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メッツはここ3年に計120本塁打のFAと再契約を交わすのか。ジャッジ、大谷、シュワーバーに次ぐ本数

宇根夏樹ベースボール・ライター
ピート・アロンゾ(ニューヨーク・メッツ)Aug 31, 2024(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 今オフ、ピート・アロンゾ(ニューヨーク・メッツ)は、FAになる。

 これまで、メッツ以外の球団に在籍したことはない。2016年のドラフトで2巡目・全体64位指名を受け、2019年にメジャーデビューして以来、「ポーラー・ベア」のニックネームどおり、パワーを発揮してきた。各シーズンのホームランは、53本、16本、37本、40本、46本、34本だ。30本塁打を下回ったのは、1チーム60試合の短縮シーズンだった2020年だけ。本塁打王は2019年の1度ながら、どのシーズンもナ・リーグのトップ5にランクインしている。

 2019~24年の226本塁打は、このスパンの2位だ。上には、232本塁打のアーロン・ジャッジ(ニューヨーク・ヤンキース)しかいない。また、ここ3シーズンの計120本塁打は、157本塁打のジャッジ、132本塁打の大谷翔平(現ロサンゼルス・ドジャース)、131本塁打のカイル・シュワーバー(フィラデルフィア・フィリーズ)に次ぎ、4番目に多い。

 メッツには、資金がある。けれども、メッツからFAとなるのは、アロンゾだけではない。先発投手のルイス・セベリーノホゼ・キンターナに、DHのJ.D.マルティネス、外野手のジェシー・ウィンカーハリソン・ベイダー、内野手のホゼ・イグレシアスや数人のリリーフ投手たち……。先発投手のショーン・マネイアも、FA市場に出るのは、まず違いない。来シーズンは2年2800万ドル(2024~25年)の契約2年目、年俸1350万ドルだが、今オフにオプト・アウトする――選手から契約を打ち切る――ことができる。

 今シーズン、セベリーノ、キンターナ、マネイアの3人は、いずれも170イニング以上を投げ、3点台の防御率を記録した。今オフのメッツの最優先事項は、ローテーションの再構築だ。

 それに加え、ニューヨーク・ヤンキースからFAとなる、外野手のホアン・ソトを迎え入れようとする可能性もある。パワーに関しては、ソトよりもアロンゾのほうが上だろうが、それでも、ここ3シーズンにソトが打ったホームランは三桁に達している。しかも、2018年のメジャーデビュー以降、シーズン出塁率は.400を下回ったことが一度もない。一方、アロンゾは、出塁率.360のシーズンが皆無。ここ2シーズンは.318と.329だ。

 メッツは、却下されるのを承知の上で、アロンゾに1年2105万ドルのクオリファイング・オファーを申し出るだろう。さらに、クオリファイング・オファーをアロンゾに却下された後、新たな契約も提示すると思われる。

 ただ、ニューヨーク・ポストのジョエル・シャーマンによると、昨年6月、メッツは、7年1億5800万ドル(2024~30年)の延長契約を申し出て、アロンゾに断られているという。そこから、年数や金額の上積みをするかどうかは、不透明だ。ちなみに、6年1億3550万ドル(2025~30年)であれば、年平均額は7年1億5800万ドル(2024~30年)とほぼ同じ――契約が満了する年はまったく同じ――になる。

 今シーズン、メッツでは、マーク・ビエントスがブレイクし、レギュラーシーズンの27本塁打にとどまらず、ポストシーズンで5本塁打を記録した。もっとも、三塁の守備は得意ではなく、ポストシーズンの13試合中8試合は、終盤に交代。ビエントスに代わり、イグレシアスが三塁を守った。

 アロンゾがいなくなれば、ビエントスを三塁から一塁へ移すことができる。その場合の内野は、一塁がビエントス、二塁がルイスアンヘル・アクーニャジェフ・マクニール、遊撃がフランシスコ・リンドーア、三塁はブレット・ベイティが筆頭候補となる。ベイティは、三塁手として今シーズンの開幕を迎えたが、結果を残すことができず、5月中旬からビエントスが起用されるようになった。

 もっとも、J.D.もFAになるので、アロンゾと再契約を交わし、ベイティに再びチャンスを与えても、アロンゾとビエントスの2人を一塁手とDH、あるいはDHと一塁手として起用することはできる。

 メッツは、昨年の提示と同水準、もしくは金額を少し上積みした契約を、アロンゾに申し出るが、何が何でも再契約といった、深追いはしないのではないだろうか。アロンゾがメッツに残るか去るかは、アロンゾと代理人のスコット・ボラス次第、という気がする。

 

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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