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LCSとWSの「連続MVP」は9人。ドジャースのエドマンとヤンキースのスタントンはその可能性あり

宇根夏樹ベースボール・ライター
トミー・エドマン(中央)Oct 20, 2024(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ジャンカルロ・スタントン(ニューヨーク・ヤンキース)とトミー・エドマン(ロサンゼルス・ドジャース)は、それぞれのリーグで、リーグ・チャンピオンシップ・シリーズのMVPに選ばれた。

 スタントンは、DHとして5試合に出場し、打率.222と出塁率.333ながら、4安打はすべてホームラン。第1戦と第3~5戦に1本ずつ記録した。

 その1本目は、リードを3点から4点に広げた。2本目は、アーロン・ジャッジに続く2者連続。ジャッジのホームランで同点に追いつき、スタントンのホームランで逆転した(試合はサヨナラ負け)。スタントンの3本目は、1点リードから4点リードとする3ラン。4本目は、0対2からの同点2ランだ。

 エドマンは、6試合とも遊撃を守り、打率.407と出塁率.393、1本塁打、11打点。犠牲バントと犠牲フライも1本ずつあり、スタントンとは対照的に、さまざまな形で活躍した。MVPの決め手になったのは、ドジャースがワールドシリーズ進出を決めた第6戦の2安打だと思われる。1回裏の二塁打と3回裏のホームランで2打点ずつ。ドジャースの10得点のうち、最初の4得点は、すべてエドマンによるものだ。

 これまで、リーグ・チャンピオンシップ・シリーズでMVPを受賞し、続いてワールドシリーズでもMVPに選ばれた選手は、9人いる。今年は、スタントンとエドマンに、その10人目となる可能性がある。

筆者作成
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 ドジャースでは、ワールドシリーズ優勝を飾った直近の2度とも、1人の選手が2シリーズ続けてMVPを受賞している。1988年がオレル・ハーシュハイザー、2020年はコリー・シーガー(現テキサス・レンジャーズ)だ。

 1988年のワールドシリーズは、第1戦にカーク・ギブソンが打った代打逆転サヨナラ本塁打が有名だが、シリーズの5試合中、ギブソンの出場はこの1打席だけだ。ちなみに、ギブソンにホームランを打たれた、オークランド・アスレティックスのデニス・エカーズリーは、この年のリーグ・チャンピオンシップ・シリーズで4試合ともセーブを挙げ、MVPに選ばれた。

 ハーシュハイザーもシーガーも、ポストシーズンのMVPは3度だ。ハーシュハイザーの3度目は、クリーブランド・インディアンズ時代の1995年。リーグ・チャンピオンシップ・シリーズでMVPを受賞した。シーガーは、昨年のワールドシリーズでMVP。5試合で打率.286と出塁率.375、3本塁打、6打点を記録した。

 また、1979年のウィリー・スタージェルは、リーグ・チャンピオンシップ・シリーズとワールドシリーズだけでなく、レギュラーシーズンのMVPも受賞している。セントルイス・カーディナルスのキース・ヘルナンデスと216ポイントで並び、MVPを分け合った。当時のスタージェルは、39歳だった。スタージェルは、この年のオールスター・ゲームには選ばれず、スタージェルのチームメイト、ピッツバーグ・パイレーツのデーブ・パーカーがMVPを手にした。

 なお、ヤンキースがワールドシリーズを制した直近の2度は、2000年と2009年だ。2000年のリーグ・チャンピオンシップ・シリーズMVPはデビッド・ジャスティス、ワールドシリーズMVPはデレク・ジーターが受賞した。2009年は、それぞれ、CC・サバシア松井秀喜が選出された。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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