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梅雨末期の豪雨も関東以西の雷雨もまだ終わらない…カギ握る太平洋高気圧の動向は:気象予報士解説

植松愛実気象予報士・防災士・野菜ソムリエ

25日は山形県で猛烈な雨が続き大雨特別警報がたびたび発表されたほか、秋田県では複数の川が氾濫し、記録的な大雨となりました。
もともと梅雨末期には梅雨前線に沿うように日本海側の地域に水蒸気が流れ込んで大雨が降りやすくなりますが、今年はこの傾向がかなり長引いています。

北陸~北日本付近に前線が停滞する状態が続くと、前線に向かって南から暖かく湿った空気がどんどん北上してきて、前線の南側にあたる関東〜九州は、晴れても突然の雷雨が発生しやすい状態に。

この梅雨末期豪雨と雷雨の組み合わせは、いつまで続くのでしょうか。

東北は断続的な雨、関東や東海など局地的な雷雨に

26日(左)朝、(中)昼過ぎ、(右)夜の天気分布予報(気象庁HPを元に作成)。
26日(左)朝、(中)昼過ぎ、(右)夜の天気分布予報(気象庁HPを元に作成)。

26日は東北にかかる梅雨前線が次第に不明瞭になっていくため、25日ほどの降り方ではありませんが、それでも雨が降ったりやんだりを繰り返しそうです。
秋田・山形を中心に大雨の片づけをする人も多いと思いますが、すでに土の中に大量の水分が含まれている状態なので、少しの雨でもいつもより慎重に考えてください。

関東甲信や東海では引き続き発雷確率が高くなっていて、特に昼過ぎ~夕方の時間帯は山梨県を中心とした地域で積乱雲が発達しやすくなりそうです。

四国・九州の太平洋側~沖縄では、台風3号と太平洋高気圧の間を北上してくる湿った空気の影響で曇りや雨のところが多いしょう。

このさき梅雨前線そして太平洋高気圧の勢力は?

気圧配置と降水(水色)の予想(気象庁データを元に作成)。
気圧配置と降水(水色)の予想(気象庁データを元に作成)。

今年2024年の特徴として、太平洋高気圧は比較的強いものの、強く広がる方向が西に偏りやすい傾向があります。

このさき28日(日)頃にはいったん太平洋高気圧の勢力が強まって西日本付近で大きく北上する予想ですが、これで一気に東北や北陸で梅雨明け…とはいかずに、梅雨前線はしぶとく残りそうです。

7月いっぱいは梅雨前線を完全に東北から退場させるほど北へは広がらず、東北や北陸が安定して晴れるのは来週後半、8月に入る頃となるでしょう。

週間予報(気象庁HPを元に作成)。
週間予報(気象庁HPを元に作成)。

東北付近に梅雨前線がかかり続ける間、関東以西はたとえ晴れても急な雨や雷が発生しやすい状態が続きます。

同時に猛暑も続き、特に福岡では26日から30日(火)まで5日連続で37度予想と、若くて体力のある人でも危険な暑さとなるでしょう。

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気象予報士・防災士・野菜ソムリエ

気象予報士・防災士として講演・執筆を行う傍ら、野菜ソムリエ・食育インストラクター・薬膳マイスターとして出張料理人(一般家庭での作り置き代行)としても活動。NHK・民放各局で気象キャスターを歴任し、報道の現場や防災、気候変動・地球温暖化に関する最新情報にも詳しい。著書に『天気予報活用ハンドブック~四季から読み解く気象災害』(竹下愛実名義・共著)がある。

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