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連続10奪三振の2人、シーバーとノラの間にいる「あと一歩のところで届かなかった」投手たち

宇根夏樹ベースボール・ライター
アーロン・ノラ(フィラデルフィア・フィリーズ)Jun 25, 2021(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 6月25日、アーロン・ノラ(フィラデルフィア・フィリーズ)は、打者10人を続けて三振に仕留めた。これは、1登板の最長タイ記録だ(ニグロリーグは含まず)。1970年4月22日のトム・シーバーに並んだ。

 シーバーのストリークは、6回表の3アウト目から9回表の3アウト目まで。この試合で対戦した、最後の打者10人だ。一方、ノラは1回裏の1アウト目から4回裏の1アウト目まで。ただ、先頭打者からではなく、ストリークの前に死球と二塁打で2人を出塁させた。ちなみに、シーバーは次の登板で、最初の打者を遊撃ゴロに討ち取った。ノラは新記録がかかった「11人目」の打者に、二塁打を打たれた。

 9連続奪三振は、8人が記録している。最初の1人は、1884年8月28日のミッキー・ウェルチだ。もっとも、9人目が振り逃げだったため、このストリークは半世紀以上も8人とされていた。また、当時はマウンドからホームまでの距離が短く、50フィートしかなかった。現行の60フィート6インチとなったのは、1893年からだ。

 シーバーのストリークにあと一歩まで迫った7人は、いずれも試合の途中に9連続奪三振を記録した。2007年4月25日のジェイク・ピービーと昨年8月2日のタイラー・アレクザンダー(デトロイト・タイガース)は、それぞれ、与四球と与死球により、ストリークが途切れた。他の投手たちと違い、アレクザンダーはリリーフとして登板。ストリークの8人目は、秋山翔吾(シンシナティ・レッズ)だった。2015年10月3日のマックス・シャーザー(ワシントン・ナショナルズ)は、「10人目」を三塁フライに仕留めて試合を終わらせ、ノーヒッターを達成した。

筆者作成
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 10連続奪三振のノラは、ヒットも2本打ち、2本目の二塁打で先制点を挙げた。けれども、フィリーズの得点は他に皆無。6回裏の途中にノラが降板した時点では、1対0とリードしていたものの、7回裏に同点とされ、延長8回裏にサヨナラ負けを喫した。

 なお、この日の2試合目は、どちらのチームも2連続奪三振(あるいは2連続三振)がなく、合計の三振も9に過ぎなかった。延長8回と両チーム計3点は、1試合目と同じ。こちらは、フィリーズが2対1でニューヨーク・メッツを下した。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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