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【フランス】いよいよカフェ再開? 夏へ向けて段階的に制限が解除に

鈴木春恵パリ在住ジャーナリスト
昨年夏のパリのカフェ。この風景がもうじき戻ってくる。(写真はいずれも筆者撮影)

フランスでは3度めのロックダウンが継続中ですが、4月29日、制限の段階的解除が明らかになりました。これまでは大統領か首相の会見によって政府方針が発表になることが常でしたが、今回は大統領が報道機関のインタビューに答えた形。それによると、4段階で制限が解除され、夏には制限のない状態を目指す道筋になっています。主な内容は次のようなものです。

【5月3日】 

移動制限解除

中学、高校の登校再開

これまで、自由な外出は自宅から10キロ圏内でしか認められず、それを超える移動は特別な理由を示す証明書を携帯する必要があったのですが、それが解除になります。つまり、県をまたいでの自由な移動が可能になります。

【5月19日】

夜間外出制限の緩和(21時まで外出可能に)

商店、文化施設の再開

レストラン、カフェのテラス席再開

19時以降から翌朝6時までの夜間外出制限はこの日から21時以降になる予定。フランスでは3月末から夏時間になり、パリの日の入りは21時くらい。つまり、外はまだまだ明るいのに外出できないという状況が続いているのですが、それが2時間ほど緩和されるというものです。

また、現在営業が認められるている商業施設は、生活必需品とみなされる食料品、薬、事務用品、本、花卉などを売る店やスーパーマーケットのみですが、この日からはすべての商店が再開される予定。

さらに美術館、映画館、劇場などもふたたび扉が開かれます。そして待ちに待ったレストラン、カフェのテラス席が再開される予定。そうなると一気に街の雰囲気が変わることでしょう。ちなみに1テーブルにつき最大6人までという制限がついています。

4月のパリは低温が続いていましたが、ノートルダム大聖堂の足元でもマロニエの花が咲き始めました。
4月のパリは低温が続いていましたが、ノートルダム大聖堂の足元でもマロニエの花が咲き始めました。

【6月9日】

夜間外出制限の再緩和(23時まで外出可能に)

レストラン、カフェの再開

Pass sanitaire (保健パス)の導入

外国人観光客の受け入れ再開

制限の解除にともない、Pass sanitaire(パス・サニテール=保健パス、サニタリーパス)というのが話題になってきています。これは、直近のウイルス感染陰性証明、ワクチン接種歴などを証明するもので、スマホのアプリ内で作成できたりする形での導入が濃厚になっています。スポーツ観戦などイベントに参加する際には、このパスの提示が求められるほか、フランス国内に入る際にも提示する必要がありそうです。

【6月30日】

夜間外出制限の解除

ところで、4月30日時点、直近24時間での新規感染者数は26,538人、ICUの占有率は114%強となっていて、フランスの感染状況はまだまだ楽観できない状態です。

とはいえ、ヨーロッパ諸国と比較しても厳しい制限をいつまでも続けるわけにもいかず、明るい見通しを示さないことには国民の鬱憤がたまるばかりというなかでの政府方針。ただし、今後の感染状況次第では、この道筋通りにはいかないことも示唆しつつの発表です。

いっぽうフランスのワクチン接種状況ですが、4月30日現在、1回でも接種した人の数は1490万人。これはフランスの人口のおよそ22%にあたる数字です。対象となるのはいまのところ基本的には55歳以上ですが、疾患のある人をはじめ55歳以下で接種している人も少なくありません。当初55歳以上は5月半ば以降の接種という予定でしたので、カレンダーを前倒しにして実施されているということになります。ちなみに使用されているのはファイザー、モデルナ、アストラゼネカ、ジョンソン&ジョンソン製の4種のワクチンです。

パリ在住ジャーナリスト

出版社できもの雑誌の編集にたずさわったのち、1998年渡仏。パリを基点に、フランスをはじめヨーロッパの風土、文化、暮らしをテーマに取材し、雑誌、インターネットメディアのほか、Youtubeチャンネル ( Paris Promenade)でも紹介している。

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