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オートバイのあれこれ『“究極スポーツマシン”が“究極旅バイク”になった。ゴールドウイング』

Rotti.モトエンスー(moto enthusiast)

全国1,000万人のバイク好きたちへ送るこのコーナー。

今日は『“究極スポーツマシン”が“究極旅バイク”になった。ゴールドウイング』をテーマにお話ししようと思います。

「ホンダのゴールドウイングってどんなバイク?」

と聞かれると、多くのバイクファンは「ツーリングバイクの究極形」というような回答をするのではないでしょうか。

それは正解で、1980年以降のゴールドウイングは、ホンダのフラッグシップツアラーとして開発されてきました。

▲こちらが現行モデル〈2022/画像引用元:本田技研工業〉
▲こちらが現行モデル〈2022/画像引用元:本田技研工業〉

しかし、ゴールドウイングは元々、ツーリングバイクとして生まれてきたのではないことを皆さんはご存知でしょうか。

実はゴールドウイングは元々、ホンダがCB750FOURを超えるスーパースポーツを目指して企画されたオートバイなのです。

実際、1975年に登場した初代ゴールドウイング(GL1000)は、「ハイパフォーマンス・スーパースポーツ」という謳い文句とともにホンダからリリースされています

▲GL1000 Gold Wing〈1975/画像引用元:本田技研工業〉
▲GL1000 Gold Wing〈1975/画像引用元:本田技研工業〉

オートバイとしてはあまり採用例の無い4気筒のボクサー(水平対向)エンジンを搭載していたのが最大の見どころで、これは結局、後のゴールドウイングの血統に脈々と受け継がれていくこととなりました。

今で言うところの『CBR1000RR』のような、フラッグシップスポーツとして世に放たれたゴールドウイング。

しかし、メインマーケットだったアメリカにおいて、ゴールドウイングはスポーツバイク的な乗り方はされませんでした。

どういうことかと言うと、ゴールドウイングを手に入れたアメリカンライダーたちは、防風用のカウルや荷物を詰め込んだバッグを車体に取り付けて、優雅なロングクルージングの相棒にしていたのです。

▲ダミータンク部には電装系統が収められていた〈画像引用元:本田技研工業〉
▲ダミータンク部には電装系統が収められていた〈画像引用元:本田技研工業〉

たしかにゴールドウイングは、ボクサーエンジンによる低重心(=安定性に優れる)な車体、シャフト式駆動伝達(シャフトドライブ)による低振動な乗り心地など、快適ツアラーとしての素質も備えていたといえるでしょう。

そしてこの実際の使われ方を見たホンダは、二代目からはスポーツバイクではなくツーリングバイクとしてゴールドウイングを作るようになったのでした。

以降、ゴールドウイングはフラッグシップツアラーの地位を確固たるものとし、現在に至るまで目の肥えたツーリストに愛され続けています。

元々の狙いは外れたけれど、「結果オーライ」でロングセラーモデルになったという、ゴールドウイングはやや珍しい経歴を持つオートバイだといっていいでしょう。

▲当時の海外向け広告〈画像引用元:本田技研工業〉
▲当時の海外向け広告〈画像引用元:本田技研工業〉

モトエンスー(moto enthusiast)

バイクを楽しむライター。バイク歴15年で乗り継いだ愛車は10台以上。ツーリング/モータースポーツ、オンロード/オフロード、最新バイク/絶版バイク問わず、バイクにまつわることは全部好き。

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