話しかけはあいさつから 「あいさつするぞマップ」で〝1日•10人•計10回〟のあいさつトレ
話しかけると心があがるー〝話しかけドリル〟を実践して、話しかけ上手になろう。今回のテーマは『話しかけはあいさつから』。
あいさつをしそびれている人々
誰もが日々する話しかけ、それはあいさつです。1日何度となく交わしているでしょう。しかしあなたには「あいさつをしそびれている人々」がいませんか?
通勤時にはどうでしょう。駅近くの駐輪場には駐輪場の管理者がいます。駅を出てコンビニに立ち寄るとレジ係がいます。出社すると会社のビルの出入り口には守衛が、また朝清掃スタッフも。ランチに出かけると店のスタッフがいます。彼らにあいさつしてますか?
近所を見回してみよう。毎朝、布団や洗濯物を干す人を窓越しに見かけます。ゴミ出しをすると、ほうきで自宅まわりを掃く人を見かけます。郵便配達員や宅急便配達員とすれ違うことも。スーパーに行くとカートを整理するスタッフやレジ係がいます。あいさつしてますか?
「あいさつをしそびれている人々」ならまだしも、あいさつすべき人々に欠礼していることはないでしょうか?考えてみてください。今あいさつをする人も、初めはあいさつをしない相手だったのです。あいさつから全てが始まるのです。
あいさつは人間関係づくりの屈伸運動
人間関係の発展理論によれば、対人関係の発展は、浅くて非親密なレベルから、深くて親密なレベルに移行します。その発展はタマネギの皮にたとえられます。一枚ずつ自分を剥き、相手もまた剥いて、お互いに芯に近づいていく。
皮を剥きあう一歩は「相手の存在を認め合う段階」、つまりあいさつです。次に「態度や考えを伝える段階」に移り、話しかけは会話になります。それは相手と付き合い続けるかを決める段階でもあります。次いで「お互いに深く知り合う対話段階」となり、プライベートなことも話せる間柄になります。最終的には「違いも同じも認め合える段階」、いわゆるあうんの呼吸、ことばがいらない関係になります。
あいさつは人間関係づくりの屈伸運動と言っていいでしょう。
1日、10人に計10回のあいさつトレを!
まず通勤や通学、仕事場や訪問先、送り迎えや買い物、散歩や通院など、あなたの行先を思い浮かべてください。まだ「あいさつをしそびれている人々」がいるでしょう。彼らを「あいさつするぞマップ」でマークしてください。
「あいさつするぞマップ」とは、あいさつをしそびれている人をチェックする心の中の地図です。するぞの「ぞ」は、今日こそは「するぞ」という実行意思の表明です。そこには目標があります。
1日10人に計10回あいさつする。
これだけです。「おはようございます」「こんにちは」「ごくろうさまです」「いつも精が出ますね」「お先にどうぞ」「おつかれさま」「いつもありがとう」。むずかしいことはありません。そのとき自然に出てくるあいさつことばでいいのです。無言の会釈でも可です。
なぜ「1日10人10回」なのか。誰にでも気軽に話しかけられるようになるため、シンプルで意外にハードルが高い目標がこの回数なのです。1日目にできなければ2日目にクリアしよう。10人クリアしたら次の10人をあげましょう。しそびれていた人が減ったとき「人見知りする自分」も小さくなっています。ぜひトライを!
話しかけを上達させるドリル
このコラムは「ドリル付き」が特徴。今回のドリルは「あいさつするぞマップ」で「1日10人10回のあいさつトレ」。日常生活で習慣としてできる、負担の少ない訓練方法(ドリル)を毎回出します。たとえば次のようなものです。
•つっこみグッズでつっこみ&つっこまれを増やす
•話しかけのタネづくりは日々の蓄積法や相手の情報獲得法
•話しかけられやすさを測る「気さく度チェック」法
•話しかけ効果をあげる発声法やボディアクション
•話しかけられやすい「抜けた人になる」法
世の中には「こう話しかけよう」「こういう人になろう」という記事や本はたくさんありますが、どうすれば話しかけが身につくか、方法まで書いてあるものはわずか。話しかけはフレーズも大切ですが、それは「誰もが使うことば」ですることです。むしろいかに口に出せるか、いかに道具化できるかが真のテーマです。
ことばのデザイナー/りり〜郷の〝話しかけて心をあげる〟コラムは毎週日曜早朝に掲載(予定、病弱ゆえに臨時休載もあり)。みんなで話しかければ恐くない。話しかけて自分も社会も明るくしよう。