ソフトバンクは育成選手だけで54名!次なる「育成の星」有望株は“究極のユーティリティ”で昇格目指す
育成大国のソフトバンク。現時点で54名もの育成選手が在籍している中、次なる支配下登録候補の最上位に挙げられるのが緒方理貢内野手だ。
今季が3年目。宮崎県出身の右投左打。小中学生時代は宮崎西部ボーイズに所属し、京都外大西高校を経て駒澤大学から2020年育成ドラフト5位で入団した。背番号は127。
昨季ウエスタン盗塁王
1年目は故障でほぼリハビリに時間を費やしたが、2年目だった昨季は二軍公式戦で68試合出場し打率.259、1本塁打、14打点をマークし、自慢の俊足を武器に17盗塁を記録してウエスタン・リーグの盗塁王に輝いた。「開幕前から狙っていた賞でした。数は少なかったけど、嬉しいです」と自信を深めた。
また、守備はセカンドを中心にシーズン序盤は内野を守ったが、シーズン終盤は外野も任されるようになった。小久保裕紀二軍監督からもシーズン中には「イチオシです」との言葉が聞かれるように、育成選手の中では頭一つ抜けた存在でもあった。しかし、チーム戦略や枠の兼ね合いなどもあり支配下登録には至らなかった。
3年目に向けて「シーズン終盤は外野が主だったけど、外野だけとなると一軍の戦力を考えてみたら厳しいと思う。内外野の両方できるのが必須になる」と自己分析。
牧原大成に志願して弟子入り
そのうえで、昨年のシーズン中から「自主トレはマキさん(牧原大成内野手)にお願いしたい」とずっと考えていた。
「自分とタイプが似ているのはもちろん、目指すべき存在だと思ったからです。昨年9月にマキさんが二軍に来た時に食事を一緒にさせてもらい、今しかないと思って『冬になったら一緒に自主トレをさせてください』とお願いしました。シーズン終了後に、僕がお願いしたことを覚えててくださって『どうする?』と聞かれたので、改めてお願いをしました」
1月7日、緒方は「チーム牧原」の自主トレに合流。チームメイトの野村勇や北海道日本ハムファイターズの山田遥楓、独立「ヤマエグループ九州アジアリーグ」福岡北九州フェニックスの吉岡翼らとともに汗を流した。
ノックでは待ち時間のわずかな合間でも、牧原から助言を受けるシーンもあった。
「マキさんはゴロをどういう見方してるんですか、どの辺でボールを捉えてグローブを出すんですか、などといった感じで質問させてもらいました。自分がやろうとしても出来ない部分をマキさんは簡単にやっていた。やっぱりすごいなと感じました」
明石コーチ助言で打撃改造
また、打撃練習では昨シーズンまでとフォームをかなり変えていた。背筋をスッと伸ばして構える。力感はないが、スイングは鋭く、強い打球を打ち返していた。
「昨年の秋季キャンプで明石(健志)コーチに教えてもらって今の構えにしました。明石さんとも去年一緒にプレーさせてもらったんですが、その時は『自分も選手だからなかなか言えなかったけど』と。秋のキャンプで明石コーチが思ってることを言ってもらい、1回ちょっと試してみようかって感じで取り組んでいます。すごくボールも見やすいし、バッティングが楽になりました。そんなに力を入れて振らなくても強い打球が行く。ちょっと掴んだって感じがします」
今季が大卒3年目。「今年ダメなら次はない」と背水の覚悟で臨む。「まずは春季キャンプでA組入り。そこから支配下登録を掴みに行きます」と力強く誓った。
※写真はすべて筆者撮影