「わたし、定時で帰ります。」働き方改革の令和時代に必要なリーダー像とは
リアリティ溢れる「わたし、定時で帰ります。」
今話題になっている女優の吉高由里子さん主演のドラマ「わたし、定時で帰ります。」先週放送された第7話では10.3%の視聴率を叩き出すなど、新感覚のワーキングドラマとして世の中の注目を集めています。数百人からのアンケートを取るなど「リアル」を重視していることが人気の理由の1つとして挙げられるでしょう。
今晩22時から第8話が放映されますので、興味がある方は是非ご覧になってみてください。
ブラック部長のリーダーシップ
そんなリアリティ溢れるドラマに出てくる、ユースケ・サンタマリアさん演じる「福永」というブラック上司に関する批判がSNS上でも後を絶ちません。この記事を読んで下さっている方の中にも、福永のようなブラック上司に戸惑ったり、逆に中間管理職という福永のような立場での若手社員のマネジメントに課題感を持っている方がいらっしゃるかもしれませんね。
今回は、「わたし、定時で帰ります。」の福永部長の姿を考察する事で、令和時代の理想のリーダー像について考えていきましょう。
ブラック部長・福永清次
ドラマに登場するユースケ・サンタマリアさんが演じるブラック部長・福永清次とは、どんな人物なのでしょうか?
福永は、以前社長を勤めていたweb系の会社が社員の集団退職により立ち行かなくなり他社に吸収され、現在のネットヒーローズに転職してきた部長です。部長としてのマネジメントは副部長である向井理さん演じる種田に預け、自分自身は権力のために動く姿が描かれており、ネット上では「ブラック部長」として話題になっています。確かに、彼が「リーダー」として同じチームにいたら困りそうですよね。
PM理論とは
さて「リーダー」といえば、「PM理論」はご存知ですか?
「P機能(目標達成行動)」とは、目標設定や計画立案により、生産性を高めるような働きをすることです。また、部下や業績の芳しくない社員に対し、叱咤激励や的確な指示により、目標を達成する能力のことを指します。例として、「納期を厳守するために細かく進捗管理をする」「毎月の目標達成のために、綿密に計画を立てる」「ルールや規則を守るために、的確にメンバーを指導する」などが挙げられます。
一方、「M機能(集団維持行動)」とは、集団の人間関係を良好に保ち、チームワークを強固なものにするような働きをすること、またそれを維持する能力です。例として、「メンバー間の人間関係に対立がある場合などに、積極的に関与をする」「メンバー1人1人を気づかい、頻繁に声をかける」などが挙げられます。
要はリーダーに求められるのは、短期的な目標達成を継続しながらも、チームのコンディションを維持する事が求められるという事と思います。
PM理論の4類型
この2つの能力の大・小により、4つの型に分類され、P機能が高い場合は大文字のP、低い場合は小文字のp、同様にM機能が高い場合はM、低い場合はmと記すことで、PM型・Pm型・pM型・pm型と表記・分類されます。
- PM型(P・M共に大きい)
目標を明確に示し、成果をあげられると共に集団をまとめる力もある
→理想型
- Pm型(Pが大きく、Mが小さい)
目標を明確に示し、成果をあげるが、集団をまとめる力が弱い。
→成果はあげるが人望がないタイプ
- pM型(Pが小さく、Mが大きい)
集団をまとめる力はあるが、成果をあげる力が弱い。
→人望はあるが、仕事は今ひとつというタイプ
- pm型(P・M共に小さい)
成果をあげる力も、集団をまとめる力も弱い。
→リーダー失格タイプ。
福永はpm型リーダーシップ
ドラマに登場するブラック上司・福永はこのうちpm型に分類されると思います。
制作4部は順調に成果を挙げているため「P機能」が高いのではないかと思われるかもしれませんが、この「P機能」を発揮しているのは福永ではなく、向井理さん演じる種田の力でしょう。福永の「頼むよ」「困るんだからね」というメンバーに対する声かけは、目標達成するための建設的な声かけとは言えませんね。
「M機能」についても、一見メンバーに目を向けた行動は見られるものの、高いとは言えません。第6話には、クライアントのメンバーに対するセクハラを擁護するような場面も見られました。自分自身の権威を高め維持することを目的とした成果を挙げさせるための声かけということが見え隠れしていますね。
あなたは何型?
前述したように、この人気ドラマは数百人からのアンケートを取るなど「リアリティ」を重視しているそうです。
あなたも、福永のようなpm型のリーダーシップを無意識にとっているということがありませんか?
実際、福永のような高圧的な声かけをしていないまでも、PM理論の型に合わせてグルーピングをしてみると、思い当たる節のあった読者の方もいらっしゃるのではないでしょうか?
自分自身のキャリアを積んでいくための焦りから、メンバーに的確な成果向上のためのアドバイスができなかったり、コミュニケーションが不足する場面は少なくないかと思います。
ぜひ、PM理論を通して、自分自身のリーダーとしてのあり方の立ち位置を捉え直してみてはいかがでしょうか?
令和時代のリーダー像
働き方改革関連法も改正され、「働き方」について着目されている令和時代に求められるリーダー像はPM型だと思います。
働き方改革では、いかに効率的に成果を出すかという生産性とともに、いかにチームメンバーが心地よく働けるかという過ごしやすさも大切です。
さらにビジネスパーソンそれぞれの多様な働き方が認められ、多様化している令和時代だからこそ、これまでの画一的なリーダーシップスタイルを見直す重要性が高まってきているのではないでしょうか。