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フェイスブック、豪州での強硬策が規制強化につながるリスク、広告事業はワクチン普及で成長鈍化のおそれ

小久保重信ニューズフロントLLPパートナー
(写真:ロイター/アフロ)

 今日、筆者が注目した海外発の最新テクノロジーニュース2本をダイジェストで

[1]フェイスブックの豪州での強硬策、他国の規制強化につながるリスク

 米フェイスブックは、オーストラリアで取った記事掲載禁止の強硬措置で同国政府から譲歩を勝ち取った。だが、今後は他国で同社に対する監視が強化され、より厳しい規制が導入される可能性があると、米ウォール・ストリート・ジャーナルが3月2日に報じた。

 フェイスブックは、IT大手に対し記事使用料の支払いを義務付けるオーストラリアの法案に反発。2021年2月18日、豪国内サービスで、同国報道機関と海外報道機関の記事を遮断。豪報道機関の記事を世界中で閲覧できなくした。

 2月22日に豪政府が法案の内容を修正することに同意したとし、措置の撤回を発表。同25日に豪連邦議会は修正法案を可決した。

 だが、同社の強硬策を巡って、英国やカナダ、米国の議員や閣僚らから非難の声が上がった。

 カナダの文化遺産相はオーストラリアと同様の法を準備中だと明らかにした。欧州連合(EU)は加盟諸国に対し、報道機関の対価請求権強化を狙った著作権法を成立させるよう働きかけているという。

[2]フェイスブックの広告事業、ワクチン普及で成長鈍化のおそれ

 新型コロナウイルスのワクチン接種が進む中、米フェイスブックの広告事業は成長が鈍化する恐れがあると、米CNBCが3月2日に報じた。

 デビッド・ウェーナーCFO(最高財務責任者)が見通しを示したという。2020年10〜12月期の売上高は前年同期比33%増の280億7200万ドル(約3兆円)、純利益は同53%増の112億1900万ドル(約1兆2000億円)で、いずれも四半期として過去最高を更新した。

 コロナの影響で電子商取引(EC)需要が急増し、主力の広告事業が大きく伸びた。同社はEC広告に強みを持つが、旅行などサービス関連の広告収入は比較的規模が小さいという。

 ワクチンが普及し、消費者支出が旅行などのサービスに再び向けられるなか、EC広告の伸びが鈍化すると予想される。これに伴いフェイスブックの広告事業も成長が鈍化すると同氏はみている。

ニューズフロントLLPパートナー

同時通訳者・翻訳者を経て1998年に日経BP社のウェブサイトで海外IT記事を執筆。2000年に株式会社ニューズフロント(現ニューズフロントLLP)を共同設立し、海外ニュース速報事業を統括。現在は同LLPパートナーとして活動し、日経クロステックの「US NEWSの裏を読む」やJBpress『IT最前線』で解説記事執筆中。連載にダイヤモンド社DCS『月刊アマゾン』もある。19〜20年には日経ビジネス電子版「シリコンバレー支局ダイジェスト」を担当。22年後半から、日経テックフォーサイトで学術機関の研究成果記事を担当。書籍は『ITビッグ4の描く未来』(日経BP社刊)など。

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