カッコ良くて、稼げる漁師を増やしたい。三陸沿岸の若手漁師が「フィッシャーマン・ジャパン」設立
「カッコよくて、稼げる漁師をつくって、どかどか漁師になる人を増やしたい」。宮城県三陸海岸地域を中心に活動する若手漁師や水産業の担い手が中心となり、一般社団法人「フィッシャーマン・ジャパン」(赤間俊介・阿部勝太共同代表理事)が設立された。8月27日東京都中央区のイトーキ東京イノベーションセンターSYNQAで活動概要の説明と、活動を支援するキリンビールマーケティング(布施孝之社長)から2,000万円が日本財団の協力で助成されることが発表された。
赤間代表理事は「勉強会とかがあっても、ビジネスプランを横取りされるんじゃないか、と思っていたが、行ってみると一人で仕事をしているのは俺だけじゃなかったんだと気付いた。他の浜にも孤独な漁師がいて、相談したら俺だったらパッケージできるとか、相乗効果が生まれていた」と述べた。「フィッシャーマン・ジャパン」のメンバーは、東日本大震災によって被害を受けた生産者の支援を行う一般社団法人東の食の会(楠本修二郎・高島宏平、両代表理事)の勉強会で出会った。
「フィッシャーマン・ジャパン」は、1,最強チームによる直接販路開拓&共有営業、2,漁師が「丘に出る」イベント・催事事業、3,漁師にしか出来ない商品開発、4,水産業のIT化を推進、の4つの事業を行う。
阿部代表理事は「全国に足を運んで話をしたい。集まっているメンバーは震災から3年間、地元で色々な人と交流してヒントを頂いているので、もっと動きを加速させたい。商品開発はいろんなジャンルでもっと漁師が、漁師にしかできない、関わる事でしか出来ない、宮城県産なんとかの加工品じゃなくて、ちいさい浜や漁師の名前や顔を前に出した商品があってもいいんじゃないか。若手の漁師をどんどん育てていきたい、漁師になってくれる地元の子供たちを増やしたい」と夢を語った。
IT化の取り組み例として、Googleハングアウトを使い、マレーシアと石巻の海上にいるホヤ漁師を海上をつないで、メッセージが寄せられた。
来賓として登壇したオイシックスの高島宏平社長は「画期的な取り組み。確かにカッコいい。でも、カッコいいだけでは食品産業で闘えない。より多くのお客様に喜んでもらえるよう私たちも頑張っていきたい」。ABCクッキングスタジオの櫻井稚子社長は「産業イノベーションに共感した。日本だけでなく、海外に展開できるヒントが隠されていると感じる」と話した。オイシックスは商品の販売、ABCクッキングスタジオでは料理教室の開催で協力する。
また、小泉進次郎大臣政務官からの「熱い思いが三陸のみならず、日本の漁師の希望になるよう期待している」とのメッセージが読み上げられた。ミュージシャンの内田裕也氏はビデオメッセージで「めちゃカッコいいアクションだという域に達している。立ち上げるのは大変だったと思うけれど、サケも復活したということなので」と前置きして「シェキナベイビー」と決め台詞をよせた。
質疑では「カッコいいというのはどういうイメージを持っているのか」と問われ、「カッコいい漁師は何か、自信を持って漁師だと言えること。所得も高くて、生活をしていける。自信を持って息子、友人、に一緒に漁師やろうよと、我々がモデルケースとして構築して実現したい」と述べた。
メジャーリーガーのような憧れの職業を目指し、ファンクラブ「CLUB MERAN」も設置した。オリジナルピンバッチや会報誌が届くSMALLと、魚介類の詰め合わせセットがプラスされるBIGがある。売り上げは、今年度は6,000万円、来年度は1億円を目指す。
会見後はランチが振る舞われた。ランチメニューは、ホヤ、ホタテ、牡蠣などが入った三陸パエリア、ワカメのサラダ、蒸しホヤ、ホヤ出汁とアカモクの冷静スープなど。