やさしいトランス療法とは、エリクソン催眠療法のこと。
こんにちは。
精神医学と性格心理学に詳しい
心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です。
「やさしいトランス療法」という本を読みました。
私には、易しくなかったです。難解な本でした。
でも書かれている内容は、エリクソン催眠療法のことで、とても優しかったです。
カウンセリングと催眠の違い
カウンセリングとは、人間関係の一形態です。
援助を目的とした人間関係です。道具はコミュニケーションになります。
催眠とは、コミュニケーションの一形態です。
催眠によるコミュニケーションには、①変化が起きる、②トランス状態(非日常的な意識の状態)が起きる、という2つの特徴があります。
※ コミュニケーションとは、気持や意見などを、言葉などを通じて相手に伝えることです。
催眠の種類
私は、催眠を使う心理カウンセラーでもありますが、「催眠療法を使う」という表現をすることは、ほとんどありません。というのは、「催眠療法を使う」と言うと、多くの方は、催眠術を想像するからです。私は、催眠術はやりません。
催眠は、大きく2つに分けることが出来ます。
ひとつは催眠術、そしてもうひとつが催眠療法です。
催眠術は、エンターテイメントです。人を楽しませるものです。
催眠療法は、心理療法の一種です。対人支援です。人の成長を助けていくものです。
さらに私が、「催眠術をするのではなく、催眠療法を使うのですよ」と言っても、ほとんどの方は、古典催眠療法を想像すると思います。よって私は、私が使う催眠療法のことを、トランス療法と呼んでいます。私が言うトランス療法とは、エリクソン催眠のことです。
ちなみに、巷でよく聞くヒプノセラピーは、ほとんどが古典催眠療法です。ヒプノセラピストと呼ばれている人のほとんどは、古典催眠療法の使い手で、私のようにエリクソン催眠を使っている人は、滅多にいません。
私は、トランス療法を使うカウンセラーです。私が、前世療法をやることはありません。
私は、クライアントをトランス状態にするのですが、それと同時に、私もトランス状態になります。ふたりがトランス状態になるためには、私とクライアント、ふたりの協力が必要です。
トランス療法(エリクソン催眠)では、
1.基本、クライアントの意識がなくなることはありません。
ときおり、眠ってしまうクライアントはいらっしゃいます。←ごくまれに…です。
2.嫌がっているクライアントに対し、私がトランス療法をやることはありません。
3.クライアントがトランス状態になったからと言って、クライアント自身が言いたくないことを言ったり、やりたくないことをやったりすることは、基本ありません。
4.クライアントが、私の言いなりになることはありません。
5.トランス状態から解放されたあと、記憶が失っていることはありません。
トランス状態で言ったことやったことは、全てぼんやり覚えています。良い暗示効果は継続しますが、良くない後遺症が残ることはありません。
6.私がクライアントに対し、強いショックを与えるようなことはありません。
7.私がクライアントの身体に触れることはありません。←ここ重要です。
私の行うトランス療法は、「催眠をかける」というものではなく、私とクライアントが協力して、トランス状態を作りあげていく…という感覚です。
古典催眠療法と私が行うトランス療法(エリクソン催眠)の違い
1.古典催眠療法は、セラピストの態度が権威的です。基本、上から目線です。
トランス療法は、セラピストの態度が協力的です。目線の高さは一緒です。
2.古典催眠療法は、セラピストは催眠をかける人です。
トランス療法は、セラピストはクライアントと一緒に催眠を作る人です。
3.古典催眠療法は、セラピストが断定口調で直接的に指示を出します。
「目をつぶってください」
トランス療法は、セラピストは許容口調で間接的に暗示します。
「あなたは、目をつぶることも出来ます」
4.古典催眠療法は、テンプレートに沿って、形式的に進めていきます。
トランス療法は、自然な会話から、トランス状態に誘っていきます。
5.古典催眠療法は、セラピストが催眠療法を習得するのに、さほど時間がかかりません。
けれど、その分、催眠がかからない人が続出します。トランス療法は、セラピストが催眠療法を習得するのに、たくさんの時間がかかります。けれど、その分、催眠に入らない人はゼロです。誰もが少しはトランスに入ります。
以上です。
上記は、「古典催眠療法よりトランス療法(エリクソン催眠)のほうが、優れている勝っている」ということが言いたくて書いたのではありません。
トランス療法を体験してみたい方は、ぜひ私の許までお問い合わせください。
トランス療法を使う私としては、「前世を観たい」とか「過去世を知りたい」とか「不思議体験をしたい」とおっしゃる人の要望にはお応えしかねます。トランス療法は、あくまでも心理療法の一種であって、エンタメ目的でするものではないということは、どうぞご理解ください。
おまけ
【 私がトランス療法を学んだ理由 】
私は、来談者中心療法(クライアント中心療法)という心理療法を使うカウンセラーです。時には、精神分析的療法を使ったり、認知行動療法を使ったり、家族療法を使ったり、森田療法を使ったり、論理療法を使ったり、ゲシュタルト療法を使ったり、解決志向アプローチを使ったり、また自律訓練法(自己催眠)や心理テストを用いることがありますが、基本は傾聴です。
私のモットーは、「クライアントが、喋りたいことを、喋りたいように、喋りたいだけ、クライアントに喋ってもらう」ということです。私がやっていることは、クライアントの話を、親身になって、全身全霊で聴く…というものです。そうすることによってクライアントは、ゆっくり安全・確実に、変化していきます。
けれど、私のカウンセリングルームには、ときおり、「問題は抱えているが、別に話がしたいわけじゃぁない」という、無口なクライアント(来談者)が訪れます。私は、正直、喋らないクライアント、自ら喋ろうとしないクライアントが苦手でした。クライアントが話し出すのを、話しやすい雰囲気を作って待っているのですが…、沈黙を非常に嫌がるクライアントもいて、そういうクライアントに対し、私は無力でした。
そんな自分をどうにかしたくて、60歳を過ぎて、新たにトランス療法(エリクソン催眠)を本格的に学んだ…というわけです。
今は、傾聴を主として、トランス療法をはじめとした様々な心理療法を駆使して、クライアントのお役に立とうと精進を重ねている最中です。臨床数15,000超え、臨床歴25年越え、今日も生まれ育った愛知県名古屋市でカウンセリングしている私を、今後ともどうぞ宜しくお願いします。
今日も最後までお読みくださって、どうもありがとうございます。
心から感謝申し上げます。
この記事を書いた人は、心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です。