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プロ注目のサウスポー・河野竜生がJFE西日本を3年ぶりの東京ドームへ導く

横尾弘一野球ジャーナリスト
決勝トーナメントで連投するなど、都市対抗中国二次予選で大活躍した河野竜生。

 プロも注目する21歳の左腕・河野竜生が大車輪の活躍を見せ、都市対抗中国二次予選ではJFE西日本が、3年ぶり10回目の本大会出場を第一代表で決めた。

 昨年の日本選手権で2試合連続のシャットアウト勝利を挙げ、準優勝に貢献した河野は、アジア・ウインター・ベースボールでも力投。「体の厚みが増したと感じている」という今季は、春先から安定した投球を続け、4月の岡山大会でも優勝の原動力に。最優秀投手賞に輝き、満を持して今予選を迎える。

 リーグ戦の初戦は、4年連続の本大会出場を狙うJR西日本。だが、八分の力でもストレートが走り、コンスタントに140キロ台後半をマークするようになった左腕は、7回を5安打11奪三振と文句なしの投球を披露する。力感のないフォームで制球も安定したため、相手打者がすぐに追い込まれて後手を踏むケースが目立つ。

 Bグループ1位で臨んだ代表決定トーナメント一回戦でも、躍進目覚ましいシティライト岡山を相手に、7回まで1安打13奪三振の1失点でマウンドを譲る。その後、チームは土壇場の9回に追いつかれ、延長14回の末に何とか勝ち星を手中に収めると、翌日の第一代表決定戦でも先発のマウンドに登る。

 前日に130球を投げたにもかかわらず、いきなり148キロのストレートを繰り出し、勝負強い打者が並ぶ三菱重工広島の打線に仕事をさせない。4回までは安打さえ許さず、一死満塁と攻め込まれた6回裏も、冷静な投球で無失点に切り抜ける。果たして、4回表一死満塁からスクイズで挙げた虎の子の1点を、3安打7奪三振、128球の完封で守り切り、河野自身は初めて自チームでの本大会出場を決めた。

 1年目から河野を追い続けているスカウトも、「着実な成長を見せている。この予選の2連投で、高評価は不動のものになったでしょう」と目を細めた。

シティライト岡山が創部13年目で悲願の初出場

 また、JFE西日本と接戦を演じたシティライト岡山は、敗者復活戦でもJR西日本と延長10回におよぶ熱戦を繰り広げ、サヨナラ勝ちで第二代表決定戦に進む。2007年に創部すると着実に力をつけ、2015年の都市対抗中国二次予選で第二代表決定戦に進出。この試合では三菱重工広島に0-5と完敗したが、全国の舞台を目標にレベルアップに励み、先を行くライバルに引けを取らないチーム力をつける。

 ところが、「この試合に勝てば全国」という代表決定戦をどうしてもものにすることができない。

「はじめは相手の執念に負けていましたが、少しずつ僕らも粘り強さを発揮できるようになった。次の課題は、予選でいい戦いを続けてきても、代表決定戦になると別のチームのようになってしまうのを克服すること。精神面での強さも追求して、今年こそは予選を勝ち抜きたい」

 主将の丸山高明がそう言うように、4年間で10連敗している代表決定戦をどう乗り越えるか。4月の岡山大会では快進撃を見せ、準決勝でも強豪のHondaを撃破。決勝でJFE西日本に勝てば、日本選手権ヘの出場権を手にできる、つまり代表決定戦と同じ意味の試合となり、7-6とリードで終盤を迎えるも、8、9回に失点してサヨナラ負けを喫する。あと1勝で11連敗だ。

 三菱重工広島との試合も、3回表に1点を先制され、そのまま6回を終える。だが、7回裏二死から敵失をきっかけに一、二塁になると、桐山拓也監督は代打攻勢に。まず、坂口湧希の右前安打で同点に追いつき、次はパンチ力のある原 渉仁を送る。三菱重工広島が投手を代えると、代打の代打に起用した佐々木良輔がライト線に弾き返して2点を勝ち越す。

代表決定戦に11連敗していたシティライト岡山は、3-2で三菱重工広島を振り切り、都市対抗初出場を決めた。
代表決定戦に11連敗していたシティライト岡山は、3-2で三菱重工広島を振り切り、都市対抗初出場を決めた。

 そうして、いよいよ9回表。先発の児山祐斗は二死まで漕ぎ着けたが、二塁打と四球で一、二塁に。さらに、田中友博の中前安打で1点差に詰め寄られたものの、次打者を渾身のストレートで三振に仕留めると、マウンドにしゃがみ込んだ。そこに選手たちが集まり、歓喜の輪ができる。12度目の挑戦で代表決定戦の壁を打ち破ったシティライト岡山は、東京ドームでもはつらつとしたプレーを見せてくれるだろう。

四国はJR四国が3年連続出場

 そして、2連戦で代表が決まる四国二次予選は、JR四国が投打に圧倒的な力を発揮。代表決定戦でも、春季四国大会を制した松山フェニックスを19-1と寄せつけず、3年連続で代表権を手にした。昨年は、東京ドームで優勝候補のHondaを倒しただけに、今回もベスト8を目指してアグレッシブな戦いを見せてほしい。

 なお、これまでに代表が決定した地区は、以下をご覧いただきたい。

都市対抗九州二次予選

都市対抗西関東二次予選

野球ジャーナリスト

1965年、東京生まれ。立教大学卒業後、出版社勤務を経て、99年よりフリーランスに。社会人野球情報誌『グランドスラム』で日本代表や国際大会の取材を続けるほか、数多くの野球関連媒体での執筆活動および媒体の発行に携わる。“野球とともに生きる”がモットー。著書に、『落合戦記』『四番、ピッチャー、背番号1』『都市対抗野球に明日はあるか』『第1回選択希望選手』(すべてダイヤモンド社刊)など。

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