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沖縄の梅雨明けは西~東日本での本格的な梅雨の始まり 大雨に備え祖父母に電話を

饒村曜気象予報士
梅雨空(提供:GYRO_PHOTOGRAPHY/イメージマート)

沖縄の梅雨明け間近

 沖縄の平年の梅雨入りは5月10日ですが、令和3年(2021年)は5日早い5月5日のこどもの日に梅雨入りしました。

 そして、沖縄の平年の梅雨明けは、6月21日ですが、梅雨に関する統計がある、昭和26年(1951年)以降で、一番早い梅雨明けは、平成27年(2015年)の6月8日、一番遅い梅雨明けは、令和元年(2019年)の7月10日です(図1)。

図1 沖縄の梅雨入りと梅雨明け
図1 沖縄の梅雨入りと梅雨明け

 70年間で、一番早い年も、一番遅い年も最近であるということは、近年、年による変動が大きくなっていることを示しています。

 ただ、令和3年(2021年)の梅雨明けは、7月6日なら3位タイに、9日なら2位タイになりますが、各地の10日間予報から見て、2日にも梅雨明けが予想されています(図2)。

図2 各地の10日間予報(ウェザーマップによる)
図2 各地の10日間予報(ウェザーマップによる)

 どうも、沖縄地方の梅雨明けは、6位タイの記録になりそうです。

【追記(7月2日14時)】

 気象庁は、7月2日11時に沖縄地方の梅雨明けを発表しました。

 平年より11日遅い梅雨明け(6位タイの遅い記録)でした。

 このため、本記事のタイトルを少し変更しました。

令和3年の梅雨

 令和3年(2021年)は、沖縄・奄美地方と西日本、東海地方は、記録的に早い梅雨入りとなっています(表)。

表 令和3年(2021年)の梅雨入りと梅雨明け
表 令和3年(2021年)の梅雨入りと梅雨明け

 しかし、関東甲信地方と北陸・東北地方は平年より梅雨入りが遅れ、梅雨入りしたといっても、梅雨前線は沖縄付近から本州の南海上に南下したままでした。

 このため、関東甲信地方と北陸・東北地方のこれまでの梅雨は、梅雨前線による雨や曇りの日が多い「梅雨空」ではなく、上空に寒気が入って大気が不安定になることでの「梅雨空」でした。

 このため、梅雨入りしたと言っても、晴れる日も多く、降るときは局地的にザッと降るということが多くなっています。

 しかし、7月に入ると、梅雨前線が北上し、本州南岸に停滞する見込みです(図3)。

図3 予想天気図(7月3日9時の予想)
図3 予想天気図(7月3日9時の予想)

 これは、太平洋高気圧が強まって梅雨前線が北へ押し上げられるからです。

 図2で示す通り、沖縄では梅雨明けとなって晴れる日が続く一方、西日本から東日本、東北地方では、傘マーク(雨)や、黒雲マーク(雨が降る可能性がある曇り)がほとんどです。

 しかし、梅雨前線が北上することに対応し、西日本から東日本、および東北地方では、梅雨前線による広い範囲の「梅雨空」になり、梅雨本番となります。

線状降水帯による大雨

 沖縄で梅雨明け間近は西~東日本での本格的な梅雨の始まり、とよく言われます。

 今年、令和3年(2021年)もそうでした。

 線状降水帯に関する情報である「顕著な大雨に関する情報」は、令和3年(2021年)から発表するようになりましたが、その初めての発表は、6月29日2時49分の沖縄本島地方でした(図4)。

図4 初めて発表された「顕著な大雨に関する情報」
図4 初めて発表された「顕著な大雨に関する情報」

 次いで、7月1日には東京都の伊豆諸島北部でも発表となりました。

 このため、沖縄本島と伊豆諸島では、400ミリを超える大雨となりました(図5)。

図5 72時間降水量
図5 72時間降水量

 そして、今後36時間に200ミリ以上の雨が東海地方を中心に降る見込みです(図6)。 

図6 36時間予想降水量(2日3時から3日15時までの36時間)
図6 36時間予想降水量(2日3時から3日15時までの36時間)

祖父母にネットで調べて電話を

 大きな災害をもたらす線状降水帯による豪雨は、予報が非常に難しく、気象庁は令和12年(2030年)までの10年計画で取り組んでいるくらいです。

 とはいえ、10年も待てません。

 そこで、線状降水帯を確認したら一刻も早く知らせることで、少しでも防災効果を出すために、今年から始めたのが、前述の「顕著な大雨に関する情報」です。

 しかし、これは発生の確認情報であって予報ではありません。

 来年度から一部で始まる予報に期待です。

 このように、新しい情報が次々に発表となっています。

 このような新しい情報も含め、テレビなどのマスメディアでは伝えきれない大量の情報が氾濫しています。

 しかし、情報が必要なところに届いていないという現状には変わりがありません。

 また、きめ細かい防災情報がインターネット等で提供されていますので、取りに行けば情報が入手できる時代となっています。

 ただ、取りにいっても情報が多すぎて使いこなせないという意見もあります。

 このように、いろいろな問題があっても、自分の身を守るのに役立つ情報が、どこかにある時代になっています。

 とはいえ、これらは、そもそもインターネット等を使いこなせない高齢者にとっては、非常に高いハードルです。

 そこで提案です。

 祖父母など、親しい高齢者の住んでいる場所の防災情報を、インターネット等で調べ、電話をしてみてはどうでしょうか。

 最新の道具を使って、自分のために調べてくれた孫からの電話は、うれしいと思いますし、この積み重ねが減災につながるのではないかと思います。

 平年の梅雨明けは、九州南部で7月15日、関東甲信地方で7月19日です。

 多くの地方では半月以上も梅雨が続きますので、この間に一度、祖父母などの親しい高齢者に電話してみませんか。

図1、図4、表の出典:気象庁ホームページをもとに筆者作成。

図2、図5、図6の出典:ウェザーマップ提供。

図3の出典:気象庁ホームページ。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2024年9月新刊『防災気象情報等で使われる100の用語』(近代消防社)という本を出版しました。

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