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ワールドシリーズのサヨナラ本塁打はフリーマンが18人目。過去の17人はその年に優勝もしているのか

宇根夏樹ベースボール・ライター
フレディ・フリーマン/捕手はオースティン・ウェルズ Oct 25, 2024(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 10月25日、フレディ・フリーマン(ロサンゼルス・ドジャース)は、1点ビハインドの10回裏、2死満塁の場面でホームランを打ち、ワールドシリーズ第1戦を終わらせた。

 1死一、二塁から、大谷翔平がレフトのファウル・フライに倒れ――アレックス・バーデューゴ(ニューヨーク・ヤンキース)が好捕――続いて、ムーキー・ベッツが申告敬遠で歩かされた直後の初球だ。

 昨年のワールドシリーズも、第1戦の幕切れは、サヨナラ本塁打だった。こちらは、11回裏の1死走者なしから、アドリス・ガルシア(テキサス・レンジャーズ)がホームランを打った。

 ワールドシリーズのサヨナラ本塁打は、ガルシアが17人目、フリーマンは18人目だ。これまでの17人が記録したサヨナラ本塁打のなかに、サヨナラ・グランドスラムはなかった。ソロが13本、2ランと3ランが各2本だ。

筆者作成
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 フリーマンの前にサヨナラ本塁打を打った17人のうち、その年のワールドシリーズ優勝メンバーとなったのは12人だ。1960年のビル・マゼロスキーと1993年のジョー・カーターは、サヨナラ本塁打により、優勝を決めた。少し記憶が曖昧だが、後年、カーターは、サヨナラ本塁打を打った相手のミッチ・ウィリアムズとボウリングで対決し、そこでも勝利を収め、あいつはオレには勝てないのさ、とジョークを飛ばしていたような気がする。

 サヨナラ本塁打を打ちながら、その年のワールドシリーズで優勝を味わえなかった5人のうち、2001年のデレク・ジーターは、優勝まで3アウトに迫った。だが、ニューヨーク・ヤンキースは、第7戦の9回裏にサヨナラ負け――スコアは2対1→2対3――を喫し、ワールドシリーズ4連覇を逃した。この時、サヨナラ安打となったルイス・ゴンザレスの打球は、いい当たりではなかったものの、遊撃を守るジーターの上を越えていった。

 また、1988年のシリーズは、2試合がサヨナラ本塁打で決着。第1戦にドジャースのカーク・ギブソン、第3戦にオークランド・アスレティックスのマーク・マグワイアが打った。この場合、必然的に、どちらか一方のチームが優勝し、もう一方のチームは敗退となる。

 なお、第1戦にサヨナラ本塁打の4人、1949年のトミー・ヘンリック、1954年のダスティ・ローズ、1988年のギブソン、昨年のガルシアは、いずれも、その年にチームが優勝している。この4シリーズとも、5試合以下で終わった。

 ちなみに、サヨナラ本塁打を打ったワールドシリーズでMVPを受賞したのは、2011年のデビッド・フリーズだけだ。この年のフリーズは、リーグ・チャンピオンシップ・シリーズでもMVPに選ばれている。両シリーズの連続受賞については、こちらで書いた。

「LCSとWSの「連続MVP」は9人。ドジャースのエドマンとヤンキースのスタントンはその可能性あり」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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