仕事を最後までやり切るために、取り除くべき「3つのノイズ」とは?
仕事をいったんスタートさせたにもかかわらず、やり切らずに途中でやめてしまう人がいます。明確な理由があるにもかかわらず、なんとなくやめてしまう人、うだうだ考えてやめてしまう人です。
考えてもしょうがないことをあれこれ思い浮かべてみたり、過ぎ去った出来事をくよくよ思い出してみたり、「明日訪問するお客様の業界は何だっけ?」「今日の夕食は何にしようか」「4月からスタートするドラマの主題歌が気になる」などと、頭の中でおしゃべりをはじめたり……いろいろなケースがあります。
仕事を最後までやり切るために、邪魔になるのは、こういった「思考ノイズ」です。思考ノイズには「物理的ノイズ」「否定的ノイズ」「連想的ノイズ」の3種類があります。
「ノイズ」とは、そもそも、処理対象となる情報以外の不要な情報のことで、雑音だとか邪念とかと呼ばれます。
まず「物理的ノイズ」とは、一番わかりやすいでしょう。「雑音」「騒音」といった、聴覚的に捉えられる物理的なノイズです。周囲がうるさければ、仕事に集中しようとしても難しいでしょう。やっていることが大好きなことで、周囲の雑音など気にすることなく没頭できるのならいいですが、そうでもなければ気が散ってしまいます。
カフェで仕事をしたりする場合ならヘッドフォンなどをして好きな音楽を聴きながら、集中力を高めようとする人は多いはず。いっぽうオフィス内では、誰かに話しかけられて中断を余儀なくされるケースがあります。こういったノイズも「物理的ノイズ」とカテゴライズしていいでしょう。
「せっかく集中してやってるのに、話しかけるなよ……」
と愚痴りたくなる場合、1時間だけと決めて会議室にこもって仕事をやり遂げるのもいいでしょう。
「否定的ノイズ」は、やり切られなければならない目の前の仕事に対する否定的感情が言語化されたものです。
「どうしてこんな仕事を私は任されなくちゃいけないの? 課長が自分でやればいいんじゃない。なんだかやる気が起こらない」
「この仕事って本当にやる必要があるのかな? やらなくても課長は怒らないかもしれないな……」
まさにこういったノイズは「処理対象となる情報以外の不要な情報」と言っていいでしょう。仕事をやり切るために、処理しなければならない情報があります。しかし、ひとたびこういった否定的ノイズが脳内で乱反射したら、脳をうまく働かせることができません。手が止まってしまいます。
最悪の場合、
「やーめた。だってこんな仕事、意味ないもん」
「なんか気が乗らない。本当にこの仕事をやるべきかどうか、誰かに相談しよう」
などと身勝手に意思決定してしまうのです。やり切らずに別のことを始めてしまいます。
最後の「連想的ノイズ」は、仕事をしている最中に出会った情報から、アレコレ空想をしたり、連想を始めたりして生み出される不必要な情報(ノイズ)です。
たとえば来週訪問するお客様に向けた提案資料を作っていたとします。ところが、資料を作っている最中に、連想をスタートさせしまうのです。この「連想的ノイズ」が生み出されるときに必ず出てくるフレーズは、「そういえば」です。
「そういえば、来週訪問するお客様の業界は何だっけ?」
こんな感じです。頭の中でおしゃべりをする癖がある人は気をつけましょう。
「来週訪問するお客様の業界は何だっけ? 建設業界だった気がする。いや、住宅メーカーかな。それとも賃貸用のアパートを扱っている会社だったっけ?」
仕事をしている最中に、連想的ノイズが生まれると、中断を余儀なくされます。上の空になっていくからです。問題を深刻化させるのがインターネットの存在です。
「そういえば、来週訪問するお客様の業界は何だっけ?」と、自分の脳の長期記憶に問い合わせ、答えが見つかればいいですし、見つからなくても、ネットに繋がらない環境にいるのなら、「まあ、いいか」「また後で誰かに聞いてみよう」と諦め、目の前の仕事に意識を戻すことができます。
ところが、今はパソコンもスマホも、常時ネットワークに繋がっています。調べようと思えば調べられる環境を手にしています。もしも、いったん目の前のやるべきことを放置し、別のことをやりはじめたらどうなるでしょうか。
「そういえば、明日訪問するお客様の業界は何だっけ? 建設業界だった気がする。いや、住宅メーカーかな。それとも賃貸用のアパートを扱っている会社だったっけ? ちょっと調べてみるか」
などと決意し、インターネットで検索を始めたら、なかなか目の前の仕事に意識を戻すことは難しいでしょう。気が散りやすい人、集中力をなかなか持続できない人は、現代のネットワーク社会で生きづらい思いをしているに違いありません。
ノイズが増えすぎると、それぞれのノイズがいつしか結合して、また新たなノイズを生み出す可能性も出てきます。3種類のノイズを理解し、こういったノイズが入らない環境を自ら作って、ひとつひとつの仕事を最後までやり切りたいですね。