主な新興国・米国経済ニュース(21日)
マイクロソフトと米ヤフー、検索事業に関する取り決めを改定―自由度高まる
ソフト世界最大手マイクロソフト<MSFT>と米インターネット大手ヤフー<YHOO>はこのほど、2009年に両社間で締結された検索事業の業務提携に関する取り決めの内容の一部を改定した。英紙フィナンシャル・タイムズ(電子版)などが16日に伝えた。
この取り決めは2020年までの10年契約となっており、発効して5年後に提携を解消するか、または、取り決め内容を改定することが可能になっていた。当初の取り決めでは、ヤフーはデスクトップ型PCやモバイル機器のユーザーが検索する場合、ヤフーはマイクロソフトの検索エンジン「ビング(Bing)」を使用することが義務づけられていた。また、検索と同時に表示される広告もビングを通じて提供されることが求められていた。
しかし、今回の改定によって、ヤフーはデスクトップ型PCの検索トラフィック(通信量)の49%、また、スマートフォンやタブレット(多機能携帯端末)型PCなどモバイル機器の検索トラフィックの100%を自由に操作することが可能になり、検索ページのレイアウトや機能変更などが自由に行えることが可能となり、また、将来的には一部の検索トラフィックをビングではなく米インターネット検索大手グーグル<GOOGL>に送ることも可能になる。
一方、マイクロソフトはビングによる検索と同時に表示する広告を自由に管理することが可能になる。これまではヤフーが広告を管理していたが、今後は、マイクロソフトは直接、商品の販売業者との関係を構築し、別の商品を抱き合わせ販売することも可能になる。
また、取り決めでは、前半の5年間は、マイクロソフトはヤフーユーザーによる検索と同時に表示される広告からの収入の88%(6年目の今年2月から90%に引き上げ)をヤフーに支払うことが義務付けられているが、これは変更なしで継続される。
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米防衛大手レイセオン、サイバーセキュリティのウェブセンスを買収
米防衛大手レイセオン・カンパニー<RTN>はコンピューターへの不正侵入や顧客情報の情報漏えいなどのサイバー攻撃を防ぐサイバーセキュリティ大手の米ウェブセンスの株式80%をプライベートエクイティ(PE)ファンドのビスタ・パートナーズから17億ドル(約2020億円)で買い取ることで合意した。米経済紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)などが20日に伝えた。
同社ではこれまで軍関係や政府の諜報活動機関向けのサイバーセキュリティ分野で培ってきた先端技術を民間分野に応用できると見ており、今後は民間セクター、特に銀行やスーパーマーケットなど小売業界向けにサイバーセキュリティのサービスを提供していくとしている。
ウェブセンスはテキサス州オースチンに本社があり、国内外に1万1000社超のデータセキュリティの顧客を抱える。レイセオンではウェブセンスを同社のサイバーセキュリティ部門と統合して新会社を設立する計画で、新会社の売上高は今年だけで5億ドル(約590億円)を見込んでいる。新会社の株式の80%をレイセオン、残りの20%はビスタが保有する。
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マレーシア通信会社アリエス・テレコム、ロンドン市場で新規上場目指す
マレーシアの通信会社アリエス・テレコムはロンドン証券取引所への新規株式公開(IPO)を目指して、英証券会社パンミュア・ゴードンとスイスのミラボー証券の2社をアドバイザーに指名した。英紙フィナンシャル・タイムズ(電子版)が19日に伝えた。
アリエスではIPOで1億ポンド(約180億円)の資金を調達したい考えだ。IPOはロンドン証券取引所の新興企業向け市場(AIM)に上場される可能性が高い。アリエスの親会社は大富豪のズリズマン・ザイナル・アビディン氏が率いる持ち株会社。
同社は現在、マレーシアとタイ、ラオスを経由してシンガポールと香港を陸上部で結ぶ光ファイバーのインターネット接続網を建設する計画を進めている。
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ブラジル中銀週報:2015年GDP伸び率見通し、下方修正
ブラジル中央銀行が20日に発表した先週の経済週報「フォーカス・ブルティン」によると、同中銀の委託を受けた民間アナリストが予想した2015年実質GDP(国内総生産)伸び率見通しは、前週予想の対前年比伸び率1.01%減から1.03%減へ下方修正された。1カ月前の予想は0.83%減だった。しかし、2016年のGDP伸び率見通しは前週予想の同1%増のまま据え置かれた。1カ月前の予想は1.2%増だった。
また、IPCA(拡大消費者物価指数)で見たインフレ見通しは、2015年は前週予想の前年比8.13%上昇から8.23%上昇へ下方修正(悪化)された。1カ月前の予想は8.12%上昇だった。2016年の見通しは前週予想の5.6%上昇のまま据え置かれた。据え置きは3週連続。1カ月前の予想は5.61%上昇だった。
一方、2015年末時点の政策金利の見通しは前週予想の13.25%のまま据え置かれた。据え置きは3週連続。1カ月前の予想は13%だった。2016年末時点の見通しも11.5%のまま据え置かれた。据え置きは16週連続。1カ月前の予想も11.5%だった。また、4月28-29日の次回金融政策決定会合時点での政策金利の見通しも13.25%のまま据え置かれた。据え置きは3週連続。1カ月前の予想は13.13%だった。
為替レートの見通しは、2015年末時点の対ドルレートは前週予想の3.25レアルから3.21レアルへ引き下げられた。1カ月前の予想は3.15レアルだった。2016年末時点の対ドルレートは3.3レアルのまま据え置かれた。据え置きは2週連続。1カ月前の予想は3.11レアルだった。
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ロシア中銀総裁、追加利下げの可能性示唆―30日の金融政策会合控え
ロシア中央銀行のエリビラ・ナビウリナ総裁は先週、訪米先の首都ワシントンで、記者団に対し、最近のロシア通貨ルーブルがドルやユーロなど主要通貨に対し強くなってきたことからインフレ懸念が後退したとし、追加利下げの可能性を示唆した。モスクワ・タイムズ(電子版)などが17日に伝えた。
同総裁は16-17日のG20(主要20カ国)財務相・中央銀行総裁会議に出席するため、ワシントンを訪問していた。ナビウリナ総裁は、記者団に対し、今後の追加利下げの可能性について、「他の経済要因が一定で、新たな深刻な懸念要因がない限り、ルーブル高は利下げを可能にする」と述べている。
ルーブルは最近の原油相場の安定とウクライナ情勢の鎮静化で対露制裁懸念が後退する中で、今年1月以降、ドルに対し15%以上も上昇し、インフレも抑制されてきたことから、中銀は景気刺激に政策の重点を移し、主要政策金利である資金供給のための1週間物入札レポ金利と資金吸収のための1週間物入札預金金利を徐々に引き下げ、3月には14%としている。ロシアのインフレ率は3月に年率16.9%上昇と、13年ぶりの高水準となったものの、先週時点のインフレ率は年率で0.1%ポイント低下してきている。
中銀は昨年12月に、「インフレの加速とルーブルの急落の両リスクを緩和するため」として、主要政策金利を一気に6.5%ポイント引き上げて17%としている。中銀は次回の金融政策会合を4月30日に開く予定だ。(了)