小室圭さん 「解決金」支払に人々が納得できなのはなぜか:謝罪と感謝と印象変化の心理学
■小室圭さん 「解決金」を支払って金銭トラブルを解決へ
先日長文の説明文を公表した小室圭さんが、急転直下、解決金を支払うと報道され、多くの注目を集めています。
■解決金支払いへのネット上の反応
このニュースを報じたヤフーのコメント欄には、次のような意見が並んでいます。
「遅いよ!」
「本当に『卑しい』」
「人として信頼出来ない」
「お金払えば解決する訳ではない」
「求めているのはお金ではなく誠意」
「予想に反して非難があったんだろうね」
ヤフーコメントは一方向に流れやすいとはいえ、散々な意見が目立ちます。
なぜ、人々は納得できず、むしろ怒りを感じている人たちがるのか、心理学的に解説します。
■行動だけでなく動機が印象を左右する
人は、良い行動をする人には好印象を持ち、悪い行動を取る人には悪印象を持ちます。しかし、人は行動だけではなく、その人の動機を見ようとします。
たとえば、人を殴ったとしても、殴りたくなる共感できる事情があるのならば、殴ったことは悪いけれども同情的にもなるでしょう。
一方、どんな善行も、売名行為だと感じてしまえば、高評価どころか、印象はむしろ悪化するでしょう。
解決金が、相手への素直な感謝や素直な謝罪の表れだと感じられたなら、人々も受け入れたでしょう。
しかし今回の解決金が、もしも相手のためではなく、自分に対するバッシングにあわてた結果だと人々が思うならば、お金を払うことは良いことどころか、むしろ「卑しい」とまで感じる人も出てしまうのでしょう。
■感謝と謝罪の心理学
28ページの説明文公表の時から、「必要なとは理屈ではなく、感謝と謝罪の気持ちだ」との意見は多く見られました。
「ありがとう」「ごめんなさい」が言える人を、私たちは高く評価します。頭を下げる行為ですが、その人の価値を下げることはありません。もちろん、心からの感謝や謝罪でなければなりませんが。
社会心理学の研究によれば、自分の非を認める人は、人からの評判が良くなります。たとえば、試合に負けた後で「選手が悪い、私にでせいはない」と語る監督と、「全部私の責任です」と語る監督と、どちらが高く評価されるかという話です。
この場合、客観的に見てどちらの責任が大きいかは無関係です。
また、感謝の気持ちを表現ができる人は幸福感が高いという研究もあります。幸福感が高い人は、さらに周囲の幸福感を高め、結果的に周囲からの評価も高まるでしょう。
その反対に、感謝や謝罪ができない人だと感じてしまえば、評価は悪化するでしょう。
■言動が変わりやすい人への悪評価
これも心理学の研究ですが、人は普通、自分が簡単には意見を曲げない一貫した人間だと示そうとします。それは、態度をころころ変える人が信用されないことを知っているからです。
恋人の前で禁煙を誓っておいて、次のデートでぷかぷかタバコを吸っていたら、人間性を疑われるでしょう。
何事においても、賛成反対はあるものですが、誠実に私利私欲なく意見を述べ続ければ、賛同者も現れます。たとえ賛同できなくても、あの人の態度は立派だと見てくれる人もいるでしょう。
ところが、昨日は反対しておいて、今日はあっさり賛成に回ったりすると、その人の意見はもう誰も聞いてくれなくなります。よほどの納得できる理由があれば別ですが、普通は意見や態度を変えやすい人を、私たちは信用しないのです。
28ページにわたる長文の説明文。返済の必要はなく、解決金も支払わないと強く主張した直後の、解決金の支払い。多くの人が納得できないと感じても無理はないでしょう。
■お金トラブルと小室圭さんへの印象悪化
小室圭さんのことが最初に報道されたときは、とても肯定的な報道でした。眞子さまのご結婚相手にふさわしい爽やかな好青年と思った人も多かったでしょう。
ところが、突然の金銭トラブル報道です。
日本人は、お金を欲しいと思いながらも、お金にはケガレがあるとも感じています(「お金の使い方と評判の心理学:気前良くふるまうと評価が上がる?共感性の高い人はお金がたまらない?」:Y!ニュース個人有料)。
皇室に対しては、神聖で清らかなな印象、眞子さまに対しても清純なイメージを持っていたことでしょう。その結婚相手の家での金銭トラブル。多くの国民がショックを受け、小室圭さんへの印象は一気に悪化しました。
トラブルの報道後も、金銭の支払いは行われず、沈黙が続き、その間にもネガティブ報道が続きます。その後、金銭を支払わない理由が長文の説明文でなされたとはいえ、多くの日本人は納得しませんでした(「小室圭さんの説明文書に納得できない人が多いのはなぜか:お金と結婚恋愛と天皇家の心理学」:Y!ニュース個人)。
これが、もしもケンカで人を殴ったといったスキャンダルなら、ここまで騒ぎは大きくならなかったでしょう。
■印象変化の心理学:悪印象は変えにくい
社会心理学の研究でも、ポジティヴな評価の印象 (好印象) よりも、 ネガティヴな評価の印象 (悪印象) の方が、持続しやすく、覆しにくいことがわかっています。
たとえば、ある人に関する良い情報と悪い情報を伝えます。その後で、どちらの情報の方が長く覚えているかを調べると、人は悪い情報の方が記憶に残りやすいことがわかりました。
この結果、悪印象の方が変わりにくく、長く残りやすくなるのです。小室圭さんに関しても、当初はずいぶん良い報道もされたのですが、その内容を覚えている人は少ないでしょう。
また、悪い情報、良くない言動の原因がその人自身の性格にあると判断してしまうと、その人はこの後も同様の悪いことを頻繁に繰り返すだろうと感じてしまうので、さらに評価は悪化することになります。
このような考え方は、しばしば間違っていることも多いのですが、人は人をそのように評価してしまうのです。
さらに、私たちは小室圭さんと直接お会いすることはできませんし、トラブル後の記者会見も行われていません。それでも、次々と多くの話題が出てきます。
人は、一度ある感情を持つと、そのことを考えれば考えるほど、感情は強くなります。遠距離恋愛で相手のことを考えれば考えるほど恋心は強くなりますし、反対に誰かのことを恨めば、その人のことを考えれば考えるほど恨みの感情は強くなります。
小室圭さんに一度悪い印象を持て閉まった人は、それを覆す有効な情報がないままに、話題になればなるほど、考えれば考えるほど、悪印象が強まってしまったのでしょう
■「多くの人が納得し、喜んでくれる状況」を作るために
こじれにこじれてしまった眞子さまと小室圭さんとの結婚問題。
秋篠宮さまも、結婚は求めるとしながらも、「多くの人が納得し、喜んでくれる状況」を求めています。
誰であれ、結婚は二人の合意においてのみ成立しますが、また誰であれ、多くの人に祝福された方が良いでしょう。
宮内庁も、皇室行事なしの結婚は避けたいところでしょう。
どうすれば「多くの人が納得し、喜んでくれる状況」が得られるのか。名案はなかなか浮かびませんが、まずは誠意ある態度での解決金の支払いによる当事者同士の円満解決でしょう。
そして、二人の誠実な愛を人々に示していくことでしょうか。
愛があれば、どんな困難も乗り越えられる。「多くの人が納得し、喜んでくれる状況」も作り出せる。そんな夢を、二人はかなえてくれるのでしょうか。