パリSGは欧州の頂点に立てるのか?メッシ、ネイマール、エムバペの3トップの相性と求められる最適解。
ビッグイヤー獲得の野心は、衰えていない。
チャンピオンズリーグ・グループステージ第3節で、パリ・サンジェルマンはベンフィカと対戦した。試合は1−1の引き分けに終わった。この結果、グループHではパリSGとベンフィカが勝ち点7で並び1位と2位に位置している。
パリSGは昨年夏、リオネル・メッシを獲得した。バルセロナとの契約が満了を迎えたメッシをフリートランスファーで引き入れ、メッシ、ネイマール、キリアン・エムバペの3トップを完成させた。
だが欧州の舞台は甘くなかった。チャンピオンズリーグでは、決勝トーナメント1回戦でレアル・マドリーに逆転で敗れた。
変化の必要性を感じ取ったナセル・アル・ケライフィ会長はマウリシオ・ポチェッティーノ監督とレオナルドSD(スポーツディレクター)の解任、クリストフ・ガルティエ監督の就任と補強担当としてルイス・カンポス氏の入閣を決めた。
■エムバペの残留
ただ、この夏、パリSGは厳しい状況に置かれていた。目下、課題とされていたのがエムバペの残留だ。
契約期間を2022年夏までとしていたエムバペには、レアル・マドリーが強い関心を示していた。カリム・ベンゼマの後釜を探していたマドリーが、本格的にエムバペの獲得に動いていた。また、エムバペにとって、マドリーへの移籍は長年の夢だった。
しかしーー、エムバペはパリに残った。2025年夏までの契約延長で合意に至り、再びパリSGで挑戦する運びとなった。
エムバペの残留に関してはいくつかの理由が考えられる。監督交代とルイス・カンポス氏の入閣、エマニュエル・マクロン大統領からの“直電”、肖像権のコントロール…。いずれにせよ、パリSGとしてはエムバペを残留させられたのは大きな成功だった。
かくして、パリSGは再出発を図った。
この夏、パリSGは補強に1億4750万ユーロを投じている。とはいえ、派手な補強を行ったわけではない。ヴィティーニャ、カルロス・ソレール、ファビアン・ルイスといった選手が加入して、チームの陣容が整えられた。
メッシ、ネイマール、エムバペの3トップが軸であるのは間違いない。ガルティエ監督は【3−4−3】のシステムを導入。先述の通り、新戦力として到着したヴィティーニャ、ファビアン、ソレールらはビッグプレーヤーではない。語弊を恐れずに言えば、彼らは3トップを輝かせるための駒である。
国内のリーグ戦では、メッシ(5得点7アシスト)、ネイマール(8得点7アシスト)、エムバペ(8得点)とそれぞれが結果を残している。
■選手同士の関係性
しかしながら、問題がないわけではない。スタープレーヤーが集うからこその、選手間の関係だ。
先のインターナショナルウィークで、ブラジル代表に招集されていたネイマールが、エムバペとの関係性について聞かれ「分からない」と答えて話題を呼んだ。2017年夏からパリSGで共にプレーしてきた両者だが、以前のように良好な関係ではなくなったといわれている。
「明確な目標がある時、成果を挙げるために必要な条件というのは満たされる。(報道陣に対して)共存についての話だと思うが、ずっと同じ話題で私は驚いている。私が就任してから、ロッカールームはずっと正常な状態だ」
「驚くことは何もない。私と対峙するようなものもない。選手たちは共に勝利を目指している。彼らは競争心を持った偉大なチャンピオンだ」
ガルティエ監督はこのように語っている。ただ、トラブルの火種は燻っている。そのマネジメントができるかどうかもスポーツ的側面の成果に関わってくるだろう。
2011年にQSI(カタール・スポーツ・インベストメンツ)に買収されたパリS Gは、実質上の国家クラブとなった。
以降、彼らの最大の目標はビッグイヤーの獲得になった。メッシ、ネイマール、エムバペ。その最適解が見つかった時、それは果たされる。