行動なのです。
親が意識しておきたいこと
そうは言えど、完璧にするのは難しいですよね。冒頭にもお伝えした通り、少しでも良い対応をしよう!やってあげよう!と考えたことがあるだけで素晴らしいことです。
だから、とにかく甘えさせていいんだ!ということは自分の心に掲げてつつ、「やろうとしてることを邪魔しない」というのはできるときだけ意識しよう、というだけでも十分だと私は考えます。
ワガママをいってきたら、私を安全基地として頼ってくれてるんだな〜と自分の普段の対応を褒めてあげましょう。
そうやって少しずつ行動を変えて行った未来に親との信頼関係が強くなり、お子さん自身の心ものびのび育まれていきますのでできるところから一緒にやっていきましょう。
おわりに
甘えたいよ〜というサインは「抱っこ〜」とか「これやって〜」だけではなく、違った形で見えることもあります。
例えば、下の子を攻撃したり、わざと飲み物をこぼしてみたり、困らせるような行動をしたり…赤ちゃん返りでよく言われるような行動はそれに当てはまりますね。
いろんなタイプの甘えがありますが、それもこれも親のことが大好きだから…と思うと、少し人気者になった気持ちでかわいく思えるかもしれません。
今すぐ全ての対応を変えることは難しいですが「甘え」と「甘やかし」の違いを覚えておいていただいて、育児に活かしていただければと思います。
▼YouTube動画でも詳しくお話しています。