世界遺産「故宮」も閉館。新型肺炎で中国は寂しい春節に
中国では明日25日、旧暦の新年「春節」を迎える。新型肺炎の感染が拡大する中、首都北京を始め各地の観光スポットが臨時的な閉館を決めた。思いがけなく、寂しい一年の始まりとなりそうだ。
世界遺産が次々に閉館
首都北京にある世界遺産「故宮」は、明日25日の春節から閉館を決めた。大晦日に当たるきょうの閉館はあらかじめ決まっていた。本来、「稼ぎ時」であるはずの、春節からの臨時閉館を決めたのは「新型肺炎の予防・コントロールの必要性から、人が集まり感染が広がるのを防ぐため」としている。
中国メディアは、40年近く故宮で働く職員の話として、「2003年のSARSの時でも閉館はしなかった。この40年で、疫病での閉館は初めて」との状況を伝えている。再開時期については、改めて連絡するとしており、事実上決まっていない。
外国人にも人気の観光スポットが次々と閉館を決めた。北京では、愛称「鳥の巣」のオリンピック・スタジアム、北京最大のチベット仏教寺院「雍和宮」、北京原人の頭蓋骨の化石が発見された「周口店猿人遺跡」など。
北京以外の有名所では、陝西省にある秦の始皇帝陵「兵馬俑」もきょうから閉館を決めた。去年の春節期間には7日間で48万人近くが訪れたという外国人にとっても観光の目玉スポットだけに、本音では苦渋の決断だろう。再開時期についてはこちらも未定だ。
北京名物の縁日も中止に
例年の春節ならば、北京の複数の有名な公園は、赤い提灯が華やかにぶら下がり、屋台などが並ぶ。「廟会」と呼ばれる縁日が、新年気分を盛り上げる。
この縁日は、今年は元々、明日25日から29日まで予定されていたが、これも中止された。
「今年は初めて廟会を見てみようと思い、春節にわざわざ北京に残ったのに」と残念がるのは、日本企業の50代の駐在員。5年の北京滞在でこれまで廟会を見たことがなかったので、今年こそはと思い立ったが、思いもよらぬ結果に。
国家博物館や中国美術館など、インドア派から垂涎のスポットもきょうから閉館を決めた。
寂しい春節になりそうだ。
マスクが買えないなら…
帰省のチケットが買えず、北京で春節を過ごす結果になった四川省出身の30代女性。家を出る際にはマスクをするよう、人が集まる所には行かないようにと、春節期間中の注意喚起が出ているとSNSで教えてくれた。
彼女自身は「自分はまだマスクを買っていないけど」という。残念ながら、北京ではマスクの売り切れが続いている。そんな状況を伝えると、こんな返事が帰ってきた。
「じゃあ、もう家から出ない。そうすれば感染しないから」