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短い結婚を終えるのに、ハリウッドセレブはいくら払ったか

猿渡由紀L.A.在住映画ジャーナリスト
ジョニー・デップとアンバー・ハードの結婚は15ヶ月で破局(写真:REX FEATURES/アフロ)

たった15ヶ月しか続かなかったジョニー・デップとアンバー・ハードの結婚は、prenup(婚前契約)を交わしていなかったことと、ハードが配偶者サポートを要求していることで、デップにとって高額な離婚になりそうな模様だ。以前の記事でも書いたとおり(http://bylines.news.yahoo.co.jp/saruwatariyuki/20160527-00058122/、)カリフォルニアでは、どちらが悪かったかに関わらず、基本的に結婚していた間に稼いだ財産は、平等に分けられる。結婚前に取得したものは対象とならないため、デップの所有する島などは心配ないが、2015年1年間だけでも、彼は3,000万ドル(約33億円)を稼いでいるし、この15か月の間、夫妻が(主にデップが稼ぐお金で)何を買ったかはわからない。ハリウッドには、過去にも、短い期間で離婚に至ったカップルの例が、多数ある。その人たちはいくら払うことになったのか、いくつかの例を見てみよう。

ジェームズ・キャメロンとリンダ・ハミルトン(8ヶ月)

キャメロンとハミルトンの出会いは1984年の「ターミネーター。」2作目の撮影中に恋に堕ち、子供ももうけたが、当時、キャメロンはキャサリン・ビグローと結婚していた。ついに結婚に至ったのは、1997年。しかし、キャメロンが「タイタニック」に出演する女優スージー・エイミスと不倫していることが発覚し、8ヶ月で離婚となる。「タイタニック」のギャラとしてキャメロンが1億ドル(約106億円)もらっていたことから、ハミルトンはその半分に当たる5,000万ドル(約53億円)を手にしている。

ジェニファー・ロペスとクリス・ジャッド(9ヶ月)

ロペスの二度目の結婚相手はキューバ人のウエイター、オジャニ・ノア。この結婚は11ヵ月で終わったが、ノアが彼女との結婚生活の暴露本を出版しようとしたため、裁判沙汰となった。バックアップダンサーのジャッドとは、ショーン・コムズとの劇的な恋愛が破局した後に出会い、2001年9月、スピード結婚。しかし、「Gigli(日本未公開)」で共演したベン・アフレックと恋に堕ち、2002年6月に離婚した。この9ヶ月の結婚を終えるのに、ロペスはジャッドに1,400万ドル(約15億円)を支払っている。

ケイト・ウィンスレットとジム・スレアプルトン(2年10ヶ月)

三度の結婚歴をもつウィンスレットの、最初の夫がスレアプルトン。彼は、「タイタニック」(98)公開の前に撮影された「グッバイ・モロッコ」の助監督だった。ふたりは「タイタニック」公開直前の98年11月に結婚。2000年に長女をもうけるが、2001年9月に離婚した。2年後、ウィンスレットはサム・メンデスと再婚。この結婚は6年で終わっている。スレアプルトンとウィンスレットはprenupを交わしておらず、スレアプルトンは400万ドル(約4億2,000万円)を受け取った。

ブリトニー・スピアーズとケビン・フェダーライン(2年2ヶ月)

スピアーズのバックアップダンサーだったフェダーラインは、事実婚状態の女性が自分のふたりめの子供を妊娠している時にスピアーズと出会い、略奪愛のスキャンダルを乗り越えて2004年9月に結婚した。夫妻の新婚の姿は、「Britney and Kevin : Chaotic」と題するリアリティ番組でも紹介され、長男ショーン・プレストン君の写真は、「People」誌が多額のお金を払って独占掲載している。2006年8月には、ふたりめをお腹に抱えた姿で雑誌の表紙を飾ったが、同年11月、スピアーズは離婚を申請。結婚前、スピアーズは、周囲に説得されてprenupを交わしていた。スピアーズはフェダーラインに100万ドル(約11億円)を払い、さらに離婚当時、スピアーズがドラッグやアルコール漬けで、まともに行動できない状態にあったため、フェダーラインに親権が与えられて、養育費として彼に月2万ドル(約220万円)を払うよう命じられている。

ドリュー・バリモアとトム・グリーン(5ヶ月)

コメディアンのグリーンとバリモアは、バリモアがプロデュースと主演を兼任した「チャーリーズ・エンジェル」で出会い、2001年に結婚。しかし、この結婚はたった158日で終わった。この短い期間の間に、グリーンがガンと診断せれて治療を受けたり、自宅が火事に遭ったりするなど、夫妻は大変なことを経験している。離婚調停に当たっては、グリーンが200万ドル(約2億2,000万円)相当の、まだローンが残っている家を取るかわりに、バリモアに30万7,603ドル(約3,350万円)を払うことで同意。どちらも配偶者サポートは要求しなかった。

キム・カーダシアンとクリス・ハンフリーズ(72日)

リアリティ番組のスター、カーダシアンと、NBA選手ハンフリーズは、90日間の婚約期間を経て、2011年8月に結婚。その結婚式の模様はE!チャンネルで放映され、高視聴率を獲得した。しかしその72日後、カーダシアンは離婚を申請。夫妻はprenupを交わしていたので、本来なら素早く進むはずだったが、ハンフリーズが、この結婚は、カーダシアンが自分の番組の視聴率を上げるために企んだ詐欺だったと主張するなどして、交渉は難航する。ようやく裁判の日にちが決まっても出廷しないなど、ハンフリーズは非協力的な態度を貫いた。しかし、離婚申請から1年半後、ついにハンフリーズが離婚に同意。ハンフリーズはカーダシアンに700万ドル(約7億6,000万円)の支払いを要求していたが、どちらも相手からお金はもらわず、それぞれの弁護士代は自分で払うという結果に落ち着いている。時間はかかったが、カーダシアン側の勝利に終わった形だ。この時、カーダシアンの離婚弁護士を務めたのが、今回ジョニー・デップが雇ったローラ・ワッサーである。

L.A.在住映画ジャーナリスト

神戸市出身。上智大学文学部新聞学科卒。女性誌編集者(映画担当)を経て渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスター、映画監督のインタビュー記事や、撮影現場レポート記事、ハリウッド事情のコラムを、「ハーパース・バザー日本版」「週刊文春」「シュプール」「キネマ旬報」他の雑誌や新聞、Yahoo、東洋経済オンライン、文春オンライン、ぴあ、シネマトゥデイなどのウェブサイトに寄稿。米放送映画批評家協会(CCA)、米女性映画批評家サークル(WFCC)会員。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。著書に「ウディ・アレン 追放」(文藝春秋社)。

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