Yahoo!ニュース

【獣医師の警告】今年も猛暑 猫は熱中症になりやすくなった? その3つの理由

石井万寿美まねき猫ホスピタル院長 獣医師
イメージ写真(写真:アフロ)

日本気象協会によりますと、2024年の夏は非常に暑くなると予想されています。特に、梅雨が明けて盛夏になると、例年以上に厳しい暑さが予想されています。

そのため、この夏は猫や犬の熱中症に注意し、水分補給をこまめにしてあげることが必要になってきます。

熱中症は犬で多いと思われがちですが、実は猫にもあり、最近増える傾向にあります。その3つの理由を見ていきましょう。

1、猫が長生きになった

イメージ写真
イメージ写真写真:アフロ

猫の平均寿命は、約15歳です。

年齢を重ねると、熱中症になりやすいのです。

その理由は、高齢になると体内の水分量が減るからです。

そのうえ、猫は高齢になると腎臓の機能が低下する子が多く慢性腎不全になりやすいです。犬は猫ほど慢性腎不全は多くないです。特に、高齢になり水分や食事の摂取量が少ない子は、熱中症になりやすいので、気をつけてください。

若い頃は大丈夫でも、年齢を重ねると熱中症になりやすいので飼い主はそのことを理解して、対処してください。

2、短頭の種の猫が多くいるようになった

エキゾチックショートヘアのイメージ写真
エキゾチックショートヘアのイメージ写真写真:アフロ

パグやフレンチブルドッグなどのいわゆる鼻が短い犬・短頭種の子は熱中症になりやすいことはよく知られています。その理由は、短頭種は、鼻腔や咽頭の構造が短く狭いため、空気を効率的に冷却できず、呼吸や体温調節が困難になるためです。

最近では、犬のように短頭の猫が多くいます。以下の種類は代表的な短頭種の猫です。

・ペルシャ

ペルシャのイメージ写真
ペルシャのイメージ写真写真:アフロ

イラン原産(ペルシャあるいはペルシアはイランの旧称)。長毛種の代表的な品種です。顔は額、鼻、あごが一直線に並び、起伏の少ない低い鼻の猫です

・エキゾチックショートヘア

エキゾチックショートヘアのイメージ写真
エキゾチックショートヘアのイメージ写真写真:アフロ

最近は、エキゾチックショートヘアが人気です。診察室でも多く見るようになりました。

上の写真を見ていただくとわかるように、鼻が低いですね。

エキゾチックショートヘアはアメリカ原産で、ペルシャとアメリカンショートヘアの交配から生まれた種類です。

・ミヌエット

ミヌエットの子猫のイメージ写真
ミヌエットの子猫のイメージ写真写真:アフロ

エキゾチックショートヘアほどではないですが、ミヌエットという四肢の短い猫もいます。

アメリカ原産で、ペルシャとマンチカンの交配から生まれました。

ヒマラヤン

ヒマラヤンのイメージ
ヒマラヤンのイメージ提供:イメージマート

アメリカ原産で、ペルシャとサイアミーズ(シャム)の交配から生まれました。

これらの短頭種の猫は、ペルシャの影響を受けているため、おとなしい性格なので人気があります。鼻が低いので、熱中症になりやすいのです。

3、室内飼いが増えた

いまや都会では完全室内飼いの猫が増えました。

そのため、熱中症に気をつけている飼い主なら問題はないのですが、マンションだし、そんなに室温が暑くならないと思って留守をすると猫が熱中症になる可能性があります。

外に出られる子の場合は、室温が高くなると軒下や風通しのよいところへ逃げることができました。しかし、室内飼いでなおかつ、留守のときケージに入れていると、猫が快適な温度のところに行けないのです。

その予防としては、室内飼いで留守にするときは、多少寒いぐらいの温度にエアコンを設定して、フリースなどの少し温かい場所があるようにしてあげてください。

まとめ

イメージ写真
イメージ写真写真:イメージマート

暑い日に猫を留守番させるときは、温度管理を考えてください。特に、高齢、慢性腎不全などの猫を飼っている人は、温度管理には気を配って、エアコンをつけて冷房してください。

帰宅して、猫がぐったりして嘔吐した箇所があれば、もしかして熱中症かもしれません。熱中症は、命にかかわる病気です。猫とずっと一緒にいるときに、呼吸数が上がってハアハアしていれば、気がつきますが、留守のときは、見落とすことがあるかもしれません。

年々、夏の気温は上がっているので、猫を散歩に連れて行かないけれど、室内の温度管理には気をつけて、熱中症の予防をしましょう。

まねき猫ホスピタル院長 獣医師

大阪市生まれ。まねき猫ホスピタル院長、獣医師・作家。酪農学園大学大学院獣医研究科修了。大阪府守口市で開業。専門は食事療法をしながらがんの治療。その一方、新聞、雑誌で作家として活動。「動物のお医者さんになりたい(コスモヒルズ)」シリーズ「ますみ先生のにゃるほどジャーナル 動物のお医者さんの365日(青土社)」など著書多数。シニア犬と暮らしていた。

石井万寿美の最近の記事