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Google、インドでジャーナリスト向け研修提供:1年で8000人、フェイクニュースと戦う

佐藤仁学術研究員・著述家
(写真:ロイター/アフロ)

 Googleインドは2018年6月、ジャーナリスト向けのトレーニングを提供することを明らかにした。「The Google News Initiative India Training Network」と名付けられたトレーニングは、インド人ジャーナリストが、フェイクニュースや誤った情報に対する意識の向上と、そのようなフェイクニュースを伝えないようにすること、事実確認の取り方、正確な記事の書き方、デジタルツールをマスターすることを目的としている。

 コースは英語やインドの6言語で提供され、インド人ジャーナリスト8000人が、来年1年間で受講予定。 First Draft、Storyful、AltNews、BoomLive、Factchecker.in、DataLeadsの協力と支援の元、インド各都市で5日間の集中講義を行う。インドでジャーナリストのネットワークを構築していくことも目的としている。

 Google News LabのIrene Jay Liu氏は「Googleにとって一番重要なのは、信用された正しいメディアのニュースが報道されること。インドでフェイクニュースや誤情報と戦っていく。我々のゴールは200人以上のジャーナリストの講師を養成し、8000人のジャーナリストにトレーニングを提供していくことだ。このトレーニングのネットワークはGoogleが提供するもので最大の規模だ。コミュニティで、何が正しい情報かを見極めるオンラインツールを提供していくことによって、ジャーナリストは台頭するフェイクニュースと戦っていくことができる」と語っている。

あらゆる情報が氾濫するインド

 インドでは廉価版のスマホが普及しており、Wi-Fi環境も整備されてきた。さらにFacebookなどSNSであらゆる情報があっという間に拡散されてしまう。フェイクニュースも多いが、一般の人はそのニュースや情報がフェイク(偽物)なのか誤っているのかの判断は難しい。

 とにかくSNSには、あらゆる情報が氾濫している。そのためジャーナリストも一次情報を確認しないで、ネット上の誤情報を元に記事を執筆し、それを拡散してしまうこともある。Googleには「Google News」という多くのメディアから記事を集めたサービスがあるが、そこではそのニュースがフェイクか正しいかの判断はできない。当たり前のことだが、ジャーナリストには正確な情報と事実に基づいた記事を執筆して、配信することが求められている。

The Google News Initiative India Training Network

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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