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2ラウンドKOで日本タイトルを防衛したIBFスーパーフライ級7位

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
撮影:山口裕朗

 IBFスーパーフライ級7位で、同級日本王座に就く高山涼深が、青山功にKO勝ちして3度目の防衛に成功した。

撮影:山口裕朗
撮影:山口裕朗

 このカードは本来7月に組まれたが、高山が急性胃腸炎となったことで延期された。2009年にプロデビューしてからコツコツとキャリアを積み上げてきた青山にとっては、初のタイトル挑戦。悲願のタイトルマッチに向けて調整していたにもかかわらず、チャンピオン側の都合でキャンセルとなった。だが、延期を受け入れ、並々ならぬ闘志でリングに上がった。

撮影:山口裕朗
撮影:山口裕朗

 OPBF東洋太平洋1位までランクを上ている高山は、空位となった同スーパーフライ級王座決定戦に出場する道もあった。が、自ら穴を空けた青山戦を優先した。

 高山は振り返る。

 「試合直前に小口忠寛トレーナーから『向こうは覚悟を決めてくるぞ』と言われたんです。それで、自分からは行かずに、青山選手を迎え撃とうと様子を見る立ち上がりでした。そんななか、右ストレートを何発か喰いましたね。

 もらった瞬間に『このパンチなら効かない』という安心感を覚えてしまって、油断というか‥…パンチを浴びても当てに行こう、という意識でやっていました。自分がクリーンヒット出来る距離を作っていこうと考えました」

撮影:山口裕朗
撮影:山口裕朗

 ペースを握った高山は上下にパンチを打ち分け、青山にダメージを与えていく。

 「1ラウンド中盤に、僕の左ボディーが受けた青山さんが『うーっ』って唸ったんですよ。で、嫌な顔をしたので、『これはイケる!』と感じました。

 2ラウンドが始まる前のインターバルでは、小口さんに『焦らなくていい』とアドバイスされました。打ち終わりを気を付けようと考え、冷静に次のラウンドに入りました」

 翌2ラウンド、高山は腹へのフェイントを何度も使ったが、挑戦者は全てに引っ掛ってくれた。

 「やっぱりボディーが効いていたんでしょう。左ボディーを更にヒットし、その後顔面への右フックで仕留められたので、練習してきたことが出せましたね。試合後に挨拶した際、青山さんに『しっかり世界獲ってくれよ』と言われたんです。あぁ、この試合を最後にするつもりだったのかなと感じました。

撮影:山口裕朗
撮影:山口裕朗

 とはいえ、今、頭にあるのは反省点ばかりです。先日、中谷潤人選手とスパーリングをやらせてもらいましたが、それを生かせたとはとても言えません。正直言って、WBCバンタム級チャンピオンとの5ラウンドのスパーの方が何百倍も濃かったですね。もっともっと日々の練習から、拘りを持ってやっていかなきゃと感じています」

 

 高山は次戦で、日本ランキング1位の挑戦者とチャンピオンカーニバルで対戦する。自身の殻を破れるか。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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