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「ヘイニーとデービスどちらが印象的だった?」ライト級新4冠王者カンボソスが語る

杉浦大介スポーツライター
Photo By Ed Mulholland/Matchroom

 現在、アメリカでは3週間の間に主要なライト級戦が行われる期間の真っ只中。その中で新たなメインキャストが躍り出た。

 11月27日、伏兵ジョージ・カンボソス・ジュニア(オーストラリア)がニューヨークで同階級の4冠王者(WBCはフランチャイズ王座)だったテオフィモ・ロペス(アメリカ)に判定勝ちという大番狂わせの勝利を挙げ、主役の1人に浮上したのだ。

 カンボソスはそのままアメリカに残り、12月4日にラスベガスで行われたデビン・ヘイニー(アメリカ)対ジョセフ・ディアス・ジュニア(アメリカ)のWBCタイトル戦、5日にはロサンジェルスで挙行されたジャーボンテ・“タンク”・デービス(アメリカ)対イサック・クルス(メキシコ)のWBAレギュラー王座タイトル戦をリングサイドで観戦した。

 新王者の目に、それぞれ判定勝ちを飾ったヘイニー、デービスの戦いぶりはどう映ったのか。12月11日にリチャード・コミー(ガーナ)と対戦するワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)まで含め、同階級のライバルたちをどう見ているのか。

 デービス対クルスが行われたロサンジェルスのステイプルス・センターでカンボソスに話を聞いた。

26戦全勝(24KO)のデービスの穴が見えた

 デービス対クルス戦は良い試合でしたね。一進一退の接戦でした。115-113のスコアでタンクが勝ったと思いますが、クルスも最後まで勝利を目指して戦ったので、評価されてしかるべきです。タンクはアウトボクシングができることを見せ、クルスも前に出続けてハートの強さを証明しました。

 タンクは左拳を痛めたようですが、それでも勝ち切ったのは大きかったと思います。ただ、彼を間近で見て、つけ込むことができるであろう幾つかの穴も見えました。

 昨日はヘイニー、今日はデービスの試合を観戦し、スカウティングができて良かったです。私はボクシングを学ぶ生徒のようなもの。これからロペスの時と同じように、彼らのこともじっくりと研究するつもりです。

デービス(右)は順当勝ちを収めたが、クルス(左)の頑張りで試合は予想外の接戦になった Ryan Hafey / Premier Boxing
デービス(右)は順当勝ちを収めたが、クルス(左)の頑張りで試合は予想外の接戦になった Ryan Hafey / Premier Boxing

 ヘイニーとデービスのどちらがより印象的だったか?2人とも良い試合をしましたし、はっきりとは言えません。ボクシングはとにかく相手次第。何が起こるかはわからないですし、相手がどんな戦いをするかで見方は変わってきます。はっきり言えるのは、どちらも私の対戦候補になるということ。

 来週、コミーと試合をするロマチェンコも良いファイトを見せようと意気込んでいるはずで、もちろん候補の中に含まれるのでしょう。ファンが望み、ライト級に残るのであれば、ロペスとのリマッチも視界に入ってきます。私にとってお金だけではなく、レガシーが大事。これから様々なことをプロモーターと話し合うことになります。

次戦は地元ファイトを希望

 私はロペスに勝ってタイトルを奪い、この階級の“トップドッグ”になりました。これからは誰もが私とのタイトル戦を目指してくるはずです。次戦は母国でチューンナップファイトを行うのではないかと推測されているのは知っていますが、私としてはビッグネームとの対戦に真っ直ぐに向かいたい意向です。

 次戦はできればオーストラリアで行いたいですね。私が母国でタイトル戦をしたらものすごい数のファンが集まるでしょうし、故郷でのファイトは私にとって重要な意味があります。ただ、ロサンジェルスも良い街ですし、タンクのタイトル戦は素晴らしい雰囲気の中で行われました。多くのファンに囲まれ、気分良く、いい時間が過ごせました。

 来週、ロマチェンコがニューヨークで試合をしますが、そのためにもう1週間、アメリカに残るつもりはありません。オーストラリアで3人の子供たちが私を恋しがっています。母国に帰り、家族と一緒に時間を過ごすつもりでいます。とは言っても、ゆっくりと過ごすわけではなく、すぐにジムに戻り、次戦に向けて集中してトレーニングに励むつもりです。

スポーツライター

東京都出身。高校球児からアマボクサーを経て、フリーランスのスポーツライターに転身。現在はニューヨーク在住で、MLB、NBA、ボクシングを中心に精力的に取材活動を行う。『日本経済新聞』『スポーツニッポン』『スポーツナビ』『スポルティーバ』『Number』『スポーツ・コミュニケーションズ』『スラッガー』『ダンクシュート』『ボクシングマガジン』等の多数の媒体に記事、コラムを寄稿している

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